第7話 大聖女来訪
数日後。
リリア王国へ、一人の女性が訪れる。
ナルシス王国。
ルミエール大聖堂より派遣された現代大聖女。
ソフィア・アルテミス。
彼女は五年前、
わずか十八歳という史上最年少で大聖女の位を授かった天才だった。
歴代大聖女の中でも、
初代大聖女エリアネ。
約百五十年前、魔王ニコラスを討伐した大聖女ミュゲ・ジプソフィル。
そして現代の大聖女ソフィア・アルテミス。
三人は特に偉大な功績を残したことから、
『三大大聖女』
と称えられている。
中でもソフィアは、
歴代最高の大聖女と呼び声高い存在だった。
約百五十年前。
大聖女ミュゲ・ジプソフィルは、世界を脅かした魔王ニコラスを討伐した。
しかし。
魔王ニコラスを魔王たらしめていた魔王因子だけは破壊することができなかった。
魔王因子は教会によって、
決戦の地である旧魔王城へ厳重に封印されることとなる。
そして現代。
ソフィアは、その封印された魔王因子を完全に破壊することへ成功した。
魔王復活の可能性そのものを消し去った、
歴史上初の聖者である。
その偉業により、
女性だけでなく、
男性を含めた歴代すべての聖者の中でも、
最も優れた聖者
と評されていた。
そんなソフィアがリリア王国を訪れた目的は二つ。
四種族友好大祭への人族代表として出席。
そして、
四種族友好のロザリオの護送である。
ロザリオは普段、
ナルシス王国ルミエール大聖堂最深部へ厳重に安置され、
教皇と大聖女のみが管理を許された、
教会最高の聖遺物。
一般へ公開されることは決してない。
しかし今回。
代々教会を支え続け、
四種族友好大祭最大の支援者でもあるベル商会へ、
教会から感謝の意を込め、
極秘でロザリオが披露されることとなった。
その知らせを聞いたリアネは、
思わず声を上げる。
「えっ!?」
「初代様のロザリオが見られるの!?」
瞳を輝かせ、
子どものようにはしゃぐ。
幼い頃から憧れ続けた、
初代大聖女エリアネ。
その方が身に着けていたロザリオを、
この目で見られる。
リアネは胸の高鳴りを抑えられなかった。
まさか。
そのロザリオへ触れた瞬間、
三千年前の記憶が蘇り、
自分が初代大聖女エリアネ本人だったと知ることになるとは――。
この時のリアネは、
まだ知る由もなかった。




