第一章 Episode7「適正属性「〈アフィニティ・エレメント〉」
朝、部屋に差し込む朝日の光で目が目が覚めた。
なんだか体が体が重たかった。昨日は色々あったから、精神的にも肉体的にも疲労が溜まっていたらしい。
重たい体を起こし寝室を出ると、すでにリビングではセリシアが朝食の準備をしていた。
「おはよう!アス君!はいこれ、今日の朝ごはん。」
そう言われ、テーブルの上に置かれたのは、パンと昨日作ったスープの残り。
「ありがとう。…あれ?セリシア、ユノアは?」
「あー、ユノアならそろそろ起きてくるんじゃないかな。でも、まって寝起きのあの子は……」
セリシアが複雑そうな顔でそう言いかけると後ろから「あー、……まだ眠い……」と少しだるそうな声が聞こえた。
「お、ユノア゙アアアアアアアアーーー!?で、出たア!バケモノーー!」
「ば、バケモノなんて失礼な。」
「あれ?ユノア?」
最初ひと目見たときは何かと思ったが、正体はユノアだった。昨日初めて会ったときの髪型もすごかったが、今日は寝起きで寝癖がついており、昨日よりさらにすごい髪型になっていた。
「……ユノア……それ本当にわざとじゃないのか?」
「わざとなわけないじゃないですかぁ〜〜、毎朝こんな感じですよ。」
セリシアいわく、ユノアにとってはこれが「日常」であり「デフォルト」らしい。
「ほんとにユノアは相変わらずだよね。アス君を見習ってもらいたいよ〜
…あ、そうだアス君。ご飯食べ終わったらちょっと外に来てくれるかな?」
「外?わ、わかった。」
こんなに朝早くから一体なんの用だろうと、おれは首をかしげた。
と、一人で疑問に思っていると横で朝ごはんを口いっぱいに頬張っていたユノアが口にした。
「あぁ〜〜。セリシアさん、アスさんにもあれやるんですね。」
「あれ?知ってるってことはユノアもやったことあるんだ」
うんうんと頷くユノアを横目に、俺はごちそうさまと朝ご飯を食べ終え、部屋でセリシアが置いてくれたであろう服に俺はそそくさと着替え、外に駆け出した。
玄関のドアをあけると森や周りの家には朝霧が立ち込めていた。
涼感な空気が肺を満たし、朝の眠気が覚め、少しだけ頭が冴える。
霧の向こうで、セリシアが静かに立っているのが見える。
立ち込める霧の中、彼女のエメラルドグリーンの髪だけが鮮やかに浮かび上がっていた。
「よし来たね!じゃあ早速始めたいんだけど…まず説明しておかなきゃね。
今から君には…適正属性を知ってもらう。」
適正属性?その単語を聞いて、正直俺はあまりピンときていなかった。
頭の中がハテナマークの俺にセリシアは続けて話した。
「正式には適正属性って言うんだけど、この世界の人たちは生まれるとき絶対なにかしらの属性を持って生まれる。例えば火属性の適性を持って生まれた子は火属性の魔術と相性が良いってこと。自分の適正の魔術を使えば適性がない人より威力が上がったり、覚えられる魔術の量も多いんだ。逆にその子が火属性以外の魔術を使うと威力が落ちてしまったりする。これが適正属性。」
セリシアの話になるほどと俺は相づちを打った。
でも…やっぱり適正属性なんて初めて聞いた。あるいは、今の俺が覚えていないだけなのかもしれないかなと思った。
覚えていないならまた覚えればいい。そう思った。そこで俺は適正属性のことについて、セリシア色々聞いてみた。
「さっきセリシア…この世界の人は必ずなにかしらの属性をもって生まれるって言ってたけど、属性ってこの世界にいくつくらいあるんだ?」
その質問にセリシアはすぐ口を開いた。
「主には火、水、風、闇、光の五属性だね。でもその五属性の派生系みたいな属性も存在するけど、数が少なすぎて明確な属性はないんだ。
無属性っていうのもあるけどあれは適正とかそういう概念がないから誰でも扱える属性なんだ。
ちなみにユノアの適正属性は光、私は風が適正。あと光属性の適正もってる人は結構珍しいんだよ。私でもあんまり見たことないんだよね。」
俺は5属性のうち、どの魔術も使ったことないからどの属性が適正なのか検討もつかない。無属性の魔術はダスクウルフと戦ったときに使ったがあれは適正じゃないらしい。
「でも、どうやって俺の属性を知るんだ?」
と疑問に思った俺に、セリシアはこう答える。
「魔術の中にはね、相手の適正属性がわかる魔術があるんだよ。うまく使えば自分にも使うこともできる。でも、この魔術を使うにはすごい胆力を使うんだ、他人の魔力の流れなどを見て適正を判断する。
ただ魔力を知るだけじゃなくて相手の体の中を探るから詠唱しただけじゃ使えない。それだけ難しい魔術ってこと。ということで!さ、ここに立って。」
俺はセリシアに言われた通りに立ったのは草もなにも生えていない地面に立った。
「なぁ。これってどうして外でやる意味があるんだ?」
「この魔術、結構魔力が多いし魔法陣も大きいから家の中じゃ物も多くて広さが足りないから外でやってるんだよ。ユノアにやったときも外でやったからね。」
わかったこととして、魔術は魔力に応じて魔法陣の大きさも変わるらしい。多分だけど攻撃系の魔術も威力などによって使う魔力量や魔法陣の大きさが変わるものがあると思う。
「はい!そんな考え込んでないで早くやるよ!
アス君。絶対そこから動かないでね。」
「う、うん…」
俺はセリシアの指示通りその場から動かず、セリシアが魔術を使うのを待った。
するとセリシアは静かに目を瞑り《つむり》、「すぅ〜はぁ〜」と深呼吸をして目を開けた、先程のセリシアの柔らかい目つきがなかったかのように、別人のような鋭い目つきに変わった。
「我が魔力を織り成す理よ
汝の内なる魔力の源よ
形なき姿を写し出し、その本質を今ここに示せ!
エレメント・ディクレプト!」
そうセリシアが詠唱すると、俺の体の周りから無数の光が溢れ出した。俺はその光の中、うまく目を開けられずにいた。なんとか薄目で見えたのが、魔術を詠唱したセリシアが俺の周りと同じような光に囲まれ、彼女の髪がその光に乗っているようにフワフワと少し浮かび上がっており、手のひらだけがこちらを向いている姿だった。
俺はセリシアが使った魔術を「すげ〜〜」と心の中で思ってると、セリシアがいた方から独り言のようなものが聞こえてきた。
「あ、あれ…嘘…。そんなはずないのに…」
セリシアにとって不都合なことが起きたのかわからないが、少し後ろ向きな発言に聞こえた。
間もなくセリシアが魔術を解き、それと同時に先程まで俺達を囲んでいた光が消え去った。
「セリシア…さっきの光は?あと…そんなはずないってどういう…。」
いつもより複雑そうな顔でセリシアは言った
「うん…さっきの光は君の魔力だよ。私の周りの光も同じ。
…さっきの独り言、アス君にも聞こえてたんだ…実はね君の魔力を五属性、全てと照らし合わせてみたんだけど君の魔力は五属性どれとも適性がなかったんだ。」
その言葉に耳を疑い
「え?それって…どうゆうこと?」
と考える前に聞き返していた。
「言葉の通りだよ。そのまま無適正とでも言おうか、君には五属性のどれとも適正を持ってない。私もいろんな魔術師や人たちを見てくたけど、適正なしの人なんて初めてみたよ。」
俺は落ち込むとか悲しむ気持ちというより、驚いたという気持ちのほうが大きい。セリシアも見たことのない人だというから。
セリシア曰く《いわく》、無属性というは聞いたこともないし、セリシアが知っている限り今まで同じような人がいた前例もないらしい。
そんな驚きの連続な話を淡々と聞いていると、
「でも、無属性って適性がないってことですよね?てことは弱点のになる属性もないってことじゃないですか?」
と、後ろから流暢に話す聞き覚えのあるもう一人の声が聞こえてきた。
振り返るとそこにいたのはやはりユノアだった。
「やっぱりユノアだったか、でも弱点がないってどういうこと?」
「確かに!」と思うように聞いていたセリシアが続きを話す。
「私達には適正属性があるけど、その反面弱点となる属性や有利な属性ももちろん存在するんだ。
私の風属性でいうと火属性が弱点の属性で水属性が私の有利な属性なんだ。属性というのは常に有利不利の関係でなりなっているんだ。
でも君にはまず適正となる属性がないから、有利な属性もないし弱点となる属性もないということになる。」
その話に首を傾げて言った。
「でもそれって喜んでいいのか悪いのか…」
セリシアが俺の言葉を肯定するように話す。
「でも悲しむことじゃないよ!それなら無属性の魔術をたくさん覚えればいいんだから。」
「そういうもん?」
「うんうん!そういうもんそういうもん。
でもこれで君の属性は知れた(ないけど…)。次はいよいよ実戦と行こうか?」
セリシアは、ニヤリと笑みを浮かべる。
その笑みは俺の肩を竦める《すくめる》ように周りの空気は緊張を走らせ、セリシアの放つ威圧感に押されるように自然と顔が強張っていた。
次回Episode8「最強への挑戦」
8月6日もしくは7日




