最終日:希望の旗
快晴の青空の下、芥たちは軍の正装に身を包み、バスに乗っていた。
勲章の授与式が終わり、基地に帰るところなのだ。
「あれから1か月、か。」
外のがれきの景色を見ていた芥はひとり呟く。
天旗との総力戦、その後に現れた邪神王との戦い。
それはまさに新たな神話の一ページと呼ぶにふさわしい戦いであった。
「ほんと笑っちまうよな、合体とかさ。」
あの時に起きたトンデモ展開につい笑みを浮かべてしまう。
「・・・もう、いなくなっちまったんだな。」
携帯端末を取り出す。そこから彼女の声はもう聞こえない。
「そろそろ着くわ。皆、降りる準備をしてちょうだい。」
美月の言葉に、一同は降りる準備を整える。
・・・
バスが去ると、各々は背伸びをしたりして、体のコリをほぐしていた。
「か~~~!堅苦しくていやになっちまったぜ!」
弓波がストレッチをしながらこぼす。それを聞いた元宮が、なだめるように言う。
「まあまあ、私たちが勲章を受けないと、困る人たちも出てきますから。」
一種の儀式ですよ。どうどう。もはや元宮は猛獣使いだ。
「それにしても、うう、私無一文ですわ。」
「いや、それでもそこそこの資産があるじゃん、お嬢。」
天旗と敵対するきっかけを作った西園寺グループは、その責を問われ解体となった。・・・実質首脳陣はルナ0の消滅に巻き込まれていなくなっていたのだが。そのあおりを食らった西園寺は、資産をほとんど失うことになったのである。
莉音はいなくならないでくださいましー。はいはい。このやり取りもすでに数回繰り返されていた。
「さて、グレイが待っている。先に戻るぞ。」
そう言ってシルヴィアは学園に戻っていった。グレイは極秘作戦を完遂させたのち、恩赦として、この基地へ配属となったのだ。その時の物語はまた別の機会に。
「いつまでもここにいるわけにはいかないわね。帰りましょ。」
美月が学園の門をくぐる。それにならい、他の皆もついていった。
・・・
普段着に着替えた芥たちは、司令室に集まっていた。
「おかえりー。」
グレイの挨拶にただいまと応える。グレイもすっかりこの基地の一員だ。
「さて、今日はこのまま襲撃があるまで待機よ。気を張ったでしょうから、ある程度気を抜いてちょうだい。」
はーい、と一同が返事をする。
「そういえばさ、この基地この後どうなるんだろうな?」
弓波が机に突っ伏しながら言う。
「どう、とは?」
「いやだってさ、俺らってかなりの戦力がそろってるわけじゃん?教導隊とかになるんじゃねえのかな~って。」
「あら、弓波さんは人に教えるのが得意になったのね?」
「うぐ!いやはい、すみませんでした~。」
「技量と教える技術はまた別ものよ。」
弓波の想像を美月が一蹴する。
「あ、じゃあさじゃあさ!また行こうぜ、温泉!」
「あら、それはいいわね。今度は各自お金を払ってくれるかしら?」
「・・・ちなみにおいくら?」
「前回はこれぐらいだったわね。」
ホワイトボードに金額を書く。
「・・・これ全員での金額だよな?」
「いいえ、一人当たりよ。」
またしても轟沈する弓波。それを見て苦笑するメンバーたち。
「でもさ~、温泉まではいかなくても、何かイベントしたくない?」
「確かに、ですわ。」
「・・・パーティー?」
「ふむ、グレイの案もありだな。」
「仮装パーティーとか?」
「あ、それ面白そうですね。」
ワイワイと盛り上がる。
「プールでパーティーとかは?」
「それ、ありっしょ!パリピっぽい!」
「月がきれいなら、お月見パーティーもできますね。」
「それなら、クリスマスパーティーも!」
「・・・パーティー、多すぎ。」
「ふふ、いいかグレイ、パーティーは多くていいものだ。」
その後、談笑は夕食時になっても続いた。
・・・
夜、学園の屋上。眠れない芥は星を見ようとここにやってきていた。
周りに人工の光が少ないここでは、きれいな星空を見ることができたのだ。
いつぞやの時のように屋上の扉を開ける。するとそこには先客がいた。
「委員長?」
「あら、芥君。」
奇遇ね。パジャマ姿の両人は、それきり何も話さなかった。きらめく数々の星々と月に二人は吸い込まれていた。今日は、月はきれいに見えていた。
やがて美月が口を開く。
「・・・ねえ、芥君、手、冷えるわね。」
「ん。」
「手をつないでもらってもいいかしら?」
「・・・喜んで。」
手を握る。二人の手は穏やかだった。
「こうしていると、決戦前のことを思い出すわね。」
「ああ、今日なら委員長に会える気がして。」
二人はそれきり黙る。
静寂、しかしそれは居心地の悪いものではなかった。
「・・・委員長。」
芥は口を開く。
「・・・美月がきれいですね。」
美月は何も言わない。月を見ている。
やがて噴き出す。
「ぷっ!あはは、何それ!」
「忘れてくれ委員長!今のは言い間違えたということにしてくれ!」
芥は顔を真っ赤にする。
「残念、忘れないわ。だって・・・。」
美月は芥のほうを向く。
「これも大切な思い出にするから。」
・・・
さらに数か月後。司令室にはこの基地の全員がそろっていた。
美月が口を開く。
「過日の事件以来、我々は未曽有の事態に立たされているわ。活発化したモンスター、蜂起するテロリスト、カルト集団の残党。これらが未だに活動をしているわ。」
美月が皆を一瞥する。
弓波、元宮、向坂、西園寺、シルヴィア、グレイ、そして芥。
「この事態を重く見た司令部は、我々を独立遊撃部隊として再編成。各地に赴き危険分子の排除に当たることになったわ。」
隊旗を広げる。
「ここに我々は、独立遊撃部隊、通称、希望の旗小隊の設立を宣言する。」
黄金の旗が描かれている隊旗がひらめく。
その意匠は友への感謝と訣別の証。
希望は潰えない、人の手によって未来へと紡がれていく。
これまでも、これからも。
・・・
第四部
決戦!
友よ、永遠に!!
完
・・・
サバイバル・ロボットマーチ
完
To be continued
ギンユウシジンの物語
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注目!サバイバル・ロボットマーチをもっと楽しむ方法。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
サバイバル・ロボットマーチのゲーム版と小説版とではいろいろ展開が違ったり、描写が違ったりしています。
小説読んだからゲームはもう楽しめないんでしょ?とかいうことはありませんのでどうぞプレイしてみてください!特にゲーム版の最終戦には力を入れました。熱い展開になっているはずですよ。体験版もありますのでまずはそちらからどうぞ!
以下の順でゲームをプレイするのがおススメです。いずれも成人向けなので注意!
1
辺境の領地を盛り上げろ!
これは、はじまりの物語。
「辺境領地は発展中!」
2
邪神の秘密に触れる・・・?
母を殺した犯人を見つけろ!
「Mの工房 錬金術師と秘密の性癖」
3
王道!?ロボットもの
サバイバル×ロボットバトル
「サバイバル・ロボットマーチ」
4
ボリュームアップした世界最新の英雄譚!
望みをつかめ、我のこの手で!
「サバイバル・ロボットマーチ改」
5
はるかかなた、未来の物語
傭兵王に俺はなる!
「宇宙傭兵バハムート」
6
これは希望の物語ではない、
魔王の物語である。
「くのいちといっしょ」
7
悪いことをしよう。神々にも聞こえるぐらい。
これは復讐の物語
「ヴァイキング-略奪者たちの王-」
8
サバイバル・ロボットマーチの
7年前の物語
「サバイバル・ロボットマーチ2」
他にもいろいろと作品はありますが(20作品ぐらい)、まずはここから始めてみるのはいかがでしょうか?
また別の物語でお会いできることを楽しみにしております!
それでは、またいつの日か!




