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三日間、私は必死で考えた。

大規模な人員を動かさずに包囲を解く可能性。民間人を安全に脱出させるルート。


そして気づいた。


ソルティアは海や内陸からの物資の集散基地として、河川沿いに成立した都市だ。河川の交通によって、舟運も発達しているはず。

ソルティアには大きな川とそこから枝分かれした大小の川が流れている——ということは、城壁には必ず「川沿いの穴」がある。


小部隊で陽動を仕掛け、その間に市民を比較的警戒の薄い川沿いに誘導して脱出させれば、全軍を突破しなくても人命を守れる可能性がある。

あとは、現地で細かく修正しながらやるしかない。


*


ソルティアへの道中、私たちの部隊は千の騎士と、私、そして従軍神官のルカス——二十歳そこそこの、真面目で誠実な青年だ——という構成だった。


「聖女様、本当にこの策で……」

ルカスが不安そうに声を潜める。


「やってみなければわからない。でも、私はこれが最善だと思っているわ」

「…………」

ルカスは黙った。彼は私が偽物だとは思っていないだろうが、聖女の行動があまりにも普通の人間臭いことに、疑問を抱き始めているのかもしれなかった。


*


ソルティアに着いたのは、出発から三日目の夕刻だった。

魔王軍の陣の外周を偵察させると、予想通り、川沿いに監視が手薄な区域があった。


「——よし。作戦通りに動いて」

私は地図の上で指を動かした。

「第一部隊は東側から陽動。第二部隊は川上から船を使って物資と伝令を届ける。私はその後に少数の護衛と共に川が通る城壁の穴を抜けて、市内に入る。市内の民を川沿いに誘導して、順次脱出させる」


「聖女様が直接市内へ?!」

ガルウィン卿が目を剥いた。

「誰かが民に直接指示しなければ、動かないでしょう。私が行きます」

「せめてもう少し護衛を——」

「多すぎるとかえって動きづらいわ。これだけいれば十分よ」


全員が唖然とした顔をしたが、私はもう決めていた。


これが、今の私にできる最善だ。

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