不死鳥の試練
冷たい空気に包まれながら、映像で見た事のある無重力遊泳の感覚で、ピョンピョンと岩をゆっくり降りていく、すると途中に大きな横穴が空いていて、そこでみんなと話し合う事になる。
涼「あからさま寝床ですよって穴だな」
奏「斜め下方向に伸びてて先が見えないじゃん」
エ「この先にいるのは間違いないみたいですわ」
陽「じゃあ羽根を貰いに行ってみますか」
エルオが先頭で確認しながら進んでくれている、奏と陽葵は跳ねながら楽しそうに進んでいく、涼は最後尾で警戒しながら全体を見て進んでいる、するとエルオが右腕で遮るようにして奏と陽葵を制止する。
エ「お待ち下さいですわ」
目の前には全身が紅い羽に覆われた大きな鳥がうずくまり静かな空気が支配している。
奏「あれが不死鳥なの?こんなに簡単に来れちゃったら討伐とかされちゃいそうだけど、大丈夫なの?」
エ「本来は簡単ではありませんわよ、陽葵様方が驚異的な身体能力を有しており、私の魔法に親和性が高かったから長持ちしていますが、親和性が無かったら降りている途中で効力が消失してますわ、ですので陽葵様以外のお二人も普通ではないという事ですわ」
陽「そうなんだ、でもまあそうだよね、奏と涼だもんね!」
奏「なんかうち褒められた?」
涼「なんだか照れくさいな、でもここに来る前にエルと出会ってなかったら、今この場所に来れなかったって事だろうから、これが偶然なのか必然だったのかこれからの不死鳥の反応でわかるって事だな」
不死鳥「ここは我が領域であるぞ」
頭の中に直接語りかけられているかのような不思議な感覚であった。
奏「不死鳥さんは子育て中なの?もしそうだったらお騒がせして御免なさい」
不「我が名はゼライド、我が子が居るのは確かであるが、何の用であるか?」
涼「俺達の目的はゼライドさんの生え替わった羽根が欲しくてここまでやってきたんだけど、見当たらない所をみると、生え替わりの時期ではないという事なのか」
ゼ「我の羽根が目的とな、しかしヌシの想像通り今は生え替わり時期で無い故、ヌシの希望には添えないな、しかし子が無事産まれれば幾らか抜け落ちる故、待てるのであれば子の誕生に立ち会ってみるか?」
エ「いえ、保護魔法がもってあと三時間位しか保ちませんので、帰る時間を差し引いて一時間半位の滞在時間しかありませんね」
ゼ「そうか、今のヌシらはまだ自然環境適応しておらんかったか、そんなに難しい能力ではない故、今ここで獲得してゆくか?」
奏「えっ?そんな能力獲得できるの?」
陽「やった、そんな能力あるんだね」
涼「能力の獲得が難しくないのに、広まってないのは何故なんだ?」
エ「そんな能力自体聞いた事がありませんが?」
ゼ「今の世は精神世界に導いての修行ができる者がおらなんだか?そんなに人の世は衰退しておるのか、ヌシら三人は特に宝の持ち腐れだの」
奏「どうゆう事?」
ゼ「ヌシらは先代の因子を受け継いでおる故、この程度の環境に適応できとらんのが可笑しくてな、まあ仕方がないかの、我と出会ったのも必然という事かもしれんな」
奏「先代?の因子、いまいちわからないけど、とにかく魔法が無くても火口にいられるようにしてくれちゃうの?」
ゼ「我は助力するだけで、ヌシらが手に入れる能力だの、早速やってみるか」
陽「深呼吸しなきゃ」
エ「私も獲得できるのですか?」
ゼ「うむ、まあ多少時間はかかるかも知れぬが充分資格はありそうだの」
エ「では私も挑戦させて下さい」
ゼ「よかろう、精神世界に我が誘うから身体は楽にな、ヌシらの身体は我が護る故、安心して行くがよい」
涼「緊張してきたな」
奏「楽にしろって言われたでしょ?」
涼「奏はすぐ信用するよな」
陽「そうゆうとこあるね」
奏「そう?あっ!なんだか眠く……」
四名全員が、己の精神の深いところまで落ちて行った、その様子をゼライドは確認しながら懐かしむ。
ゼ「ふっふっふ、そうか、あ奴らのな、そうかそうか、この世界も楽しくなりそうだの」
各々が精神の最新部へ到達した、すると何処からともなく声がする。
陽「うわっ!えっ?今火山いたのに一面花畑だし、青空だし」
奏「えぇ?うちいつの間にか森の中だけど?」
涼「岩場で目の前に山って、何処かに飛ばされたのか?」
エ「はっ!いつの間に大里へ?」
それぞれが、それぞれの精神世界を目の当たりにして戸惑っていると、ゼライドの声が聴こえてきた。
ゼ「それがヌシの古の記憶だの、ヌシが思うまま進んでみよ、我が手を出せるのはここまでだからな、健闘を祈るぞ」
陽葵は花畑のど真ん中に立っていた、右には大きな川が流れている、左には少し高めな丘があり、目の前には明るい森が広がっていた、普通の森は手入れなどされていない薄暗いイメージだが、ここは手入れの行き届いた綺麗な森であった。
陽「んー、まぁ森に進みたい気持ちが強いな、行ってみるか」
森を進んでいくと、木の生えていない広場へと出てきて、そこではいわゆるエルフの男女、子供からお年寄りまで、お祭りのように踊ったりしていたが、いくら声を掛けても陽葵には気が付かないようであった。
陽「なんだろう、精神世界だから?触ろうとしてもすり抜けちゃうし、どうしたらいいんだろ」
悩みながらも歩みを進めて行くと湖が広がっており、一本の橋の先に大きな白いお城みたいな建物が建っていたので、橋を渡ってみる事にした。
すると白く眩しかった建物に気を取られていたが、その建物の後ろに見たこともない大きな木が、天を衝くかの如くドッシリとそこにあった。
陽「え、あんな木ある?幻かな」
橋を渡り終え建物の前まで進むと、大きな木製の扉がゆっくりと開いて行く。
陽「あれ?人が居ないのに開いたよ?自動なのかな」
中へ進んでいくとなんだか嬉しいような感情が自分の中で広がり、清々しい気分になって行くようだった。
建物内は左右に階段があり二階に部屋の扉が幾つかみえたが、正面には壁はなくあの木の根本の木肌が見えていたので進んでみると。
美しい女性「あら、ようやくここまできましたね、私はリリムア・ファーガ・ヴァーユと言います、初めまして。私の因子を受け継ぐ愛し子よ」
その女性は碧銀の髪が腰まである色白な耳が長い透けて見えるローブを纏った黄色い瞳が印象的な美人であった。
陽「あ、初めまして、私は石川陽葵と言います、ここはどこですか?あとこの大きな木はどうゆうものですか?リリムアさんは祖先なのですか?」
リ「ここは世界樹の麓のナラリアの里ですね、世界樹とは他の大陸の世界樹と繋がり合っていて、この星の生きとし生けるものにその恩恵を授けています、森の恵み、清流へと浄化する川、空気の浄化、獣達の育成、川魚の住みやすい環境、大地の肥沃化など、生きる者にとって森はなくてはならない場所なのです、私は永らく生きてきました、永く生き精霊と交わり世界樹の役割の手助けを何百年と続けているうちに、精霊王となってしまい、この國の超越者となってしまいました、しかし、人間とは何を考えているのかわからない生き物でして、争いや自然破壊を繰り返しながら増え続けていますね、繋がっている世界樹からも同様の事が繰り返されているようでした、だからと言って人間を減らす事も出来ず、いつかは人間もわかってもらえると信じ続けてきましたが、その願いは残念ながらとうとう叶いませんでした、大地の力が衰退していき私自身の力も衰えて次世代の子供達を育てている最中も葛藤がありました、このまま衰退していく大地にこの子達を残して逝ってしまって良いのか?と、そこで私の古い友人であるハイヒューマンの方のお誘いに乗り、新たな風と共に新しい芽を芽吹かせようと思い至り世界を渡り、陽葵へ因子を受け継ぐことができました、正確には何世代も前のお婆ちゃんですが、陽葵に芽吹いてこの世界に来てくれたのは陽葵の意思ですのでそこは安心して下さい。長々と話しましたが陽葵には正義を振りかざして何とかして欲しい訳ではありません、この世界を楽しんで陽葵の思うまま生きて欲しいのです、その為にも陽葵には少し前の生命の危機がありましたね、あの時は肝を冷やしましたが二度と無いようにチカラについても受け継いでもらう事にします、つきましては地球負荷経験値から百万ポイントを使わせて貰いますが宜しいですね?」
陽「何に使うのかわからなかったからいいですよ」
リ「わかりました、では」
リリムアは陽葵の胸に手をかざし瞳を閉じた、陽葵も一緒に瞳を閉じる、リリムアの手のひらが光だし陽葵の身体全体が青白く輝き出す。
陽(なんだか暖かい感じがするなぁ)
青白い光が増してゆき、眩く光る!!陽葵は身体が羽のように軽くなっている事に気が付き瞳を開ける。
陽「ステータス」
石川陽葵・ヴァーユ Lv50
種族 精霊に愛されし者
職業 観測者
身体能力 Lv5/10
魔力 Lv6/10
風魔法 Lv7/10
水魔法 Lv5/10
精霊使役
自然操作・影響無効
物理攻撃無効
状態異常無効
思考加速・並列思考
弓術
音楽術
地球負荷経験値 688752ポイント
陽「色々凄く上がってる凄い!」
リ「これでもまだまだ私の全ては詰め込めませんでしたが、一つ私と手合わせを致しましょう」
リリムアは何も無い空間から光を集めて光の剣を作り出した。
リ「天陽光剣」
リリムアは武器を持っていない左手で陽葵の目の前にも同じ剣を出す。
リ「さあ、受け取って下さい、いきますよ?」
この美しい女性が戦うとは思っていなかったので一瞬とまどうが、目の前の剣を手に取りリリムアへと向かう、大地を蹴り剣を振りかざすと今までの感覚とは違いなんだかゆっくりとした時間が流れていく。
陽「えっえっ?」
リ「流石にすぐには慣れないようですね、ここでの時間は現実では一瞬なので存分に今の自分に慣れていって下さいね」
陽葵は結局精神世界時間で三ヶ月も修行やリリムアとの話に費やすのであった。
奏は森の中でキョロキョロしていた。
奏「精神世界とは思えない状況だな」
何気に歩き出していると、ニャーニャー何か喋っている声が聞こえてきた、そちらへ進路を変えて近づいてみると。
猫耳の男「今日の獲物を獲ってきたニャー」
猫耳の女「ありがとニャ、ダーリン」
奏「くっ、リア充かよ」
ツッコミをいれても反応はなく、どうやらこちらからは干渉できないとそのまま進んで行くと、木で作った家が立ち並び子供達が凄い速さと跳躍で追いかけっこをしている、それを見た奏は抱きしめてモシャモシャしたい衝動に駆られてしまう。
奏「くっ、可愛いが沢山なのに何で触れないの?これが修行?拷問じゃなくて?」
などと文句を言いながら突き当たりに一際大きな家を発見する。
奏「あそこは何があるんだろ」
扉もない入り口を入って行くと、まるでキャットタワーのような内部から声が聴こえてきた。
猫耳の少女「よく来たにゃ、奏」
奏「何でうちの名前、って干渉出来ないんじゃなかったっけ?」
少女「にゃはははは、わち以外は干渉できんにゃ、わちは、稀彗ニャ、奏の事は生まれる前からわちの因子が受け継がれたにゃから、それからズット見守ってたにゃよ、色々と大変な出来事があったが無事にこうして出会えたからにゃ良かったにゃ」
奏「生まれる前からストーカーしてたの?」
稀「わちを犯罪者にするのはやめるのにゃ」
奏「じゃあうちのファンなの?」
稀「にゃんでやねん、もういいにゃ!簡単に言えばわちの子孫にゃ!」
奏「誰が?」
稀「お前にゃ!まったく、わちの因子を受け継いでる奏はもっと強くなれるにゃ、まだわちの半分くらいのチカラにゃけど今の奏より数段強いにゃよ?ポイントだけ使わせて貰うにゃよ?」
奏「稀彗はうちのご先祖なのに、なんでうちには猫耳ないの?」
稀「レベルが上がれば獣人化のスキルが使えるにゃ、わちが世界を渡った時に人化してたからそっちが強く出てるだけにゃから安心するにゃ」
奏「いや、別に無くても困らないんだけど、なんでかなって気になっただけ」
稀「困らにゃいんかぁ〜い!なんだか寂しい感じもするにゃが、とにかく奏を強くするにゃよ、目を閉じるにゃ」
奏「まあ困ってるみたいだからいう事きいてあげなきゃだよね、わかったよ」
奏は素直に瞳を閉じる。
稀「いくにゃよ」
稀彗は肉球の両手を胸の前で構えると、自身のチカラの本流が手のひらに集まり出し肉球の間に光が集まり収束した光の珠を奏の胸へと向けると、光の珠が奏の胸へと吸い込まれていく。
奏「なんだか暖かい感じがするけど、もう目あけてもいいの?」
稀「いいにゃよ、どうにゃ?実感あるにゃ?」
奏「うん、なんだか凄くチカラが溢れてくる感じがするよ?」
稀「そうにゃろ?大体わちの半分くらいのチカラは渡せたからにゃ、色々自分でも確認するにゃよ」
奏「そうだね、ステータス!」
早乙女奏 Lv58
種族 猫人族 守護者の仔
職業 守護者の卵
身体能力 Lv6/10
魔力 Lv4/10
土魔法 Lv3/10
神聖魔法 Lv5/10
自然影響無効
魔法攻撃無効
状態異常無効
第六感
夜目
鋭爪術
音楽術
地球負荷経験値 695135ポイント
奏「やったー、うちメッチャ強いんじゃない?色々教えてくれるんでしょ?稀彗」
稀「もちろんにゃ、わちに似て話が早くて助かるにゃ」
奏「単純って事ぉ〜」
稀「全部自分にも帰ってくるにゃ、とにかくにゃ!まずは身体の動かし方からだにゃ」
奏「こんな感じ?」
奏はキャットタワーを縦横無尽に飛び回っていた。
稀「にゃはは、上出来と言いたい所にゃが、まだまだにゃ、よーく見ておくにゃよ?」
稀彗は飛び回る、飛び回りながら柱などをスルスルと身体を上手くよじらせて、流れるように澱みなく凄い速さで移動している。
稀「どうにゃ?」
奏「わかった、やってみる」
奏も稀彗の様に動き回る。
稀「流石にゃ、動きはすぐに慣れたにゃ、次は鋭爪を使ってわちと組み手にゃ」
奏は降りてきて稀彗の前に立つ。
奏「組み手?稀彗と模擬戦するの?」
稀「簡単に言えばそうにゃ、この家の裏の広場でやるにゃ」
家を出て裏に向かうと何本か木も生えている訓練場の様な場所に出た。
稀「さて、まずはわちの様な獣人種であれば普通に爪が伸びるにゃが、奏は人種の見た目にゃからな、まず自分の指から爪が伸びているイメージをするにゃ」
奏はイメージする、するとそれぞれの指から爪が伸びている感覚があった、まるでエルム街の悪夢に出てくるフレディの様に妖しくひかり、実体化した。
稀「流石にゃ、じゃあわちの攻撃を防いだり躱したり反撃したり、自由にしてみるにゃよ?では行くにゃ」
奏「オッケー」
奏の修行も始まりやはり精神世界時間で三ヶ月を費やした。
涼は岩場を山に向かい歩いていた。
涼「しかし、精神世界の割にかなりリアルな雰囲気だな」
暫くすると山の麓に洞窟らしき穴が開いている場所が見えた、穴の入り口には門番らしき、身の丈三メートル近い赤みがかった肌を晒した筋骨隆々の頭に角を生やし牙のある大男が二人立っていた。
涼「ヤバいな、今の俺じゃあ勝てないかも知れないな」
涼はこの世界で色々な敵と戦い経験値を獲得してレベリングをする修行だろうと推察してしまっていた為、この鬼らしき二体との戦闘シュミレーションをしていた。
涼「よし、行くか!」
涼は一気に距離を詰め、まずは脚を払い倒そうと試みるが、脚への攻撃がすり抜ける。
涼「なんだ?そうゆう技か?」
涼は一旦距離を置くが、相手はまったく戦闘体制にもなっていない事に気が付き、こちらには気が付いていないと理解する。
涼「ん?どうゆう修行なんだ?」
涼は警戒を解き洞窟内へと歩みを進める、すると中で出会う鬼達も涼の事が見えていないかのような行動をしていた。
涼「一体なんなんだ、観光にきたわけじゃないぞ、もっと強くなって二人を守り切れるチカラを手に入れなきゃならないのに、遊んでる暇はないぞ、くそ!」
すると洞窟の奥から声が響いてきた。
低い声の主「がっはっは、意気込みはきかせてもろぉた、その意気ならば俺様の修行にも付いてこられるやろ、早よ奥までこい、その辺歩いてる奴等の事は気にせんでもお前の事は見えとらんし、お前も干渉できんからな」
声のする方へ進んで行くと、大きな部屋へ出た、正面に玉座の様な椅子があり、そこに座している男が喋り出した。
低い声の主「がっはっは、そんなに緊張せんでも取って食ったりせんわい、俺様は獅煌ってんだ、宜しくな涼!!早速だけどよ、なんだ、細けぇ説明は苦手だからよ、あとでゼライドにでも聞いてくれ、俺の前まで来て目ぇ閉じて楽にしてろや」
その男は門に居た男よりは小さいが、涼の第六感がゾワゾワして鳥肌が立っていた、見た目は若い感じがするが喋り方はおっさんのような感じもする、身長は二メートル位だろうか、角は真ん中に一本額から伸びている、髪は赤紫色で肌は薄っすら赤い感じの男であった。
涼は獅煌の前まで歩き出し目の前で一息吐き瞳を閉じた。
獅「行くぜ!」
本当に何の説明も無いまま行くぜとだけ聞こえてきて、少し不安になる涼、その不安を他所に身体の奥からチカラが漲ってくる感覚がハッキリ感じられていた。獅煌は己のチカラを涼へと移譲した。
獅「もう目ぇあけてもいいぜ、どうだ?多分出来た筈だけどな」
涼は獅煌が感覚派なんだろうと思う事にした、それより身体が熱くなる程チカラが迸る様な感覚が続いている。
涼「この力は凄いな」
獅「だろう?俺様の因子を受け継いでんだから、まぁこんくらいの力は普通だな、まだ涼自身のレベルが足らんから全部は解放されてねぇけど、自分でも確認してみろよ」
涼「そうか、ステータス!」
桜庭涼 Lv63
種族 鬼王
職業 調停者
身体能力 Lv7/10
魔力 Lv5/10
無属性魔法 Lv4/10
雷魔法 Lv6/10
自然影響無効
物理攻撃無効
常時身体能力倍化
双剣術
投擲術
音楽術
鍛治術
地球負荷経験値 721359ポイント
獅「よし!じゃあやるか!」
涼「?やるかって何を?」
獅「あん、決まってんじゃねぇか、殴り合いだろ」
涼「決まってないけど、まあ望むところだけどさ!」
獅「あんだ、良い顔出来んじゃねぇか!そう来なくっちゃ面白くねぇよな、ハッハー」
お互いが文字通り目と鼻の先に相手がいる状態からのガチの殴り合いを始めた!
獅「技能的に物理は無効だけどよ、それすら上回る俺達の種族特有の闘気ってのがあるんだけどよ、肚の底にある己の限界の先にあるチカラがそこに眠ってっから、そこから自在にチカラを解放出来るようになるまでやるからな、精神世界だからって舐めてっと本当に死ぬかも知れない技だから気合い入れて俺の拳受けろよ?行くぞぉ」
獅煌の身体が真っ赤になり湯気のような物が立ち登り始める、涼は全身に力を込めて受けの体勢になる。
獅煌の右腕が一廻り太くなり涼が思っていたより早く身体に衝撃が走り、入ってきた入り口までぶっ飛んだ。
涼「ぐうぅっ!!」
獅「おっ、耐えたな」
軽い口調で喋りながら涼へと近づく獅煌、部屋の真ん中に両脚を広げて腰を落としてから
獅「よし!涼もやってみろ!俺は防御はしねぇけどな」
涼は立ち上がりながら何を張り合おうとしてんだよと、思いながら獅煌へと近づきチカラを込めるが、なかなか獅煌の様なチカラが出ずにいた。
獅「おいおい、どうした、最初はまず集中しろ!雑念があるとチカラ拾えねぇぞ、出来るようになれば無造作に繰り出せるけどな」
すると涼の肌が露出している場所から湯気のような物が立ち登り始める。
獅「きっかけは掴んだみてぇな、そこからチカラを掬い上げろ!」
涼の肌が赤みを帯びてきた、そして拳を握り締めると右腕が一廻り太くなる。
獅「おっしゃぁ!こいや!!」
獅煌の掛け声と共に涼の拳が獅煌の腹部へと繰り出される!衝撃波と共に土煙が舞う、段々と視界が晴れてきて二つの陰が部屋の中央にあった。
獅「くぅ〜、初めてにしてはやるじゃねぇか!」
獅煌は一ミリも後ろへズレていなかったが、その腹部には涼の拳の跡がクッキリと残っていた。
涼「はあはあはあはあ、物理無効なのになんで俺は飛ばされたんだ?闘気ってのが関係してるのか?」
獅「まあそうゆうことだな、ここからの次元はよ、物理無効なんて敵も増えるだろうが、俺達鬼にはあんま関係ねぇのよ、まあ涼のはまだまだだからよ、納得行くまで付き合ってやるからとことんやるぞ!時間はあんま気にすんな、こっちに多少いようが現実じゃあ一瞬位の時間だからよ、しかも頻繁には会えねーからこの時間は大事に使わねーとな、んじゃぁやるぞ!」
涼は静かに頷き獅煌との特訓に明け暮れた、こちらもやはり三ヶ月間修行したのだった。
エルオ・ハミニールは故郷であるニュグリースへと立っていた。
精悍な顔付きの男性エルフ「ん?俺の子孫がこの世界に来られるとは思わなかったな、我が名はジーニス・ハミニールと言う、見守っておったぞ我が子孫よ」
エ「私の精神世界に何故ご先祖様がいらっしゃるのでしょうか?」
ジ「強者のみなさんのような強くはないにしろ、血と共に受け継がれるものがあるのだよ、環境についての技能だね、俺は無効まではならなかったから適応止まりだけど役には立つはずだからね、エルオのレベルも三十五まで上がっているから問題ないはずだからね、早速やってみようか」
他の三人とは違いポイントも無いのでジーニスが獲得してきた他の技能は譲渡できなかったが、環境適応のみエルオへ無事譲渡出来たのだった、そのかわり使えるようになる為環境適応の技能がある状態で、様々な環境へ趣き技能を定着させる必要があり、こちらは半年の時間を要した。
陽葵、奏、涼は一時間程で目を覚ました、エルオは二時間が経った頃目覚めた。
ゼ「全員無事戻ってきたようだの、我の友だった者やその配下の者と出会って修行してきたのであろう?特にヌシら三人は格段にチカラが増している様だの、三人には最後の仕上げをせねばならんの」
奏「最後の仕上げって何するの?」
ゼ「このゼライドの分身と戦って見事勝って我の試練の集大成とする事だの」
涼「なるほど、獅煌の言ってた通りゼライドとは昔やり合った仲だとは、この事か」
陽「リリムアも言ってた、目覚めたら覚悟をしときなさいって」
奏「あー、そう言えば稀彗も言ってたわ、戦闘狂だから手合わせしつこかったって」
ゼ「あやつらめ!言いたい放題だの、まあよい、わかっているならば話は早い」
ゼライドはうずくまった状態のまま、その場で口を開け炎を吐くとその炎が人型を型取り炎が収束していき男性の様相で構え出した。
ゼ「加減は出来ぬから気をつけよ」
涼「望むところだ、早速現実でこのチカラを試せるなんてラッキーだぜ」
奏「うちもめっちゃ戦いたいから、寧ろ手加減なんかしたら怒るよ?」
陽「ふふふ、二人もだいぶ強くなったんだね、私も成長を二人に見せたいから、本気できてくれないと困るよ」
ゼ「言ってくれるではないか、始めるぞ!」
ゼライドの分身体が右手を突き出すと炎の矛が現れた、身体からも所々から炎が吹き出している。
奏も鋭爪を出して走り出した、陽葵も虚空より弓を作り出す、これは精霊による能力の一部であった、涼も走りながら身体から湯気の様な闘気が立ち昇る!
ぜライドの分身体も矛を回転させ陽葵の放った矢を打ち払うが、炎の勢いが少し削がれた、奏は見逃さず分身体へ近づくと分身体の矛の一撃が撃ち下ろされたがヒラリと躱して鋭爪で切り刻む!そこを見逃さず涼が闘拳を打ち込むが、矛で防御された、しかし矛が真っ二つに折れる、陽葵が剣で右腕を切り落としたが、分身体は背後に飛び退き斬られた腕を再生し炎の剣を二本出し、すぐさま涼へ斬りかかる!しかし、奏がそれを許さない、爪で片方の剣を斬り落としながら回転して逆の爪で右脚を斬り落とすと分身体は、バランスを崩し倒れると涼の闘拳が分身体の顔面を捉えた!瞬間、分身体の背後から陽葵が袈裟斬りで真っ二つにした。
ゼ「ふっふっふ、分身体といえどもこうも容易く倒されるとは、随分と鍛えられてきたようだの」
奏「めちゃ楽しかった、またやろうね」
陽「一人のチカラじゃまだまだだと思うけど」
涼「まだまだ課題が山積みだから全然納得してないからな」
エ「模擬戦凄すぎて着いていけそうに無いですよ」
ゼ「我の興奮が卵に伝わってしまったようでな、中で動き回って楽しそうでの、そろそろ生まれるかもしれん」
奏「生まれるまでエルと訓練してるよー」
涼「そうだな、今は一戦でも多く身体動かしていたいからな」
陽「あー、ズル〜い私もやりたい」
一対一の模擬戦を何回かしているうちに、無事に生まれたのだった。
奏「うわー可愛いなぁ」
陽「うんうん、生まれた瞬間に立ち会えるなんて、凄い時に来ちゃったけど、この可愛さに出会えた奇跡はなんににも変え難いね」
涼「ああ、しかも俺達を強くしてくれたり、至れり尽くせりで感謝しかないよ」
エ「私も貴重な体験が出来まして、ありがとうございました」
ゼ「ふっふっふ、久しぶりに色々と楽しい事もあり、嬉しい事もありよき日であるな、どれ、ヌシらの所望する我の羽根を持って行くが良い」
奏「赤ちゃんにまた会いに来てもいいかな?」
ゼ「勿論だ、もうヌシらに勝てる者の数は少なくなっておるとは思うが、油断は禁物だからの」
涼「一度後悔しているから、油断はしないよ」
陽「色々お世話になりました、また来ますね」
ゼ「ではな!」
全員で手を振り、宿へと走り二人と合流して五百雀の自宅へと帰路へつく、エルオは帰って来ると言い残し、一旦ニュグリースへ帰っていったのであった。




