表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/24

15

翌日から、状況は急速に動き始めた。


リュシアン王太子は、ヴァルデ大神官と軍の主要将官を集め、私の告白の内容を共有した。


私は覚悟していた。

糾弾されること、処罰されること、あるいは追放されること。

でも、起きたのはそのどれでもなかった。


「——魔王軍との交渉ルートを持っているという、その情報源は誰か」

ヴァルデ大神官が静かに聞いた。

「……お教えすることは、今の段階では難しいです」

「……では、その情報源が——直接交渉の席に着ける可能性は?」

「可能性は、あると思います」


「カオリ殿」とリュシアンが言った。

「貴女が偽者の聖女であることは——この場に集まった者だけが知ることとする」

「……え」

「国民にとって、聖女の降臨という事実は変わらない。貴女がこれまで行ってきたことは、確かに人の命を救ってきた。その事実を否定する必要はない」

「でも、私には聖なる力が——」

「ない。それはわかった。だが——」

リュシアンは珍しく、ほんの少しだけ口元を緩めた。

「貴女には、知恵と、勇気と、前線で泥水を浴びながら人を救う覚悟がある。それは、聖なる力と呼んでもよいのではないか」


私は、唇を固く結んだ。

泣くわけにはいかない。でも、目の奥がじんとした。


「……大神官はどう思う」

「私は」とヴァルデは静かに言った。

「長年、本物の聖女を待ち望んでおりました。しかし——考えてみれば、神が遣わす者の形が、我々の想像と一致する必要はないかもしれない」

「…………」

「あなたが、神に選ばれたかどうかは私にはわかりません。ですが、あなたがここに来て、人を救ったことは——事実です。その事実の前では、私の神学的な懸念は、些細なことかもしれない」

私は深く頭を下げた。

「……ありがとうございます」


「さて」とリュシアンが言った。

「魔王軍との接触について、具体的な話を聞かせてもらえるか、カオリ殿」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ