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サバイバル・ロボットマーチ  作者: ギンユウシジン
第四部 決戦! 友よ、永遠に!!
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21/22

終わりの日:人類の敵、天旗

司令室、そこの空気は重かった。


「集まったわね。今の状況を説明するわ。」


立体映像を浮かべる美月。


「天旗は月に存在していた施設「ルナ0」を破壊。その後の天旗による世界への宣戦布告。目的は、人類の根絶よ。」


あの天旗が、そんな・・・。何かの冗談ですよね?その言葉に美月は首を横に振る。


「天旗は我々に何日かの猶予を与えたわ。」


画面でカウントダウンが始まる。


「天旗が活動開始するまで、あと4日。司令部からは、天旗破壊作戦の実行は3日後と通達があったわ。」


全員の顔を見たのち、美月は告げる。


「私たちは「天旗」と戦うことになる。」


弓波が挙手する。


「一応聞くけど、援軍とか秘密兵器とかねえのか?」

「あるわよ。」

「へいへいそうだよな・・・、ってあるのかよ!」

「援軍は、全世界の精鋭部隊が集結するわ。」


参加勢力を表示させる。


「近衛武士団、銀翼騎士団、鋼鉄傭兵団、教導教会騎士団、ファーストストライカーズ、人類防衛同盟の6大勢力の参加は決定済みよ。」

「まじか、最強決定戦でも始めるのかよ。」


画面を切り替える。そこにはなにやら兵器が表示されていた。


「そして秘密兵器は、電磁加速砲、通称「レールガン」。射撃六式の強化版だと思ってちょうだい。」


携行して戦えないのが弱点ね、美月はこう付け足した。


「作戦の概要を伝えるわね。実際に戦うのは私、シルヴィアさん、弓波さん、そして芥君の4人。天旗と何かしらの縁がある人物のほうが、勝率がわずかにでも上がるという判断よ。」


シミュレーションでは、軒並み勝率0パーセントだったから。芥たちから乾いた笑みがこぼれる。


「全世界の精鋭部隊は、レールガンで天旗を攻撃。向坂さん、西園寺さんはレールガン攻撃組に入ってもらうわ。」

「・・・かしこまり。」

「わかりましたわ・・・。」

「他の精鋭部隊は、レールガンを天旗から死守するのが任務ね。」


作戦概要は以上よ。美月は言葉を締めた。


・・・


解散となり、芥は自室に戻った。ベッドの上に寝転んだ芥は、一人呟いた。


「なんで、なんでだよ、天旗・・・。」


目を閉じる。零式だったころから、ともに戦った時のころまで、長いようで短い思い出を振り返る。


「(人類に、絶望したからか・・・)」


天旗の宣戦布告の内容を思い出す。そこには人類に対する失望が込められていた。


「(でも、あいつは・・・!)」


英雄たちを語っていた天旗。そこには誇りと人類への希望が確かにあった。


「・・・俺が思い出させてやる。」


芥は天旗と対峙する覚悟を決めた。


・・・


地下格納庫。そこには元宮と弓波がいた。


「こちらが第四世代機体の大地改です。以前乗っていた業火のデータを基に、弓波さん専用に調整してあります。武装も六式を準備いたしました。」

「うっし!助かる!」


弓波が大地改を見上げる。赤く塗装されたそれは、ところどころ通常の大地とは異なる部分があった。


「以前見せてくれた戦闘記録のおかげで、俺も奥の手が使えるようになったぜ!」

「あはは、弓波さんも大概ですよね~。」

「・・・天旗のやつ、一発ぶんなぐってやらねえとな。」


やることが極端なんだよ。そう弓波はこぼした。


「私も、この子で天旗さんを止めてあげたいです・・・。」


元宮の目線の先には、天旗との戦いの切り札、鹵獲した魔王を改造した機体が、静かに眠っていた。


・・・


食堂にて、向坂は西園寺を慰めていた。


「お嬢、元気だしなって。きっとおじいさまも無事だよ。」

「莉音・・・。」


それが希望的観測に過ぎないことは、西園寺がよくわかっていた。頻繁にあった連絡が、ここ最近一切なくなったのだ。


西園寺の家族はルナ0にいたはずだ。そこを天旗に破壊されたということはつまり・・・。


「・・・莉音、あなたは、わたくしのそばから離れないでくれますわよね?」


それは、すがるような弱弱しい願いだった。


「もちろんだって、お嬢!うちら親友じゃん!」


向坂は西園寺を抱き寄せた。


幼いころから西園寺の家に仕えてきた向坂。それは代々伝わる家業だった。対象の護衛と潜入工作。裏家業を一手に担ってきた家だったのだ。


向坂が料理上手なのも、毒殺を恐れた西園寺が仕込ませたものだった。


「(家のこととかは関係ない。私はお嬢のことを・・・。)」


西園寺が涙を流しながら言う。


「そうですわね・・・。私たち、親友ですわ・・・。」


泣きじゃくる西園寺を向坂はあやした。


・・・


司令室。そこには美月とシルヴィアの二人が残っていた。


「上層部から提案された今回の作戦。なんと勝率は1%もあるそうよ。」


素晴らしいわね。美月は力なく言った。


「せめてグレイがいてくれれば・・・。」


戦いの後、上層部に連れ去られたグレイのことをシルヴィアは思い出す。何らかの取引をした結果、とある高難易度の任務に就くらしい。詳細は教えてもらえなかったが、グレイからひと言、必ず戻るという言葉を頼りにシルヴィアは彼女を待ち続けていた。


「・・・彼女の技量は今の人類にとって有用よ。必ず戻ってくるわ。」


励ますように美月は言う。その言葉にシルヴィアは少し表情を柔らかくした。


「ありがとう。そう言ってもらえると、少し心が晴れるよ。」

「どういたしまして、かしら。」


美月は考える。はたしてこのままであの天旗に勝てるのだろうかと。


「(芥君専用機と本命の切り札、どれだけ効果があるかしら・・・)」


時間は刻一刻と迫っていった。


・・・


夜、学園の屋上。眠れない芥は星を見ようとここにやってきていた。


周りに人工の光が少ないここでは、きれいな星空を見ることができたのだ。


屋上の扉を開ける。するとそこには先客がいた。


「委員長?」

「あら、芥君。」


奇遇ね。パジャマ姿の両人は、それきり何も話さなかった。きらめく数々の星々に二人は吸い込まれていた。ただし、月は雲に隠れて見えなかった。


やがて美月が口を開く。


「・・・ねえ、芥君、手、冷えるわね。」

「ん。」

「手をつないでもらってもいいかしら?」

「・・・ああ、喜んで。」


どちらからともなく手を握る。二人の手は少し震えていた。


「勝てるかな~。」

「勝つわ。あのヘンテコロボをぎゃふんと言わせたいもの。」


確かにな。芥が笑い、美月も笑った。


二人は再び星を見る。手の震えは次第に収まっていった。


「なあ、委員長。ひとつフラグを立ててもいいかな?」

「・・・何かしら?」


芥は美月のほうを向く。


「俺、この戦いが終わったら、また委員長と星を見たい。」


ほのかに美月の手を握る力が強くなる。


「・・・。」


しばしの逡巡、美月は口を開いた。


「イヤよ。」


芥は明らかにがっかりした。


「私は月が見たいわ。」


それって・・・、そっぽを向く美月。その表情はうかがい知れない。


「・・・わかった。月も星も両方見ようぜ!」

「・・・ちゃんと意味、わかっているのかしら。」

「大丈夫だって、この世界最新の英雄に任せなって!」


それに、芥は言う。


「守るべき約束のために戦うのが、英雄らしいじゃん!」


芥は無邪気に笑った。その笑顔につられて美月もまた微笑んだ。


月は雲に隠れている。願わくば、次の機会には見えることを。


・・・


荒野。天旗が指定した決戦の地。死の大地にあまたの生命が集っていた。


6大勢力を筆頭とした傭兵たち。各国の正規軍。彼らが一堂に集結していた。


中でも近衛武士団、銀翼騎士団、鋼鉄傭兵団、教導教会騎士団、ファーストストライカーズ、人類防衛同盟の精鋭部隊。彼らも直接天旗に攻撃を加える前衛として参加していた。


宙に浮かぶ天旗が、人類へ向けて言葉を発する。


「小さき人よ、こんにちは。そして、さようなら。あなた方は何度も間違えた。」


虚空から、開闢剣と終焉銃を取り出す。立ちふさがるは、4機の英雄たち。


「間違えない人間なんて、ほとんどいないわよ。「月光」出る!」

「久しぶりだな、相棒。「大地改」出るぜ!」

「グレイに話があるのでな、ここは勝たせてもらう。「紫電」出撃する!」

「これが「魔王」を改装したものか。魔王改「覇王」が征く。」


それは魔王を改造した機体、覇王。魔王にマイナーチェンジが施されたその機体は、芥が動かせるように改造されたものだ。短時間なら飛行もできるという今回の戦いでのキーとなる機体だった。


「決着をつけよう、天旗!」


人類の総力対天旗の戦いが、今始まる。


・・・


「ふむ、意外とやりますね。まあ、人類の全戦力を終結したのですから、これぐらいはやってもらわないと。」


それはまさに地獄絵図だった。数多くの機体が破壊され、切り札のレールガンは何百本も粉々にされていた。


天旗に、たった一機にやられたのだ。


「しかし、ここまでの意地を見せられたのです。こちらもお返しをしなければ無作法というもの。」


絶望するがいい。天旗はそう宣言した。


「はるか遠い未来と、古の盟約に従い、今ここに封印を解く!さあ!クライマックスといきましょう!!」


それは絶望の始まりだった。


「のぞみをこわせ!!我のこの手で!!希望執行!!黄金形態!!」


天旗が光り輝く。真の姿を見せる。


「天旗 黄金形態っ!!人類に絶望をもたらす、希望の権化なりっ!!」


天旗は芥を指さした。


「ご友人!あなたに花を手向けよう!!」


美月がにやりと笑う。


「油断したわね?」


その瞬間、極太の白い光が天旗を直撃する。


「何っ!」


それは明らかに天旗に有効打を与えた。なぜなら光が収束した後、天旗の自己修復機能が働いていなかったからだ。


「これは・・・、一体・・・?」

「本命の切り札、「超大型サテライト・キャノン」。月の裏側で作られていた、極秘兵器よ。さすがのあなたも、今から衛星を壊しに行くのは、難しいわよね?さて、あと何機あると思う?」


美月は内心冷や汗をかく。


「(本当はこれ1回限り。でも気がそがれるなら、それで十分ね)」


戦闘は激化する。


・・・


・・・少し昔を思い出した。


少年は敵うはずのない龍に挑んだ。そして勝利し、望みをつかんだ。

愛という偉大な力を、私は知った。すてきだ・・・。


格納庫で元宮が祈る。

「皆さん。どうかご無事で・・・。」


仲間とともにあった王がいた。彼らは理想の王国を作り上げた。

絆という偉大な力を、私は知った。すてきだ・・・。


戦場で弓波が鼓舞する。

「みんな!まだ大丈夫だよな!いくぜっ!」


娘たちを育てた聖騎士がいた。彼らは勇者となった。

人を守る強さを、私は知った。すてきだ・・・。


後方で向坂が吠える。

「お嬢が、親友が戦っているんだ!何が何でも、守るんだ~~~!!」


魔人になった青年がいた。彼は魔王を打倒した。

あきらめないという強さを、私は知った。すてきだ・・・。


後方で西園寺が宣言する。

「こんちくしょ~~!!絶対にあきらめませんわ!!」


覇王が天旗の翼を穿つ。


はるか昔を、思い出した。


「聞け!皆のもの!!」

「天に掲げるは希望の御旗!」

「我らの勇気、刻み込ませろ!」

「我らの誇り、語り継がせろ!」


「我らこそ、希望なり!」


私はご友人に語り掛ける。


「なんてすてきなんだ、ご友人・・・。」


少し、昔の話をしましょう。


狩人は愛のため龍に挑んだ・・・。

王は団結し邪神に挑んだ・・・。

聖騎士は守るために怪物に挑んだ・・・。

魔人は不屈の精神で魔王に挑んだ・・・。


そして・・・。


「わが主は、勇気と誇りを胸に絶望に挑んだ・・・。」


回復は、もはや機能していない。


「人は様々な力を私に教えてくれました。」


ご友人に向かって手を差し伸べる。


「ご友人、あなたは何を教えてくれますか?」


覇王を駆る芥は、今までの出来事を思い出していた。


楽しかった時も、つらかった時も話し相手になってくれた。


「・・・俺は。」


感謝の気持ちを込めて。


「・・・俺たちは!」


訣別の気持ちを込めて。


「我らは人類!希望にすがらず、道を進み行くものなり!!」


涙を流しながら、芥は操縦かんを握る。


「友よ・・・っ!君に、花を手向けよう!!」


覇王の大剣が、天旗を貫いた。


「すばらしい・・・。ご友人、あなたたちの未来に、どうか幸あれ・・・。」


天旗は力なく、地に落ちていった。


それは黄金の星が降り注ぐ、幻想的な光景だった。


・・・


次回予告!


100日基地を守り抜いて、最前線に行って、天旗と出会って。基地のみんなともいろんな思い出ができた。人間いいところばかりじゃないけど、それでもいいところの一つや二つあるさ。だから、俺は・・・!


次回、サバイバル・ロボットマーチ 最終日 希望の旗

ありがとう天旗、俺の、ご友人。

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