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ヴァンパイアプリンセス

 この町の名は久留瀬(くるせ)と言う名前らしい。この町に来る前に入ったダンジョンは昔からあるレベル的には青銅から紅級の中級のダンジョンだったらしいのだが、どうやらつい最近になって未発見エリアが追加されていたらしく、成長型のダンジョンのようだった、大地の奥深くに魔素脈と言われている濃い魔素の流れている断層があるらしく、それがダンジョン付近にあり、何らかの原因で断層割れでもしてダンジョン内部に大量の魔素が流れ込みダンジョンが進化してしまったらしい。その為この小さな町にこの國でもトップクラスの冒険者達が集まっていた。

 西園寺は忙しくしていた。

 西「キチンと順番を守らない方は受け付けに来ても対応しませんからね!それどころか組合長にお灸を据えてもらいますのであしからず」

 イケメン「やっ!久しぶりやな西園寺ちゃん、なんや要請されてきたんやけど、詳しい事情は聞いてへんねん、何があったん?」

 西「これはこれは、白金級のカール・フォルマール様、お久しぶりで御座いますね、カール様は二階の会議室へお通ししろとの組合長の指示で御座いますので、階段から会議室へどうぞ、そこで詳しいお話がされると思いますので宜しくお願い致します」

 カ「西園寺ちゃんおおきに、ほな」

 カールが会議室の扉を開けると先客が席に座っていた。同じく白金級のアメリア・メルローズ、黄金級の鬼閻(きえん)龍一楼(りゅういちろう)の二人だ。

 組合長「みんなよく来てくれたな、俺は組合長の磁村(じむら)だ、要請に応えてくれて感謝する」

 カ「そんな挨拶はええねん、要件だけ聞かせてんか」

 磁「まあみんな忙しい中来てくれてるからな、この町の近くのダンジョンがあるのは皆も知っていると思う、元は中級だったのだが、どうやら中級以上に上がっている可能性がある、なのでココに居る三名には危険度の再調査をお願いしたいのだが、危険だと判断したならば即時撤退をして欲しい、実は漆黒の冒険者にも要請は出していたのだが今日この場には間に合わなかったようなので、君達で調査が完了しなかった場合はその冒険者に頼る事となるだろうから無理だけはしないで欲しい」

 ア「なるほど、まだ進化して間もないが噂はすぐ流れてきていたな、良かろう私は調査団を手伝おう、危険ならば即撤退するがな」

 鬼「ふっ、この町の冒険者では役不足なので俺達を呼び出した訳か、まあいいだろう準備出来次第すぐに潜らせてもらおうか」

 カ「今攻略中のダンジョン後回しにしてきたわけやし、わいは本気で行かせてもらいまっせ」

 

 それぞれの上級冒険者が準備を始めた頃、既にダンジョン奥深くに四人の影があった。

 夜「セバスよ、ご苦労であったな、鉄鉱石だけでなく、こんなに沢山の色々な鉱石を集めておったとは、流石は我が眷属よ、しかしこの先は我に任せて下がっておれ、ヤツは其方ではまだ早いからの」

 夢「セバス有能すぎるんだけど」

 愛「最初は苦手だったけどぉ今はなんか頼もしい限りですぅ」

 律「ははは、愛は最初顔引き攣ってたもんね、でもこれでお風呂は確定したわけだし、セバスには足を向けて寝れないよ?」

 夢「それよりも今は目の前のコイツをなんとかしないとね」

 目の前には前の世界で言うところの闘牛が咆哮をあげている。

 夜「この階層に来るまでも魔獣共を倒しまくったからの、皆の力も上がっておるでな、ではゆくぞ」

 律は町で色々買い物をしてきた、まず自分の特性は多分タンク向きだと分析して大楯を買い、愛にはなんとか魔法の覚醒をしてもらう方向で魔法の杖を、夢詩花には両手で装備する肉厚なサーベルタイプの剣を、夜宵にはレイピアの様な細剣を買ってきた。

 律が大楯の裏に付いていた短い鉄の棒で盾を打ち鳴らす、すると牛の魔獣はこちらへ狙いを定めてきた、ヤツの攻撃は多分あの角でのかち上げであろうと推測し、突進してかち上げの瞬間より一メートル手前で思い切り盾による打ち払いをするように踏み込み牛の頭を跳ね上げる、恐怖心がなかったわけでは無い、しかし思い切り踏み込んだお陰で相手の予想外を引き出し跳ね上げに成功した。その怯みの瞬間二つの影が両脇から素早く牛へ刺突を繰り出している、右が夜宵左から夢詩花が首のやや下側、多分二人の感覚でゆうところの心臓狙いだろうがハズレだったようだ、牛が首を振り暴れ出すが二人とも剣は引いていた、そこへ愛が叫ぶ

 愛「皆んなぁ、下がってぇ」

 三人がすぐさま飛び退くと

 愛「岩風弾(ロレッタ)

 皆んなが足止めしている中ゴツゴツした岩の塊を風の力で高速回転させていた物を勢いよく打ち出した!土魔法と風魔法の複合魔法である。

 牛の眉間に岩の塊が二つ、右前脚に一つがヒットした、その場に牛が倒れ込むと夢詩花が首を切り落とした!

 夢「愛〜凄い魔法使えるじゃん、牛白目向いてたよ?」

 愛「やだぁ、解説しないでよぉ」

 夜「愛もなかなか強力な魔法を使えるようじゃの、我もうかうかしとれんのじゃ」

 律「夜宵ちゃん、美味しいかもだから収納できる?」

 夜「む、そうじゃな牛は牛じゃからの、まかせるのだ」

 影収納に呑み込まれていく。

 夢「楽しみが増えたねー!」

 愛「そうですよねぇ、一応國産和牛と言ったところですもんねぇ、A5だと嬉しいなぁ」

 夜「兎の魔獣も食べれた故こやつもいけるであろう」

 律「とりあえず牛は保留で、どうする?進んでみる?」

 夜「そうじゃな、この位の魔獣であれば我らでも問題なくいけそうなのじゃ」

 夢「危なくもなかったもんね」

 律「じゃあもう少し進んでみようか」

 先に降りていく通路がありその先に進んでいくと、今までの壁は薄っすらと碧だったが段々と紅くなってきていた。

 夜「ぐっ!」

 夢「夜宵?どうした?」

 律と愛にも緊張が走る

 夜「なんかわからんが我から力が抜け落ちる感覚なのじゃ、立ってられん」

 夜宵はその場で膝を付きうずくまった。律を先頭に左右に愛と夢詩花で固めていると地面から赤い霧の様な物体が揺らめいているのに律が気づく。

 律「二人とも正面に何かいるかもだから油断しないで!」

 愛と夢詩花は無言で頷く。

 すると赤い霧は段々と人型に形が整えられてゆき、身長190センチ位の男性で燕尾服にマントを羽織った眼鏡の20代後半から30代位の少し顔色の良くない人になってゆく。三人は緊張で汗が頬を伝う。

 男性「ふっふっふ、素晴らしい!流石は始祖様より受け継がれし闇の奔流、かれこれ何百年になるのかも数えてはおりませぬがやっとこの地に舞い戻られたのですね、永きに渡り始祖様に仕えてあのハイヒューマンの口車に乗ってしまわれ異世界へと旅立たれたあの日、どれだけ後悔したことか、わたくしがもっと強くお止めしておればもしや………いや、始祖様の判断に異を唱えるなどしてはいけませんな、反省せねば……ところであなた方は何者でしょうか?そこなお嬢様をこちらへ黙って引き渡すならば命は保証致しましょうか。反撃するならばそうですね、一撃づつならば受けて差し上げましょうか?そこから絶望の顔を眺めながら魂を頂戴いたしましょう!」

 不気味な笑みを浮かべながら不気味な事を言っている男の口元には牙が見えていた、三人はおそらく話ぶりとの総合的な判断で吸血鬼であろう事はわかった、しかし夜宵を渡せと言っている事には怒りを覚えて恐怖を凌駕していた!

 夢「おいおっさん、夜宵は大切な友達なんだよ、私らが死んだってお前なんかに渡すかよ」

 律「その通りです、悪いけどそのまま引き返すならば見逃すけれど来るなら容赦はしないぞ」

 愛「夜宵ちゃんは渡しません!」

 いつものほほん口調の愛がハッキリ喋る!

 男性「おっさんではないわ!たわけめ!!………ふぅ、久方ぶりの顕現で取り乱しましたね失敬。しかし友達、友達などわたくし共の姫には必要ございません、戦闘の意思があるようなので仕方ありませんね、では約束通り一人につき一度攻撃を許可致しましょう、どうぞお好き……」

 話も終わらず夢詩花は怒りに任せた一撃を放つ。

 夢「風の精霊、土の精霊、闇の精霊よ力を!(フェル)(ムラ)(アジーラ)

 この空間で力を発揮する精霊魔法を行使する!風による身体能力主に速度を上げ、土による力と硬さを上げ、闇の特性で気配を断ち、一気に斬りかかる!

 男性は夢詩花の姿が消えた事に気が付き咄嗟に左の腕で防ぐ動作をすると腕が飛んで行った。

 男性「ぐっ!」

 そこで準備万端の律も魔法を唱え終わるタイミングであった。

 律「うおー!火岩槍(オローソ)

 左手の大楯で押し込みながら右手に魔法で出来た岩の槍に火が灯っていた切先を左腹部へ突き立てる!

 男性「ぐあぁあ!」

 律がすぐさま後ろへ飛び退くと

 愛「光剣舞(ウルミリア)

 無数の光の剣が洞窟の天井に現れ男性目掛けて飛んで行く!

 男性「がはっ!」

 男性はその場に右膝を付き、腕、腹部、とやられ更に肩、胸、腰、太もも、足の甲などに光の剣が突き刺さって大ダメージを受けていた!

 男性「くっくっくっ、痛み、痛みですね、なるほど思い出してきましたよ、この我ヴァーミリオン・カフィロト・アルジミーラ!この世界に再び降り立ったのだと!いやいや、何故人間ごときがヴァーミリオンの血を流させる事ができようか?そう言えば友達と申しておったな、姫の友達であれば可能だと言うのか?そうだな、このヴァーミリオンが間違っておったのやも知れん。其方ら我が早とちりしてしまったやも知れん、遠い昔我が主人(あるじ)を人間に誑かされて冷静さを欠いていたやも知れぬな、許されよ姫の友人達よ!」

 ここで夜宵が落ち着きを取り戻し息を整えた。

 夜「お前は何者なのじゃ?」

 ヴァ「はっ!姫様お初にお目に掛かります、我が名はヴァーミリ…」

 夜「名はもうよい、何用じゃ?」

 ヴァ「これは失礼致しました、我は先代ヴァンパイアクィーンであるベルメリア・チュフォル・ムリオロール様に支えし右腕で御座いました、しかしベルメリア様は彼の地へと旅立たれ、我々眷属も力が弱まり影としてこの世界の片隅に追いやられてしまいました、しかし!今ここに我ら王族の力を受け継ぎし姫が現れた訳でごさいまして、これは我が眷属には久方ぶりの寵愛を賜りたくこの不祥ヴァーミリオンめは、魔脈を通じて顕現いたしました、どうか我が主人の城へとご同行願えませぬか?勿論ご友人の方々もご一緒にいかがで御座いましょうか?」

 喋っている間にみるみる傷が黒いモヤにより塞がっていき、会話の最後には腕も再生して夜宵に対して頭を垂れ跪き敬服していた。

 夢「夜宵騙されないでね、初見でかなり私らの事見下してたから腹の中は真っ黒だよソイツ」

 律「そうだな、正直言って信用はできないかな」

 愛「まあ姫の為にってゆう少女漫画もあるけどぉ夜宵ちゃんの判断にお任せだよぉ」

 そこに金属の鎧の音が近づいてくる!

 カ「おいおい、なんでやねん?この気配はロードクラスやんけ」

 鬼「なんて事だ!町の住人へ避難指示を出さないと山のような死者がでるぞ」

 ア「ここまでの強者が生まれているとは我らでどれだけやれるかわからんが、お前達!地上に危機を知らせに走れるか?負傷しているならば回復薬はここに置くゆえ、ここから脱出しろ!」

 ヴァ「くっくっくっくっくっ!ご友人方より強いと思われているようですが貴方方の方が弱者ですよ?潜在能力も見抜けぬとはこの世界はかなり平和なのでしょうか?まあいいでしょう、姫様我が転移陣をあちらに設置致しました故、ご友人とお先にお待ちください。我はこの者共を……」

 夜「ならぬぞ、撤退させるだけにするのじゃ」

 ヴァ「おお!流石ベルメリア様と同じセリフですな!何百年経とうとも昨日の事のように思い出されます!命令は絶対ですので、必ず守りますのでどうかお先に」

 夜「厄介な事になると面倒じゃから行くかの?」

 夢「夜宵が決めたなら行こうか!」

 愛「そうですねぇ、行きましょう!」

 律「ああ、そうだな」

 光った魔法陣へと入ると転移した。

 ア「くっ!既に魅了されていたか、私とした事がもう少し早く現場に着いていれば」

 カ「まだあきらめんのは早いんちゃいまっか?ヤツを倒してからでも間に合いまっせ」

 鬼「そうだな、魅了だけならばまだ間に合うはずだ、洗脳まで使われると面倒になるからな」

 ヴァ「退いてくれれば余計な怪我などせずに済んだものを、立ち向かって来るのであれば相応の対応をせざるを得ませんが宜しいでしょうか?」

 ア「どうやら舐められているようだな、ヴァンパイアには神聖魔法だろう!くらえ!!『神聖領域(セイクレッドレルムス)

 床に魔法陣が広がりその範囲にある不純な物質は浄化されてしまう魔法である。

 ヴァ「ふむ、同じ魔法でも聖女の聖句でもない魔法などなんてことありませんね。やはり超越者達の言語でもなければ我には効かない事が証明されましたね、あの御三方はやはり姫様のご友人であると認めましょう」

 カ「何ごちゃごちゃゆうてんねん、魔法が効かなきゃ物理やろ?」

 カールは自分の大剣に炎の精霊の加護を纏わせ斬りつける、が斬れずに刃が止まってしまった。

 カ「嘘やろ?わいの渾身の一撃やで?一ミリも斬れへんことある?こんなん勝たれへんで」

 ヴァ「もう宜しいでしょうか?」

 鬼「くそっ!やってやるよ!」

 ヴァ「貴方はまだここに立つ資格はありませんね」

 と右手で軽く払うと、鬼閻龍一楼は後ろの壁まで飛ばされた!

 鬼「ぐはぁっ!」

 カ「なんやて、腕払っただけやで、撤退せなあかんでアメリアはん」

 ア「殿は引き受けるから彼を連れて脱出してくれ」

 カ「ほな遠慮なく行かしてもらいまっせ」

 ア「ああ、気にせず行ってくれ」

 ヴァ「ふむ、まあ退くのであればもういいですよ?我も暇では無いので終わりにしましょう」

 ヴァーミリオンはそう言うと自身を黒い霧へと変貌させ、段々と薄くなりそのまま消えた。

 ア「屈辱的だな、だがリベンジの機会があれば必ず仕留めてやる」

 カ「はあ〜生きた心地せえへんかったなあ、龍一楼いけるかあ?」

 鬼「ああ、何とか、ゴホッ」

 カ「あかんやん、回復薬のみ」

 なんとか生き残った三人は無事脱出して組合へ報告を行った、だが脅威は去っていったと思われたので緊急事態ではないと報告したが、何度か上級冒険者が確認に行くべきであると進言しておいた。


 夜宵達は転移先に来ていた、見渡すとまず大きな扉、振り返ると洋風の階段がありレッドカーペットが敷かれている、そうまるでお城かのようだった。

 夢「ちょっと何処に飛ばされたの?」

 夜「我にもわからんのじゃ」

 愛「映画に出てきそうな建物だねぇ」

 律「さっきのヴァーなんとかさん来るまで待ってたほうがいいのかな?」

 夢詩花は歩き出し部屋を開け出した。

 夢「誰かいませんかー?」

 律「あんまりうろうろしないほうがいいよ、何が出てくるかもわからないんだから」

 夢「だって暇なんだもん、あれ?夜宵は?」

 愛「あれれぇ、何処いっちゃったのかなぁ」

 律「本当だ、いつのまに?」

 ヴァ「ご友人と言えどウロウロと、感心しませんね」

 夢「わあっ、ビックリした、暇だったからついね」

 ヴァーミリオンが黒い霧状から元の身体に戻り三人を驚かせる。

 愛「ごめんなさい夜宵ちゃんが何処行っちゃってて、そのぉ、お手洗いかも知れないですしぃ、あの、そのぉ」

 夜「お手洗いではないのじゃ!」

 上の階から声が聴こえる。

 愛「あっ、ごめん夜宵ちゃん」

 夜「よいのじゃ」

 ヴァ「こちらでしたか姫様、この部屋は先代のベルメリア・チュフォル・ムリオロール様のお部屋に御座います、当時の状態をそのまま保存魔法(セールズ)にて保存しております」

 夜「城だと思うのじゃが、ここは何処なのじゃ?」

 ヴァ「はっ、此方は先ほどいらっしゃいましたダンジョンより更に西の最果てに御座います。こちらは魔脈のすぐ上に建っており魔素も大変濃くなっております、そして私ヴァーミリオン・カフィロト・アルジミーラは魔脈よりの懐かしい波動を感じ姫様の元へと辿り着けたので御座います」

 夜「そう、この世界が我の………この場所が我のルーツであったか」

 ヴァ「お帰りなさいませ、姫様!永らく空けていたこの城も主人(あるじ)の帰還を喜んでいることでしょう。姫も我らの王族でございますれば、先代女王の家名を引き継がれますか?」

 夜「ふむ、そうじゃな、では我は今宵よりノチェルナ・ウェスペリ・ムリオロールである、まだクィーンを名乗る程の力は無い故、ノチェルナ プリンセスと呼ぶが良いのじゃ!あーはっはっはっは」

 ヴァ「はっ!ノチェルナ姫、我が忠誠を捧げます」

 夢「えっ?夜宵じゃなくなったってこと?これからはノチェルナ?カッコいいかも!」

 愛「ええぇ、ノチェルナちゃん、ルナちゃんでもいいですかぁ?」

 ノ「好きに呼ぶがよいのじゃ」

 律「いきなり改名かよ、呼び間違えたらごめん」

 ノ「我は狭量ではないのだ」

 ヴァ「ところで姫、その人型の布はなんでございますか?」

 ノ「ああ、これは我が相棒のくま美であるのだ」

 夢「いや、ヴァーミリオンさんに厨二は通用しないでしょ?」

 ヴァ「なんと!流石は姫でございますな!」

 夢「通用したよ!」

 ヴァ「くま美様から懐かしき気配を感じておりました故、少々くま美様をお借りして宜しいでしょうか?」

 ノ「うむ、大事にの」

 ヴァーミリオンが受け取ると、魔法を発動させたらしくくま美が宙に浮き出した、次の瞬間くま美の胸にある紅い宝石?のような物が光だした!

 くま美「ふぅ、久しぶりよのお、ヴァーミリオン」

 ノ「くま美!喋れるの?」

 愛「あら〜、可愛らしいですねぇ、どぉやったんですかぁ?」

 夢「いや、生命でも吹き込んだの?」

 律「いやまさかの設定が本気になっちゃったよ?」

 ノ「むぅ、設定ではないのじゃ!」

 ヴァ「ははははは、皆様落ち着かれて下さい。こちらに(おわ)すのは、かのヴァンパイアクィーンであるベルメリア・チュフォル・ムリオロールその方で御座います」

 律「え?!」

 夢「はあ?!」

 愛「えぇ?!」

 ノ「………くま美………あんな時とか喋りかけてたのに……」

 くま美「そうであるな、我が名はくま美である!」

 夢「中身がクィーンだからわかるけど、偉そうなくま美ってどうなの?」

 く「ごほん!我が名はくま美よ?ええい、喋り方は変えられんのじゃ!ヴァーミリオン其方が何とかするのじゃ!」

 ヴァ「そうですね、いつものクィーンに戻られましたね(笑)」

 律「まさかとは思うけど、クィーンは我儘お嬢様?」

 ヴァ「ごほんごほん、あーあー喉の調子が、ゔっうん!ご友人あまり行き過ぎた発言は慎むように!まあそうですね、では改めましてベルメリア様で御座います、ノチェルナ様も宜しいですね?」

 無言の圧がくま美から発せられる。

 ノ「まあよいのじゃ!」

 ベ「ようやく封印を解けるヤツが現れてくれて助かったのじゃ、己を封印して自動で解けるはずじゃったが、解ける術式を組み込み忘れたのじゃ」

 ヴァーミリオンがニヤケた笑みを隠せず発言する。

 ヴァ「いつものベルメリア様で安心致しました」

 律「え?クィーンってポンコツだったの?」

 ベ「こら、誰がポンコツか!我は偉大なクィーンであるぞ、ヴァーミリオンのせいであるな、お主がニヤケておるから我がポンコツ扱いされておるのじゃぞ」

 ヴァ「これはこれは、大変失礼いたしました。しかし、御息女と共にこの地へ帰還されるとは思っておりませんでした」

 ベ「別に帰って来たわけではないのじゃ、あくまで夜宵、今はノチェルナが選択した結果なのじゃ、我はその事になんの力も使っておらぬ故ノチェルナもそこは安心せい」

 ノ「わかったのじゃ、それと、くま美が却下であれば我は何と呼べばよいのじゃ?お婆様?あといつの間にくま美に取り憑いたんじゃ」

 べ「ちょっ、それは駄目じゃ、母上と呼んで欲しいのじゃ、一応子は成したので其方がおるわけじゃが、お婆様は無いのじゃ、我泣いてしまうぞ、そうじゃな、この胸の紅い宝石が見えるであろう?これに我を封印してあるのじゃが、基本仮死状態の様な感じで寝ておるのよ、もう何世代も前からであるからたまにゴミの山で目覚めたり、物置きで埃だらけになっておったり、その都度喋れはせぬが力を使って移動して一族を見守ってきたのじゃ、だからくま美には最初宝石なんぞ付いておらんかったはずじゃ、これが答えじゃな」

 ノ「わかったのじゃ、母上。ところで配下はヴァーミリオンの他にはおらんのじゃ?」

 べ「まあ我に愛想を尽かしたのであろう、今更クィーンだとゆうても統率などできんじゃろう」

 ヴァ「しかしながら我らの始祖たる純然なる血と因子は、王族である貴方様とノチェルナ様しかおりませぬのは間違いのない事実で御座いますので、アヤツが何を喚き散らそうともこの不肖ヴァーミリオンが蹴散らしてご覧に入れます」

 べ「無理であろうな、お主は知将たる地位を我が与え、彼奴には猛将たる地位を我自らが与えたのじゃ、お主では二人揃って消滅してしまう可能性があるのじゃ、今お主が消滅してしまったらノチェルナはどうなる、我はこの状態であるから大した事はできぬぞ」

 ヴァ「はっ、浅慮な発言申し訳御座いませんでした、まずはノチェルナ様の強化からに致しましょう」

 べ「皆が飽いておるのじゃ、この話はしまいじゃ、我も覚醒したてで色々考えとうないからの、食事の支度をせい、地下のワインはどうなっておる?」

 ヴァ「はっ、当時のままに御座います、食事は我が配下にお任せ下さい」

 夢「やったぁ、話の途中からお腹鳴ってたんだよね」

 愛「私もペコペコなのですぅ」

 律「おいおい、少しは発言に遠慮を乗せろよな、ストレートに言い過ぎだぞ」

 ノ「まぁよいじゃろ、仲の良い友達の家で遠慮はしないであろう?」

 夢「そそっ!律は少し堅いぞ」


 西の最果ての断崖に(そび)える洋風の城に近づく影かあった………

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