聖女と悪魔
最初から一貫して南西に向かっている、向かってくる魔獣を難なく倒し無双してかなりレベルも上がっている、特に目的があるわけではなく、飛鳥は毎日楽しそうに冒険をしている、楓も段々この世界へ順応してきたようで飛鳥とキャッキャうふふと、はしゃいでいる。
飛「ねえねえ、楓ちゃん」
楓「ん〜?どうしたの?飛鳥」
飛「あの山の洞窟って、お馴染みのダンジョン?」
楓「ぷっ!毎度お馴染みのちり紙交換みたいな紹介したらダンジョンも萎えるよ?雷は見える?」
雷「ああ、あれか!見えたけどダンジョンにしては入り口大きすぎるような気がするけど?」
飛「そうなの?なんの穴なんだろ?」
穴に向かい近づいて行くと、確かにデカい高さ20メートルはありそうな穴が奥へと続いている。
飛「楓ちゃん、雷、入ってみよ?」
楓「えぇっ?本当に?ここに?」
雷「今の所危険な気配は感じないし、とくに戦闘にならなくて面白く無いかもよ?」
楓「こら雷牙!戦闘が無いからつまんないとか言わないの!雷は油断してるとすぐ走り出して、魔獣を勝手に狩ってくるんだから、どっかの戦闘民族じゃないんだからエサに飛びつかないで」
飛「そうだよ雷、楓は怒らせちゃ駄目だよ?」
雷「飛鳥が穴を発見したからだよ?僕のせいじゃないもん」
楓「じゃあ雷がつまらないって言ったから入ろうか」
大きな入り口で飛鳥が大声をだす!
飛「お邪魔しまーす」
洞窟内に響き渡り、山彦のように反響している。
楓「………まあそうだよね、飛鳥の馬鹿。そんなに騒いだら静かにしてる人も怒るでしょ?」
楓は呆れていた。
飛「だって〜、勝手に入ったら駄目でしょ?、だから元気よく挨拶したの」
楓「まぁそうね、通常運転だよね(笑)」
雷「なんかこっち来るよ?」
雷牙が普通のトーンで喋り出す。
楓「え?なんかって?」
飛「挨拶したから迎えに来てくれたんじゃない?」
雷「ああ、ここは巨人族の家だったみたいだね」
楓「巨人……?」
巨人だが意外と静かにのしのしと歩いてきた。
巨人「今は客を招いている場合では無いのだが、何用なのだ?」
飛「初めまして!私は飛鳥と言います、何かお困りですか?」
巨人「ああ、わたしはバルザ・フルーゼ、ここはわたしの家族が住む我が家だ、困り事と言うかわたしの子が外で遊んでいたら何かから毒を受けてしまってな、今ある薬草ではまったく効かなくてな」
飛「じゃあ案内してください」
楓「ちょっ、バルザさんは忙しいって」
雷「どんな薬草か分かれば僕がひとっ走り行ってくるけど?」
飛「多分私が治せるから」
バ「なんと!真か?奥に来てくれ」
バルザが走り出すと飛鳥と楓は置いていかれ、雷牙はついて行く。
楓「ちょっと、一歩が違いすぎなんだから加減して」
雷牙が急停止して伏せる。
雷「乗って」
飛「わーい、モフモフ」
楓「モフらせるために伏せた訳じゃ無いでしょ?掴まらないと落ちちゃうからね?」
飛「はーい」
雷「じゃあ行くよ」
あっとゆうまにバルザに追いつく、なかなかこの家は奥が深い、所々部屋らしき広場があったが、一番奥の部屋で子供が寝ているようだった。
楓「部屋が暑いね」
バ「熱がさがらんでな、水で冷やしてもすぐ蒸発してしまうのだ」
飛「神聖邪毒滅殺」
横になっていた子供の身体が光だし、紫の煙が身体から抜けて行く、息が荒かった子供はスヤスヤと息が整い出した。
楓「いつもながら飛鳥はなんでも出来ちゃうね」
雷「うんうん、僕もそう思う」
バ「なんと!神聖魔法が使えたとは、娘の生命の恩人だ、ありがとう飛鳥と、、、」
楓「あっ、私は楓です、何もしてませんが」
雷「僕は雷牙、僕は背中に乗せて連れてきたからね」
バ「楓に雷牙もありがとう」
そこに母親らしき巨人が帰ってきたようだ。
母「これはどうなってますの?」
バ「ああ、エフィメロおかえり、ここにいる飛鳥がベネを助けてくれたんだ」
エ「本当ですの?ああベネ!熱もすっかり下がって本当に良かったですわ、ありがとう飛鳥」
バ「さぁ、今日はもう日が暮れるだろうから我が家でゆっくりとしていってくれ」
エ「そうですわね、お口に合うかわかりませんが、私も腕を振るいますわ」
楓「ありがとうございます、では一晩お世話になりますね」
飛「お世話になります」
雷「僕はチョット外で“運動”してくるから、明日の朝来るね」
飛「そっか、じゃあ『神聖保護(スワーフ』」
楓「雷の身体が仄かに光ってる、何したの飛鳥」
飛「護りの魔法だよ?」
雷「これなら少し無茶しても平気って事?」
楓「違うでしょ!まったくこんなに脳筋だとは思わなかったよ?危ないと思ったら引く!わかった?」
雷「わかったよ、雫姉ちゃん並に言ってくるよな楓は」
楓「なんか文句あるの?」
雷「いやいや、家族が近くにいるみたいで嬉しいなぁって」
楓「まぁ家族でもあり、仲間でもあるんだから、心配するのは当然でしょ?」
雷「そうだね、ありがとう楓!」
楓「じゃあ、行ってらっしゃい」
雷「明日の朝ね!」
雷牙はそう言って駆け出して行った。
飛「あっ!」
楓「うわっ、ビックリした!何したの?」
飛「今日はモフモフお布団無しって事だよ?」
楓はズッコケた。
楓「もう、なんか重要な事かと思ったじゃん」
そうこうしているうちに、いい匂いがしてくる。
飛「わあ、お腹空いてきちゃった」
エ「お待たせしたかしら?あなた、ベネの様子は?」
バ「ああ、ついさっき目を覚ましたから連れてきたよ、さあベネ、この方達がお前を救ってくれたんだよ、ご挨拶は?」
べ「え?こんな小さい人いるんだね、お父さん」
バ「そうか、ベネは人族が初めてだったな、だがまずはお礼が先だな、さっ」
べ「あ、そうか、こんばんは小さな人、私はベネ・フルーゼです、あの、助けてくれて、ありがとう、です」
飛「どういたしまして、遠くからなんとなくここに来なきゃって思ったから助けられただけなんだよね」
ベ「どんな理由でも、私を、助けてくれた、事には、変わらない、よ?」
楓「どうして毒にやられちゃったの?」
バ「そうだ、帰ってくるなりいきなり高熱でぶっ倒れてびっくりしたんだぞ?熱も三日も下がらなくて、いよいよ危ないと思ってたからな、どこに行ってたんだ?」
べ「うんとね、ベネはね、北の森に、果物を採りに、行こうとしたんだ、お父さんの、誕生日だった、から、そしたら、なんだか黒い、霧が木の元から、出てたんだ、それにね、近づいたら、霧が喋り出して、お前は、将来、我が魔族を、脅かす事に、なるだろうから、今の我は、呪毒しか使えないが、確実に、殺せるだろう、て、言われた、次の瞬間私、心臓がドキドキして、息苦しかったから、家に、急がなきゃって、そのあと、の記憶は、無いの」
楓「魔族………」
飛「まだ近くにいるかも知れないね」
バ「そうか、ベネには辛い思いさせたな……、しかし、俺の誕生日覚えててくれたんだな、ありがとな、でも今度から森に行く時はお母さんと行くんだぞ」
エ「そうね、ベネにはまだ森は早かったわね、今度はお母さんも一緒に行くね」
雷牙が勢いよく駆けて飛鳥と楓の元へ帰ってきた!その表情には焦りが見えていた。
雷「飛鳥!楓!ヤバい奴に出会っちまった!」
楓「えぇ?!ヤバい奴って?」
飛「きたよ?」
バ「飛鳥、ベネを連れて逃げてくれんか?」
エ「そうね、私達が足止めをするからお願いできる?」
ベ「え?、え?、私一緒に、いるよ」
バ「すまない、今は詳しく話してる暇は無いが、俺が原因なんだ、スマン、飛鳥、楓、頼んだぞ!」
壁に掛かっていた人間にはとても持てない大きな斧をバルザが軽く持ち、こちらも人間には持てない大剣をエフィメロが両手で装備する。
エ「裏口があるから早く!ベネ、三人と離れないでね、すぐ追いつくから」
雷「入ってきたよ、早く行かないと」
楓「ベネ、お父さんとお母さん強いんでしょ?行くよ?」
ベ「でも、でも、私」
エフィメロが左手をベネの額にかざす。
エ「本当は徐々にやるんだけどごめんねベネ」
エフィメロの手が光だしベネの身体が人間の大きさになる。
エ「さっ、楓頼んだわ」
ベネは意識朦朧としている。
楓「ご武運を!」
エ「ええ、じゃあ行くわね」
楓「飛鳥!行くよ」
飛「うん、でもあの二人死…」
言いかけた時に、楓が強く首を横に振る!
飛「あっ、レベル50になってたんだ、アレ振ってみよう」
楓「アレって何よ?早くしないと!」
雷「そうだよ、飛鳥!あれは駄目だよ、今の俺たちじゃ………」
飛鳥が宙に指を右から左へとフリックして行くと、飛鳥の髪の色が変わっていく、黒から輝く銀色に瞳はグリーン寄りのブルーと変わっていた。
飛「大丈夫だよ?行ってくるから待っててね」
飛鳥は笑顔でそう言ったあと、入り口へ走り出す!それを見て楓も決意を固めてココでベネを護ると決めた、雷牙もその様子から察して止まる決意をした。
バ「お前が大事な娘に呪毒を掛けた野郎か?」
影「ゲッギャッギャッ!死んだか?一応確認しにきたんだが、その様子だと死んだなぁ、ゲッギャッギャッ」
バ「残念だったな、お前ごときの呪毒など、既に解いたわ!」
エ「ええ、ピンピンしているわよ?」
そこに、エフィメロも合流する、二人は目を合わせ頷く。
影「ゲッギャッギャッ、強がりも大概にしておけ、俺様の呪毒がそこらの薬草など効かないぞ?太古の神聖魔法でも無い限り解けるはずがない!嘘吐きだなぁ、嘘吐きは我等悪魔の専売特許、お前らは正直に生きないと神に見放されるぞ?ゲッギャッギャッ」
バ「兎に角これ以上お前の好きにはさせないぞ、行くぞ!エフィメロ!!」
エ「ええ!バルザ!!」
まずバルザが大斧で影を横に薙ぐ!しかし霧か煙かヒラリと躱わす、エフィメロが刺突を繰り出すが真ん中に空洞が出来るだけで影はニヤニヤ嗤っていた!
影「ゲッギャッギャッギャッギャッ!無駄な事は辞めろ!このギリブリュアに普通の攻撃は通じんわ」
飛「神聖光龍浄閃戟」
光の粒子が集約されてとぐろを巻いた龍の姿になりギリブリュアへ向けて牙を剥く!
ギ「グギャッ!ゲッ!ガッガ!グギャギャァ!何、何だぁあ?お前聖女かぁあ!糞!折角完全権限まで後少し、グッッギャッゲッ!しかし、この奥に我らへ連なる存在が居るな?ガーッグッギャッギ!最期の力で覚醒させてやる!グオォォオ!」
光の龍が禍々しい影を喰い破り縛り上げ次々に浄化して行くが、言葉の通り何かの力が洞窟の奥へと飛んで行く。
バ「なんて事だ、聖なる奔流、数百年の時を経て、また出会う事になるとは、聖女様!」
エ「また生きて会えるなんて、その御姿は正しく、ああ、お久しぶりですわ、ユリミラ様」
二人は涙を流しながら飛鳥を見つめている、そして跪き頭を垂れる!
ギ「ゲッギャッビッ、俺様…は、まだ死な…んぞ、仮染め……らだだか……、、間合い‥…最後…………らな」
ギリビリュアは完全にこの空間から、その、存在を消したのだった。
飛「はっ、不味い!」
飛鳥は来た道を急いで引き返す、それを見たバルザとエフィメロは頷き、エフィメロが飛鳥を掬い上げ全速力で走る!しかし走っている途中で禍々しい波動が洞窟内に充満し始める。
少し前
雷牙は何か嫌な気配が近づいている事に気がつく、飛鳥の気配は洞窟の入り口で、かなり強い魔法の気配が感じられているので飛鳥ではないし、戦っているならば自分が対峙したアイツでもないと思っていた。
しかし、視界にそれが見えた瞬間おぞましい力を撒き散らしながら楓とベネの方向へ向かっていた、雷牙の爪が蒼くひかり、その深緑に黒を纏わせた槍のような形状の物へと攻撃した!だが、意思があるかのように、爪撃が当たるであろう瞬間に異常な速度で躱した、次の瞬間楓の胸を貫いていた!
雷「楓!!クソ、俺が仕留め損なったから」
楓の肌の色が深い青になって行く、雷牙はベネを引き剥がし、臨戦体制に入る。
楓「ぐうぅぅあぁあぁぁ!」
貫かれた胸辺りを掻きむしりながら苦しみだし、口から黒い煙の様な物が立ち込める。
楓のような者「ゲッギャッギャッギャッギャ!まさか完全顕現できる肉体に出会うとは思わなかったぞ、ゲッゲッゲ、これは中々の肉体だな、どれ」
楓のような者は、右手の人差し指に黒い稲妻のような光を集めて壁へ指さすと、外が見えるまでに壁を破壊した!
雷「まずいな、こいつお父さん並に強いかもな」
楓のような者「さて、あの聖女が来る前にさっさと退散するか、犬コロその場にいれば何もしないが、追ってくるならば覚悟を決めて来いよ?ゲッギャッギャッ!」
楓のような者は裏口に向かい歩き出す。
楓のような者「くそ!久しぶりの肉体、こんなに遅かったか?」
雷牙は動けずにいた、そこへ先程空いた穴から凄い速さで何かが入ってきた。
月華「あらあら、楓は苦しそうですね、雷牙あなたの遠吠えで感じた出来事より悪化してますね、その娘を護れた事は褒めておきますが、あとでお説教ですね」
楓のような者「ゲッギャッギャッ、弱いヤツが束になったところで一緒だぞ?死にたくなければ…」
月「あら、そんな嘘が私に通じるとでも?貴方はまだ、その身体を扱えていないのは明白なのだけど」
楓のような者「騙されてはくれなかったか、扱いきれていないが、扱えなくは無いぞ」
両者睨み合い、月華は牙を剥き唸り声をあげている、楓のような者は指先に黒い稲妻を集約していた。
エ「これはどうゆう状態かしら?」
エフィメロは一応剣を楓に向けた。
月「懐かしい顔に会えるなんて、こんな状況じゃなきゃ、お茶でもしたかったけれど、それより倅がお世話になったようね」
エ「それよりこの状況は?」
楓のような者「ゲッギャッギャッ、旗色が悪くなってきたな」
エフィメロの手の中で魔法の光が漏れ出す。
飛「神聖光魔法、聖光檻縛滅殺陣逃がさない!」
楓のような者「これは参ったな、なんて言うとでも思ったか?ゲッギャッギャッ!やるならやれ!但しこの身体の主も死ぬがな、グッグッゲーーーギャッギャッギャッ」
飛「楓!あとは楓ちゃん次第だよ?そんな奴には負けないで!」
深層楓(飛鳥が呼んでいる、早く起きなくちゃ、でもこの緑のが纏わりついて剥がせないんだよね。)
深層声(我が力まだ使いこなせないか、では我も手伝うとするか、よいか楓、意識を腹の下辺りに集中せよ、普段使っている魔力よりも濃い魔力が感じられるはずだ、その濃い魔力だけに意識を向けてみろ)
深層楓(誰?また別のおじさんが入ってきたの?もうやめて!)
深層声(おじさんとは、悲しくなってくる言葉だな、まあよい、我はニューゼ・ヲルク・ルノー、魔王を名乗っていた者だ、我が因子を受け継ぎし者よ、このままだと完全に乗っ取られる事はあり得ないが、自由は無くなるぞ、まずは落ち着いて集中するのだ、外からも助けがある故、力の奔流に身を任せるのだ)
楓(なんだかよく分からないけど、やってみる)
月「無属性魔法 精神力向上、さあ楓帰って来なさい!」
楓のような者「ぐぅ、なんだこれは?俺が漆黒に塗り潰されていく感覚、これは不味いかもしれんな」
楓(なんだろ?気持ちが楽になってきたな、まあいいか、この魔力じゃないドロドロしたのはわかってきたな、もう少し集中して………『深淵魔法 漆黒夢幻地獄(ニグリピロース』)
楓の中でギリブリュアが剥がされ漆黒が覆い始める。
ギ(このままでは不味いな、この身体は惜しいが、まずは逃げないとな)
楓の口から深緑の黒いモヤがたちこめる。
楓「ごっほ!がはっ、おぇ〜」
ギュリブリュアが完全に楓から抜け出る
ギ「なんだその身体は?もう何者かがいるのか?」
楓の背後に薄っすらと精悍な顔立ちの男が見えた。
ニュ「お前ら悪魔と我らは似て非なる者!肉体から出たならば容赦なくやれるな」
飛鳥が倒れる、いきなり強力な魔法を連発したため、凄い汗と共に限界がきたのだった。それと同時に聖光檻縛滅殺陣は解除された。
ギ「ゲッギャッギャッギャッ!運は俺に向いているようだな」
ギリブリュアはその場から消えた!
楓も倒れて意識を失っていた、そして背後の男もいつの間にか消えていたのだった。
月華はこのままだと、雷牙が足手纏いになってしまうと判断していた、今はまだ身体能力で少し分はあるが、近いうちに必ず二人に追い抜かれるのは、今の二人の成長を見れば一目瞭然だと月華は判断した!本当は二人といれば自然と雷牙が成長するであろうと判断して送り出したのだが、予想外に二人の成長が早く雷牙が追いつけていない様なので、月華が直々に修行をつける事となる。月華に連れられ暫く帰れないとエフィメロへ言付けを頼んですぐに出立した。
飛鳥は翌日に目覚めた、自身の油断で楓を危険に晒してしまったと考えていた、そして目の前にエフィメロが跪いていた。
エ「お目醒めになられましたか?聖女さま、貴女はどちらでしょうか?飛鳥様ですか?それともユリミラ様でしょうか?」
飛「期待していたならごめんなさい、飛鳥です、楓ちゃんはぶじですか?」
エ「……そうですわね、嫌な思いをさせて、こちらこそごめんなさいね。彼女はまだ目を覚ましていませんわ」
飛「そうですか、雷牙は?」
エ「彼女の息子ですわね、あの仔は月華が直々に厳しい修行をすると言って連れて行きましたわ、そのうち戻るけど自由に旅を楽しんで下さいと言付けを預かっていますわ」
ザ「すまなかったな飛鳥、今回に繋がる昔話になるが聞いてくれ、まず俺達は巨人族の集落に住んでいたんだが、その中でも剣技が部族一のエフィメロと、力が一番のこの俺バルザの居た巨人族が、次々に倒れていく疫病に襲われていた時にたまたまユリミラ様が訪れて我ら一族を救って下さったのだ、その時既に一緒に行動していた狼、今の名前は月華だが、ユリミラ様と共に旅をしていて我らを助けた後、集落を出てすぐの森で悪魔を大量に召喚する儀式を行っていた組織の連中に、ユリミラ様が襲われていたのが見えたので俺達が助けたのが始まりでな、族長が恩人を御守りするのに我らを聖女様のお付きとして同行する様にと、それからユリミラ様と月華と旅をして回ったのだが、悪魔を召喚しようとした邪教の組織にユリミラ様が狙われてしまってな、それから悪魔の間でも我々が狙われるようになったんだ、だが今はベネに因子が受け継がれてしまっているから多分それで目をつけられてしまったのだろう」
飛「そうですか、では私にユリミラ様の因子が受け継がれている可能性が高い訳ですね?」
エ「ええ、ユリミラ様の波動を感じたからまず間違いなく受け継がれているわね、なんの因果か月華の所へ寄り雷牙ちゃんを従え、私達の所へ寄り悪魔との戦闘まであったわ、これは数百年から続く因果がまだ終わっていないと言う事だわ」
ザ「そうだな、だが今更俺達や月華殿が共として旅をしても、もう役には立てないだろう、なので提案なのだが、雷牙が戻るまでベネも鍛え上げるので、その間お二人には暫く我が家でゆっくりとしていって欲しいのだが、どうだろうか?」
飛「そうですね、楓ちゃんもまだ目覚めていないので、その方向でお世話になります」
こうして二人は一旦旅を休憩してフルーゼ一家の家でお世話になる事となる。




