SS 第4話 三千年ぶりの宴会
亜空間に存在する五大竜王会議場。
大きな円卓には、各国から持ち寄られた酒瓶がずらりと並んでいた。
リアネは大きな木箱を抱えて、満面の笑みを浮かべる。
「今日は美味しいお酒をいっぱい持ってきたよ!」
木箱を開ける。
「ベル商会おすすめ!」
「果実酒に、麦酒」
「それから、麦芽を樽で熟成させた蒸留酒!」
ガンドールの目が一瞬で輝いた。
「ほぉ!」
「待っておったぞ!」
アルディオンも嬉しそうに果実酒の瓶を手に取る。
「こちらはエルフの里でも評判でした」
「今日は飲み比べが楽しみですね」
すると、ヴォルカンが豪快に笑う。
「竜族も負けておらんぞ!」
侍従が大きな酒樽を運び込む。
「紅竜族秘蔵の火酒だ!」
ゼノンも静かに一本の瓶を差し出した。
「黒竜族の葡萄酒だ」
「長期熟成させた」
レヴィアスも涼しげに微笑む。
「碧竜族からは薬草酒を」
「身体が温まりますよ」
エメリオも少し照れながら瓶を取り出す。
「翠竜国で造り始めた果実酒です」
「まだ父ほどではありませんが……」
リアネは嬉しそうに笑った。
「飲もう飲もう!」
「今日は酒自慢大会だ!」
一同から笑いが起こる。
酒を酌み交わしながら、話題は自然と昔話へ移っていく。
「アルヴェイン殿には随分世話になったのう」
ガンドールが懐かしそうに笑う。
「いつも宴会の最後まで付き合ってくれましたからね」
アルディオンも目を細めた。
リアネは空を見上げるように微笑む。
「おじいちゃん、本当に優しかったもんね」
「いつも皆のことを見守ってくれてた」
一瞬だけ、静かな時間が流れる。
しかし。
ヴォルカンが杯を掲げた。
「しんみりするのはらしくない!」
「今日は宴だ!」
「そうだった!」
リアネも笑顔で杯を掲げる。
今度は話題が、つい先日のエリアネ大祭へ移る。
「いやぁ、実に楽しかった」
ガンドールが豪快に笑う。
「儂も来年は行きたいものじゃ」
アルディオンも穏やかに頷く。
「私もです」
「あの温かな空気を、もう一度味わいたいですね」
エメリオも嬉しそうに続ける。
「今度は私も、もっとゆっくり街を歩いてみたいです」
リアネは満面の笑みを浮かべた。
「もちろん!」
「また来年も来てね!」
「美味しいお酒、いっぱい用意して待ってるから!」
皆が笑顔になる。
オルドは静かに酒杯を掲げた。
「では」
「来年の再会を願って」
全員が杯を掲げる。
「乾杯!」
澄んだ音が会議場へ響く。
三千年前と変わらない笑顔。
三千年前と変わらない宴。
旧友たちの笑い声は、夜更けまで途切れることなく続いた。




