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100万回目も君に  作者: rere
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3

 僕は早朝、狭く入り組んだ路地の先に足を運んでいた。


「長老 」

「おお、ハルか 」


 僕が長老と呼ぶ彼は、猫又と呼ばれる種類の猫であった。


「長老、聞いて欲しい事があるんだ 」

「なんだ 」

「彼女の子供を助けたい 」

「彼女?ああ、その事なら大体知っておるよ 」


 長老は、物知りである。僕なんかよりもっともっと長い間の期間を生きていると聞く。


「それよりお主、今何回目だ 」

「何回目?ああ、丁度、100万回目だよ 」

「そうか、そうかついに… 」


 長老は、なにか考え込んでいる。少し経つとその重たい口が開き、


「汝、よく100万の時を過ごした 」

「急になんだ? 」

「このまま100万回目を終えると不老不死となり猫又へと生まれ変われるだろう 」


 長老の声はいつもと違いどこか機械的で少し神々しさを感じた。


「どういう事だ 」

「100万回生まれ変わった猫にはその権利が与えられる 」

「なぜだ? 」

「それは、神のみぞ知る領域だ 」


 神のみぞ知る、か。

 ん、待てよ。


「長老 」

「なんだ 」

「その権利の代わりに願いを叶えてはくれないか 」

「願いだと 」

「ああ、もしかすると可能かと思って 」

「まあ無理ではない、しかし願いを叶えるとなるとそれと同等の対価を払わねばならん、それでも汝は望むか 」

「ああ 」

「迷いのないいい返事だ。よかろう、その願いとはなんだ 」

「ある人間の病気を治して欲しい 」

「人間? 」

「はい 、できるか 」

「無論だ、ふむ。なるほど、お主の願いは大体わかった 」

「本当か? 」

「幼き人間の事だろう 」

「ああ 」

「そうか、しかしこれ程となると対価は汝の命になってしまうぞ。それに、生まれ変わる保証もなく全てを失うかもしれぬ。それでも良いのか 」

「…僕の命で助かるなら 」

「迷いはないか、何が汝をそこまでさせる 」


 なにが、か…。

 ああ、そんなの決まっている。


「彼女の笑顔の為に 」


 いつだって僕の世界は彼女を中心に回っている。


「汝のようなものは初めてだ。よかろう。汝の願い聞き届けた 」

「本当か 」

「うむ。汝の思いの強さに敬意を評して、汝の慕う者達これからの平穏を約束しよう 」

「ありがとう 」

「ではすぐ行うぞ 」

「僕の命はいつまでもつ 」

「持ってあと数時間だろう、すまぬ 」

「いや、ありがとう 」

「では行う 」


 その声と共に僕は光に包み込まれた。

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