魔神教
司と凌久は深く落ちていく。
司「はっ?!ここは?」
銀世界が一面に広がっていた。
司「雪景色?ん?集落か?」
司はさっきまで鍛治師の家にいたはずたと、少し混乱しつつも辺りを見回し冷静に状況を把握しようとしていた。
司「薄暗く、雪の降るこの場所が修行の場だと言うなら、何か魔獣が出てくるのか?」
ゆっくりと集落へ歩き出すと、入り口に人影が見えたので近づいてみると。
司「鉄砕牙もってそうな人が何人もいるな」
漫画好きな司の発想であった、その白銀の髪や尻尾から琴音も連想させられたので、狐の獣人であると理解する、特に殺気だっていない様なので近づいてみると、こちらに気が付いていないのか無反応なので奥まで進んで行くと、立派な赤い鳥居が見えてきたので鳥居の前で一礼をして入っていくと、何処からともなく声が聞こえてきた。
謎の声「かっかっか、我が娘も栞のヤツに似て慎重よのう、レベル的にはもっと早くに此処へ来れたはずだが、まぁ良いか、そのまま進んで参れ」
言われるがまま進んでいくと荘厳な雰囲気の社が建っていて周りには竹藪があり、雪の侵入を防いでくれていた、社の扉が開く。
声の主「よう参った、遠慮のう近ぅよるが良い、我こそは妖狐を統べる天神魅珠と申す者、是にて因子の潜在能力を引き出す為の空間である、しかし直ぐに現世へ還す訳にはいかんでな、是にて力を己が物としなくては使い物にならぬ故、我と稽古をつけねば還れぬと思え」
司「手っ取り早くチートを手にする事は出来ないって事だな、魅珠様宜しくお願いします」
魅「魅珠でよい、とりあえず底上げからよな、ゆくぞえ」
魅珠は右手の手のひらを上に向けて集中して光の玉を出して、その光を司の身体へと渡していく。
司「今の光は?……暖かい、あっ!」
司は暖かさを感じたのち、身体の異変に気が付き、湧き上がる力を抑えられずにいた。
魅「力の本流に身を任せよ」
司は魅珠の言葉を信じ、身を任せると力が定着したのか落ち着いてきた。
魅「うむ、無事定着したの、確認して見るがよかろう」
司はステータスの事を忘れていたようで、思い出したように唱える。
司「ステータス!」
御影司 Lv71
種族 玉藻
職業 神の眷属
身体能力 Lv8/10
魔力 Lv4/10
結界魔法 Lv5/10
召喚魔法 Lv1/10
自然影響無効
物理攻撃無効
状態異常無効
神眼
獣化・尾強化
天ヶ崎流剣術
地球負荷経験値 993051ポイント
司「いや、なんか強くなりすぎて無い?あれ?ポイント一桁減ってるなぁ、いつの間に?」
魅「ああ、スマン覚醒に必要故使わせて貰ったぞえ、暫しこの世界で修練をせねばその能力を使いこなせんぞえ」
司「そうだね、聞きたいことが山程あるし、暫く宜しくです、魅珠様」
魅「では、広場へ移動するぞえ」
二人で社より降りてきて広場へ向かい対峙する。
魅「何処からでもよいぞえ、さあ!」
司「じゃあ遠慮なく」
司が駆け出すと感覚より身体が早過ぎてビックリした。
司「なるほど」
深呼吸をしてもう一度駆け出す、今度は上手く動けている。
魅珠が何も無い空間に刀を創り出した、そして構えて神速の一閃を放った。
司はその剣筋を見極めようと集中すると、瞳が黄色くなり瞳孔が縦長に変化した、神眼の効果により二秒先が見えるようになった、使いこなしていくうちにもっと先が見える様になるようだった、魅珠の一閃を躱し、司も雪月花を抜いた。
魅「ほう、今時の鍛治師も極めた者がおったかえ、だがまだそんな物ではないようじゃな、これから色々と教えんといかんようじゃえ」
これから四ヶ月二人の修練が続いて行くのだった。
凌久は目を開けると、燃え盛る炎が暴れている空間であった、不思議と暑さは感じなかった。
凌「いや、すげー燃えてるけど、どうなってるの?」
燃え盛る炎が目の前の空間に集まってゆくとディアーラが姿を現す。
デ「あっはははは、イヤーごめんごめん、やっとあたいの因子で繋げてくれたもんだから、嬉しくなっちゃってさぁー、いやーよくきたな、炎のなんたるかを叩き込んでやるからな、あたいに任せときな!」
凌久はなんだこのお姉さんは、と不安になる。
凌「えっとディアーラ姐さんが、俺に修行をつけてくれるって事なの?」
デ「あたいの事はディアでいいょーん、あっ、今ヤラシー目で見てたな凌久」
凌「は?いや、みてないけど」
デ「あっはははは、嘘だよん、嘘だけど見てないは減点だぞ!あたい傷ついちゃうからな」
凌「ディア、本題に入ってくれ」
デ「そうだね、まぁとりあえずこの精神世界は時間たっぷりあるから、二人きりの時間を大事にしたくて、あんな事やこんな事まで手取り足取り教えられる時間があるんだよ、あとはねあたいの大事な物を凌久にあげちゃうんだ、今夜は赤飯にしようね」
凌「え?からかってるの」
ディアーラはフワフワ浮きながら凌久に近づき、右手の人差し指で凌久の唇を押さえる。
デ「半分当たりで半分本気だよ、まぁとりあえず始めようかな、凌久のポイント使わせて貰うからね」
虚空に圧縮された炎が現れた、それをディアーラが左手で包み込み凌久の胸へ押し込む。
凌「うわ、火傷しゃ……暑く無い、温かい」
デ「あたいの愛を受け取ったね」
凌「勝手に入れたのに、責任取れとか言わないでね」
デ「あはは、責任も何ももう一心同体だからね、離れられないよ?とりあえずステータス確認してみて」
凌「わかった、ステータス!」
蓮見凌久 Lv70
種族 琰王
職業 焔を統べる者
身体能力 Lv7/10
魔力 Lv5/10
火魔法 Lv6/10
回復魔法 Lv3/10
自然影響無効
物理攻撃無効
魔法攻撃無効
炎熱光線
琰精化
天ヶ崎流剣術
地球負荷経験値 912380ポイント
デ「どう?どう?凄いっしょあたいの愛の結晶は?」
凌「いや、なんだか語弊ある言い方だな、でもありがとう!試さないと実感はまだないけど、身体は確実に強さを感じでるよ」
デ「うんうん、もっと褒めてくれてもいいんだよ?ま、時間は気にしなくてもいいから色々しようね!」
ディアーラの身体からメラメラとしていた炎が強さを増していくと一気に炎に包まれた。
デ「まずはあたいと殴り合いだよ?覚悟はい〜い?」
凌「ああ、無手とか久しぶりだけど楽しみだけどディアは燃えすぎじゃない?」
デ「昂ってきちゃったからね、今の凌久ならあたいの炎も平気だから安心してね」
凌「そっか、じゃあ行くぞ!」
ディアーラとの手合わせが始まり、その速度と威力を確かめながら攻撃を繰り出していく、が実体が捉えられずにいた。
デ「あたいの姿を自分が出来ると想像してみて」
言われるがまま、想像すると身体のあちこちから炎が出始める、暫くすると全身を炎が巻き上がり包まれていた。
凌「うおー!俺燃えてるぅ!」
デ「それが琰精化だよ、まだまだ教えたい事沢山あるから、どんどん絡み合おうね!」
凌「刀が鳴いてる?」
凌久の腰の刀がキーーーンと共鳴していた。
デ「そう、貴女も凌久と遊びたいのね、凌久!朱音を抜いてみて」
凌久は朱音を抜いてみると、いままでは朱に近い刀身だったのが、青白い芯に刃が真紅の綺麗な、それでいて激しいチカラが迸っていた、傍には炎の美しい精霊が飛び回っていた。
凌「君が朱音か?俺に力を貸してくれる?」
朱音は無言で頷き、刀へと溶け込んだ。
デ「楽しくなってきた」
ディアーラとの修行が四か月半かかった。
まず司が目を覚ます。
司「ん、琴音久しぶり」
琴「こちらは数分前ぶりの会話だえ」
司「そっか、四ヶ月位修練してたからつい」
琴「だいぶ力をつけたようだえ」
司「そうだな、今なら誰にも負ける気がしないな、凌久はまだ帰って来ないのか?」
琴「うむ、ディアーラは少々悪戯好きじゃからの」
凌「うわぁ」
凌久は飛び起きた、いきなりだったので司と琴音もびっくりしていた。
琴「何事え」
凌「いや、最期にディアーラに服脱がされて……」
司「何しに行ってたんだ?」
凌「ちゃんと修行してたさ、アイツ油断するとすぐ巫山戯るんだよ」
琴「であろうな、妾もいつも迷惑しておったえ」
凌「司、琴音、ただいま」
司「ああ、俺達は久しぶりだが、こっちでは数分らしいぞ?」
凌「そうなの?」
琴「うむ、して凌久、首尾は?」
凌「ああ!バッチリだぜ」
司「一度皆んなで集まるか!」
凌「そうだな、師匠にも見てもらいたいしな」
琴「では妾はルルを呼んでから行くえ」
十蔵と刹那はまだ居間で囲炉裏の前で二人で話していた。
十「刹那、今回は沙月と留守番してろよぉ」
刹「お父の代わりにあの刀の一振り目を見る義務があるから、絶対に着いていくからね!」
十「あぁ、どんなに危ねえトコでも親父もついてきてたっけなぁ、本気の斬り合いで、自分の打った刀の真価を見るってなぁ」
刹「そうそう、おにぃには断れないはずだよ?」
そこへ司と凌久が居間へ入ってきた。
凌「師匠、刹那さんは俺が守り抜くから大丈夫だよ」
司「凌久が守ってばかりだと、本来の刀の真価を見せられないだろ?ここは師匠に守って貰って、俺達が暴れるんだよ」
凌「あはは、まぁそっか、師匠は刹那さんとドンと構えて見ててくれれば、俺達が片付けるから刹那さんも連れて行っても平気だよ」
十「なんだぁ、お前ら暫くのうちに妙な雰囲気になりやがったな、偽物かと思ったが確かに司と凌久みてぇだな、どんな手品使いやがったんだぁ?」
遅れて琴音とルルミラも入ってきた。
琴「妾がチョットてつどうたえ」
十「ふぅん、なるほどなぁ、どれ、手合わせするから表に出ろ」
凌「そう来なくっちゃ」
全員が外へと出て三人以外は事の成り行きを見守る事とした。
十蔵が刀を抜いて構える、今まで見てきた十蔵は先に構えた事が無かったので、ビンビン緊張感が張り詰める。
十「ふぅぅぅう、二人同時でいいぜ!」
司と凌久は強くなったと自負していた為、少しムッとした、司の瞳が黄色へ変わり瞳孔も縦長へ変わった、髪も白くなっていき獣耳になり、尾が二本生えてきた、一方凌久は全身から炎が立ち登り燃え盛っている。
十「それが新しい力か?いつでも良いぜ!」
十蔵はニヤけている。
司「行くぞ凌久!」
司は雪月花を抜く。
凌「ああ」
凌久も朱音を抜く。
両者の刀は一番最初に抜いた時とは明らかに輝きが違った、さきに動いたのは凌久だった。
凌「轟炎修羅蓮撃」
無数の炎の刃が十蔵を襲う!
十「天ヶ崎流 迅雷烈剣」
稲妻の如く剣の軌道が枝分かれしていき、凌久の炎を打ち消していく。
凌「流石師匠!」
すかさず司が雪月花を振るう。
司「零葬無幻華」
空間に氷の華が咲き誇り十蔵へ襲いかかる、触れれば一瞬でその部位が凍りつく華であった。
十「天ヶ崎流 月下真空斬」
十蔵の周りに球状の防御壁のような斬撃を繰り出すと、氷の華が触れる度砕け散っていく。
司「まだ届かないか」
十「ふう、そんな事はねぇぞ司、俺だってそこそこ本気だったからよ、もっと技を己の一部になる位に馴染ませて行くんだな、それぞれの刀もまだお前らの身体の一部になれてないしな、今後の課題だなぁ」
凌「そっか、まぁ師匠の刀みたいに何年も肌身離さず使いこなさないとって事だな、半年も振ってないからこれからだな」
司「そういう事だな、強くなった気でいたけど、まだまだだな」
模擬戦を見ていた刹那とルルミラは唖然としていた、琴音は黙って頷いていた。
刹「これは、さっき見たの刀とは雰囲気が明らかに違う!一体この一瞬で何があったの?」
ル「どうゆう事ですの?琴ちゃん」
琴「精神的に成長しただけだえ、誰でも出来る事ではないのじゃが、精神世界での修行を妾が強制的に導いたのじゃ、多少負荷はかかるがの」
十蔵達もこちらに歩いてきた。
十「なるほどなぁ、俺も天ヶ崎の山寺の住職にさせられたっけなぁ、坐禅で己の精神を統一させてから、その空間で修行すると、目を開けてからそれまでの自分より強くなれた感覚があったもんだよ、それを強制的にしかも何ヶ月分を一気にやったって所だろぅ?」
琴「まぁ概ねその通りえ、妾のはその資格ある者だけじゃが」
十「まぁなんにせよ、戦力は充分だからよぉ、雪月花と朱音が手元にあるうちは、奴等もしつこいだろうからよぉ、こっちから乗り込んで原因を取り除いとかねぇと、枕高くして眠れねぇからよ!準備出来次第行くぞ!」
凌「ところで相手の拠点は分かってるの?師匠」
十「あぁ、それなら沙月がわかってるはずだからなぁ、そろそろけぇってくるだろぅ」
森の奥から沙月とお付きの男性二人が、十蔵の前に膝まづいて現れた。
沙「お待たせしました十蔵様、今回はなかなか骨が折れましたがわかりました」
十「ほぉ、沙月の精神鑑定を持ってしても難しかったかぁ」
沙「はい、幾重にも魔術隠蔽術がかけられており、目的の情報まで時間が掛かってしまいました」
十「んなこたぁねぇよ、こんな短時間でアジトの情報が割れたんだからよぉ」
沙「勿体無いお言葉です、早速ですが中でお話を」
十「そうだな、皆んなは準備をしてくれよぉ、準備のいらねぇヤツぁ一緒にきてくれ」
十蔵はそう言い残し居間へと向かった。
準備に向かったのは、刹那とルルミラだけだった、他の者は十蔵のあとを追って行った。
居間にて沙月がこの辺りの地図を広げる。
沙「さて、奴等の情報を元に申し上げますが、拠点は三箇所あります。まずはここから北へ進んだ先に一つ、これは主に物資などの拠点のようです、ですので我が隠密集団の梟にお任せ下さい。そして二つ目の拠点ですが、どうやら天ヶ崎領の隣の氷織領の北の山に隠れ潜んでいるようですね、ご存知ない方もいらっしゃると思いますのでお話致しますが、氷織の頭首と我が天ヶ崎の真光様は昔から仲がよろしくありませんので、おいそれと氷織へ兵を送ることが叶いません、ですのでこの拠点は遠方よりの監視とさせていただきます。そして本命の三つ目ですね、ここは外人の治めるガーレア領のマリノア山脈の奥深く、三方を険しい山に囲まれた天然の要塞であります、勿論ここが重要拠点となっておりますので警備も
厳重になっております、内部構造に関しましても中層までしか情報が御座いませんでしたので、下層は皆さんにお任せする形になってしまいます、あとで皆さんにも地図とどういった魔法や剣術の使い手がいるのかを、資料にしてお渡し致します、以上が私のまとめた情報でございます。なにか質問はありますでしょうか?」
十「ご苦労だったなぁ沙月、まぁ質問も何もどうせ下層は己の力で切り開かなくちゃならねぇんだからよ、中層まで攻略できりゃ万々歳だろぅ?」
司「大掛かりな作戦になるなら尚更俺達は目の前の事に集中しないと、全体の失敗に繋がりかねないからね、師匠の足を引っ張らないように全力で行かせてもらうよ」
凌「ああ、それに守る者がいる俺達は強いはずだからな、やる事やるだけだぜ」
ここで全員が集まる。
琴「妾は二人のチカラも引き出したからの、保護者の立場は変わらんから二人に着いていくだけだえ」
ル「二人に里に来て貰う約束ですからね、お二人の強さも格段に上がりましたからね、安心して着いていきますよ」
刹「護身術は身に付けてるから、後ろからゆっくり行かせて貰うね」
沙「では、部下のまとめた資料を手に取り頭に入れておいて下さい、私は出発致しますので、皆さんご武運を!」
そう言うと沙月は影となり消えていた。
十「俺が先頭で走るから殿は凌久、お前が刹那を見ながら警戒して着いてこいよぉ、四半時後には出発するからなぁ」
三十分後にはマリノア山脈へと出発したのだった。




