20.レンティア・マンティスの過去【回顧】
その日は嵐の夜だった。
真っ黒な曇天が空一面を覆い、降り注ぐ激しい豪雨が地面や家々の外壁を叩く。その音は鳥の鳴き声や川のせせらぎ、引き満ちていく波の音を掻き消す。アクアポートの町は雨の音に支配され、暗闇に閉ざされていた。
切れ間なく続く雲の内側から、光が奔る。
それから時を置かずに、胸を打つような雷鳴と共に稲妻が地面にその手を伸ばす。まばたきの間に姿を消す雷の鳴き声に、レンティアはびくりと身体を震わせる。
「きゃっ……!」
彼女は反射的に目を見開いたが、光は既に通り過ぎたあと。外の嵐の様子と、先ほどの音からして雷が近くに落ちたのだと気づいたレンティアは、せわしく脈打つ心臓を落ち着かせようと胸に手を当てる。
「うぅ……」
それから何度も鳴り響く雷鳴。窓の外で光る稲妻は、一人自分の部屋で寝ているレンティアに恐怖を与える。がたがたと風に揺れる窓枠の音が、孤独感を煽った。
普段は一人で眠ることになんの抵抗も無かった。もうすぐ10歳になるし、母親と眠ることが恥ずかしくなってきたのも理由の一つ。だがその晩だけは、嵐と雷に怯えてしまって眠れなかった。
ベッドから身体を起こし、素足を下ろして枕を手元に寄せて抱きしめる。一度起き上がってしまうと余計に心細さが大きくなっていき、レンティアは立ち上がって隣の部屋へ向かった。
隣の部屋は母のリティアの寝室だ。外の嵐を気にしないで寝ているかもしれないが、とにかくレンティアは一人きりでいるのに耐えられなかった。
お母さんのベッドにもぐりこんで、一緒に寝よう。少し気恥ずかしいけど、一人じゃ怖くて、心細くて、眠れないから。
リティアの寝室の扉を開けたレンティアだったが、そこで彼女は目にしてしまった。
部屋の中央で立ったままの母親の胸を剣で突き刺す、ソルダートの姿を。
「え……?」
「……レン、てぃあ……」
リティアは両腕をだらりとさげ、胸に刺さった剣を支えにして立っている様子だった。
口から一筋の血を流し、苦しみからか目を薄く開いている。剣の切っ先はリティアの血で染まっており、ぽたりぽたりと床の血だまりに血の雫が零れ落ちていく。
窓の外でまた稲妻が奔る。
目の前の状況を理解できず呆気に取られているレンティアに気付いたリティアは、油の切れた機械のような動きで首を動かし、愛する娘の名前を呟いた。それがリティアの最期の言葉だった。
絶命したリティアはぐったりと全身の力を失くし、彼女の自重によって胸に刺さっていた剣が身体を引き裂きはじめる。鎖骨の辺りに到達する前に、ソルダートは腕を引いてリティアの身体から剣を抜く。
傷口から飛んだ血しぶきが、レンティアの頬を点々と濡らす。
「ソル……ダートさん……?」
「……レンティア。怖がらなくていいよ。すぐ済むからね」
稲妻の光に照らされる、リティアの死体とソルダートの表情。彼は不気味さを感じさせるほどに無表情で、その声色も無感情的だった。
ソルダートが剣を構えながら、立ち尽くすレンティアに近づく。
呆然としていたレンティアにその状況が与えた情報はひどく偏った。
血だまりの中に倒れる母の姿。血。嵐の音。光る稲妻。ソルダートが握る凶器。血。動かなくなった母。血。嵐の音。嵐の音。軋む床の音。血に濡れた剣。ソルダートが母を殺した剣の先に附いた母の血が垂れていく血だまりの中に倒れる母。血。稲妻の光。
それら全てがぐちゃぐちゃに混ざり合い、レンティアの心にもたらしたモノは恐怖と混乱。わずかばかりに恐怖が勝ったため、彼女はすぐさま踵を返し走った。
これは夢の中の出来事なのか。それとも現実か。なにもわからない、考えることが出来ない。ただ、ひたすらに怖くて、恐くて。レンティアは寝間着姿のままで家の外に飛び出した。
「はぁっ……! はぁぁっ……! っは……っは……!!」
心臓が喉を裂いて出てきてしまいそうなほどにうるさく鳴る。喉が圧迫されてうまく息ができない。
冷たい雨が、熱い身体に降り注ぐ。
嵐の中では、骨を伝わる自らの鼓動と呼吸音しか聞こえない。それ以外の音は激しい雨音に遮られている。ある意味、無音と等しい状態。足音も聞こえない。
家を飛び出たレンティアを追って、ゆっくりと、歩くよりも遅いスピードでソルダートが近づいていく。家の扉の前まで来た彼の姿を見たレンティアは、必死の思いで脚を動かした。
とにかく逃げなきゃいけない。細かい理由はわからない。何が起こったのか、どうして起こったのか。何がどうなっているかまったくわからない。
それでもレンティアは、脚を動かして走る。恐怖から逃げるように。
「なんなのよ……なに……? わかんないっ……! なんなのよぉっ……!」
全身を濡らし嵐の中を走るレンティア。どこへ向かって走っているのかは彼女自身にもわからない。ただソルダートから逃げるために、ただただ走り続ける。
拳を握りしめ、腕を振って走る。嵐の雨は横殴りに彼女の身体にぶつかり、時おり勢いよく吹きすさぶ風が足元をぐらつかせる。
息を切らして走っていると、レンティアは道の真ん中で倒れている人影を見つけた。遠くではわからなかったが、近づいていくとその金色の髪には見覚えがあった。
「……!? ライザック!?」
うつ伏せで雨に打たれていたのはライザックだった。
レンティアはそのまま彼に駆け寄り、身体を起こしてやる。
「ぁっ……!?」
起こしたライザックの身体―――左胸から腹にかけて刻まれた、赤黒く大きな傷。うつ伏せに倒れていたせいで傷口が押さえられていたのか、レンティアが彼の身体を起こすと傷口から一気に血があふれ出した。
「ラ、ライザック! ライザック!! こんな……どうして……!?」
「……マンティ、す……?」
「っ! ライザック! そうよ、あたしよ!」
幸いにもライザックにはまだ意識があった。しかしかなり朦朧としており、薄く開いた瞼からのぞく瞳は焦点が合っていない。声もか細く、口元に耳を近づけないと聞き取れないほどに小さかった。
「……俺……みたんだ……」
「なに? なにを見たの……?」
ライザックの身体はぐったりとしており、唇や舌を動かすことも満足に出来ないのか、呂律が回っていなかった。
「騎士のつめしょで……ソルダー、ト……さんが……みんなを、剣で……」
「……嘘でしょ? ……夢じゃないの、これ……?」
「おれと、チュートは……嵐のうみを、みにいっただけなんだ……でてきた、ソルダートさんに……きられて……ちゅーとも…………」
薄く瞼を開いたまま、ライザックはそれから何も言わなかった。レンティアが呼びかけても、身体を揺すっても、どこか遠い所を見つめたまま、ライザックは動かなかった。
「……なによ、これ……?」
悲しみの感情は無かった。それよりも混乱と恐怖心の方が強かったからだ。
目の前で起きたことを彼女は何一つ理解できていない。母が死んだことも、ライザックが自分の腕の中で死んでいったことも、実感が無く空虚だった。
乾いた笑いさえ出てくる程に、理解が追いつかない。レンティアの思考は完全に止まってしまっている。だが、背後から追ってくるソルダートは止まらない。
近づいてきていることなど気づけない。足音なんて雨にかき消されてしまうのだから。だからレンティアが振り向いたのは偶然だった。ソルダートはすぐ近くまで追ってきている。
「うぅっ……!!」
ライザックの身体を置いて、レンティアはまた走ろうとする。だが、あまりにも立て続けに理解不能なことが起こりすぎた。さっきまでのように、うまく脚が動かない。足に力を入れようとしても、外側に力が逃げていってしまう。
自分の足元を睨みつけながら、動け、もっと動け、と念じながらレンティアは前へと一歩ずつ進む。子供の小さな歩幅に大人が追いつくのは、時間の問題だった。
それにレンティアは地面を見つめて歩いていたが故に、あることに気がつかなかった。
もう彼女に逃げる道は無かった。数歩先になってやっと気づいた、いま自分のいる場所。
「そんな……っ」
大きく荒れる波が押し寄せている。もう少し早く、彼女が港に向かっていることに気付けていれば、ソルダートに追いつめられずに済んだかもしれないのに。
前方は荒れ狂う海。そして振り返った背後には、剣を持ったソルダート。
この雨で、ソルダートの身体や剣に付着していた血は洗い流されてしまっている。剣の輪郭がよりはっきり見えることが、レンティアにさらなる恐怖を与えた。
「なんで……? なんでよ……ソルダートさん……?」
「……逃げないでくれ。レンティア。苦しまないように。すぐ終わらせてあげるから」
「ぃや……来ないで……っ」
互いの言葉は、雨の音に遮られて届かない。ソルダートにはレンティアが怯えていることがわかっていたが、レンティアにはソルダートがわからない。
口を動かして何か喋っているが、何を言っているのか見当もつかない。ただ近づいてくる彼のことが怖くてたまらなかった。
「―――『これでいい』」
「いやぁぁっ―――!!」
ソルダートが剣を構える。
殺されてしまう。リティアのように胸を刺され、あるいはライザックのように胸を斬り裂かれて。最後の瞬間に、レンティアは反射的に海の方を振り向いた。そちらに逃げる道は無いけれど、ソルダートの構える凶器から、自分をこれから死至らしめようとする凶器から目を背けたかった。
あるいは、彼女は無意識のうちに海に飛び込もうとしたのかもしれない。このままではソルダートに殺されてしまう。それだったら、この荒れ狂う海に身体を投げ出した方がまだマシかもしれない。生き延びる可能性はそちらの方が高いかもしれない。そういった生存本能で。
だがソルダートの剣は素早く振り下ろされ、レンティアの背中が大きく斬り裂かれた。身体の内側に食い込んでくる刃が、背中の筋肉を断ち切っていく感覚。初めにおとずれたのは痛みではなく、何か、肉や筋肉ではない『糸のような何か』が身体の中で切れたという感覚だった。
そして身体の外へと出ていく血の流れ。心臓の脈動に合わせてどくり、どくりと背中の傷から出ていく血の流れ。命というものに対しての喪失感を覚えたあとに、ようやく鋭い痛みがやってきた。
レンティアは前のめりに倒れ、目を見開いて激痛に喘いだ。痛みが背中に広がっていく。
背中だけでなく、胸の奥で恐怖を通り越して痛みとなった感覚が全身に広がっていく。
彼女の悲鳴は嵐の中でもひときわ目立つ甲高く濁った声。その悲鳴は彼女を見おろすソルダートの耳にも届いた。
肌を伝うだけでなく、勢いよく傷から噴き出す血液。深く斬られたレンティアの背中の傷に、その血が溜まり、そして収まりきらないものが雨と共に地面へと流れていく。
泣き叫ぶレンティアをしばらく眺めていたソルダートは剣を鞘にしまい、倒れた彼女に背を向けてその場を去っていく。何も言葉をかけず、表情は一切変えないままに。
「うぅううっ……! あ、あぁ、あぁああ、ぁああ、あああぁぁっ……!!」
ソルダートは既にその場にいない。だがレンティアにはそれがわからない。
彼女は力を振り絞って這いずる。ソルダートにとどめを刺される前に、なんとかしても逃げなければと思い込んで。
「うぅ……おかあ、さん……! おかぁさん……!」
震えた声で母のことを呼ぶ少女。人は死に面した時に愛する者の名前を呼ぶ。
レンティアは息も絶え絶えになりながら、ずっと繰り返した。
やがて這いずり続けた彼女は、荒れ狂う海の波にさらわれて、底深い海へと消えていった。
◆
「……それからは覚えてないの。嵐が去ったあと、東の海の浜辺に流れ着いた私をグルーさんが拾って手当てしてくれた……」
「……そうか」
レンティアの過去を聞いたエイジは、そのあまりにも壮絶な内容に言葉を失った。
言葉をかけるべきなのか、かけるとするならば何とかければよいのか。エイジはただ頷き相槌を打つしかできなかった。
「傷は思ったより深くなかったのかしらね。……奇跡的に生きてた」
「……あまり思い出したくもない事だろう。話させてすまなかった」
「いいのよ。……だけど、あたしが銀髪の騎士を……ソルダートを探したい理由は、すごく深いの」
「ああ。お前とは違うが……俺も似たような経験はある。どれだけお前が心に憎しみを抱いているのかは理解できた」
同じ復讐を思う者同士、互いの心の傷の深さは理解できていた。レンティアはエイジの過去を知らないが、復讐を考えている以上、自分と同じくらいもしくはそれ以上の出来事があったのだろうと容易に想像できる。
だからこそ、レンティアはエイジに話した。復讐という手段に足りうる理由を、復讐という目的に足りうる過去を。
そうすることで、エイジの旅についていくことを許可してほしかった。復讐を願う者は、同じ復讐を願う者の気持ちが痛いほどにわかる。
決してその想いを無下にはしないだろうと。
「あたしはソルダートがどうしてあんなことをしたのか知りたい。そして、殺されたみんなの仇を討ちたい」
「……そうか」
「お願いよエイジ! あたしも旅に連れていって! ソルダートを見つけるためなら、なんだって手伝うわ! 竜との戦いじゃ、あんまり役に立たないかもしれないけど……旅の間の食事の用意とか、他に手伝えることなら何だってやってあげる! だから……」
レンティアはどうしてもエイジの旅について行きたかった。エイジがいれば、竜獣に襲われる確率はほとんどゼロになる。色々な町を巡って、ソルダートの情報を集めることができる。レンティアだけでは旅は出来ない。エイジにもソルダート探しを手伝ってほしいとまでは言わない。
ただ、世界を巡るであろう旅について行くことだけを許してほしかった。
「お願いよ……」
「……レンティア」
「……なに?」
「服を脱げ」
「…………はぁっ!?」
エイジの言葉に、レンティアは目を見開いて驚いた。自分の聞き間違えじゃないかとも思った。
少し固まったあとで、念のためともう一度レンティアは聞き返す。
「ご、ごめん……いま、なんて言ったの?」
「服を脱げと言ったんだ」
「なっ……!?」
たしかに自分は何でもすると言った。だがまさか、そんなことをいつも仏頂面で寡黙なエイジが言い出すとは思っていなかったレンティア。
彼女は頬を赤くして、目をぱちくりとさせる。エイジの目を見るに、どうやらいま言ったことは本気らしい。それだけ言って、黙ったままでじっとレンティアの目を見つめている。
レンティアはもごもごと口ごもりながら、視線を右往左往させる。
(な、なに考えてんのよ……! ここ、グルーさんの家だし……! きっと戻ってくるわよ!? ……で、でも……言うことをきけば、旅に連れてってくれる……のかしら……)
エイジはただ待つ。何も言わない彼の視線が、逆にレンティアの恥ずかしさを加速させる。
(ソルダートを探すためよ……ふ、服を脱げって言ってるだけだし……そうよ、たぶん服を脱ぐだけでいい、わよね? ……うううっ!)
しばらく困った表情をしながら悩んでいたレンティアは、ようやく決心して服に手をかけた。
エイジの見ている目の前で、服を脱いだレンティア。白くきめ細やかな肌と、薄青色の下着。それだけを見れば華奢な少女の年齢相応に成熟した身体だが、彼女の背中には過去にソルダートによってつけられた痛々しく大きな傷跡が刻まれている。
位置的にエイジには見えていないが、彼女のその背中の傷は白い素肌の中でかなり悪目立ちし、思わず目を覆いたくなるようなひどいものだった。
(うぅ……なによぉ。そんなまじまじと見ないでよね……ま、まさか下も脱げなんて言わないわよね……っ!)
顔を逸らして恥ずかしがるレンティア。両腕は何も言われずとも後ろ手に組み、上半身がよく見えるようにした。下着をつけているとはいえ、素肌を大きく晒していることに彼女は羞恥を覚え、眉をひそめて、どんな表情をすればわからずに口元をむずむずさせている。
だが彼女は勘違いしていた。なにもエイジは、邪な気持ちで服を脱げと言ったわけでは無かったのだ。
(……少し細いな)
レンティアの身体は少女らしい華奢なものだ。腕は細く、腰にはくびれがある。だが狩人としてある程度の訓練をしているせいか、ほんのりと筋肉質でもある。
背中の傷以外は、綺麗な肌だ。白いといっても、不健康な白さではない。
エイジは彼女の身体を見て、竜との戦いに身を投じれるかどうかを判断したかった。
裸を見たわけではないがリーシャの場合はまず指が細かった。女性らしい綺麗な指だったが、あれでは戦いなど到底できはしない。だがレンティアの場合はまだ可能性があるとエイジは思った。
旅の中で訓練を積みつつ、竜との戦闘も経験を重ねれば狩人としての身のこなしを発揮して、ある程度は戦えるようになるかもしれない。
この時点でエイジはレンティアを旅に連れていくことを決めていた。彼女の復讐の理由を聞いた以上、それを拒否することはエイジには出来なかった。
だが旅に連れていく以上、足手まといになることは避けてほしい。竜への復讐は自分とフォウだけで成すつもりであったから手伝ってもらう必要はない。だが、レンティア曰く彼女の復讐の対象は上位騎士だ。
竜を退ける力を持つ騎士の中でも、精鋭中の精鋭。いずれレンティアが戦うことになるであろうその時に、ある程度力をつけておかなければ―――騎士のように竜と戦える力を持っておかなければ、復讐は難しいだろう。
旅の中で、レンティアは成長しなければならない。
エイジが強くなったように。彼女も強くならなければ。復讐には力が必要だ。
「……もういいぞ」
「へっ? あ、うん……」
「旅の出発はフォウが言っていたように数日あとになる。お前も準備しておけ」
「! 連れて行ってくれるのね!」
「ああ。だが一つだけ言っておく。旅の中でお前自身が強くなる必要があるだろう……それを理解しておけ」
エイジは扉を開けて、家を出る。
一人残された半裸のレンティアは、閉ざされた扉を見つめて小さく呟く。
「……ありがとう」
レンティアが脱いだ服を着なおそうとすると、扉が再び開く。エイジが何か言い忘れでもしたのだろうかと彼女は思ったが、入ってきたのは家主のグルーだった。
タイミング悪く、いま帰ってきてしまった。まだレンティアは半裸の状態だ。
「うぃい……ちょォっと飲みすぎたかのォ~……ってぬぉお!? レレ、レン! 何ちゅうかっこうしとるんじゃ!?」
「~~~っ!! ち、ちがっ! これは違うの!」
「なにが違うんぢゃ! ワシの家でなぜ脱いどる!?」
「うぁぁぁああっ! っていうかいつまでも見ないでよ!!」
静かな夜の村に、グルーの家からいくつかの食器が割れる音が響いた。




