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第6話 ベル商会
リアネ・ベル。
十六歳。
リリア王国最大級の老舗商会、
ベル商会の一人娘である。
ベル商会の理念は、
「商いで人を幸せにする」
利益だけを追い求めるのではない。
商いを通して人々を笑顔にし、
信頼を築き、
幸せを届ける。
それが、ベル商会に代々受け継がれてきた教えだった。
また、ベル家は代々教会を支援し続ける敬虔な家柄でもある。
リアネという名前も、
そんな両親の願いから名付けられた。
初代大聖女エリアネ。
四種族融和を成し遂げ、
世界中から敬愛される偉人。
しかし。
「エリアネ様のお名前を、そのまま娘に頂くなんて恐れ多い」
そう考えた両親は、
名前の頭文字だけをお借りし、
娘へリアネと名付けた。
その話を幼い頃から何度も聞いて育ったリアネは、
自分の名前に誇りを持っていた。
そして、
初代大聖女エリアネを心から尊敬している。
「初代様みたいに、誰にでも優しくなれたらいいなぁ」
それが、
リアネの小さな夢だった。
もちろん、
この時のリアネは知る由もない。
自分が尊敬し、
憧れ続けてきた初代大聖女エリアネが――
前世の自分自身だったことを。




