SS 第1話 白竜皇からの招待状
エリアネ大祭から数日後。
ベル商会。
店番を終えたリアネは、今日も商品の整理をしていた。
その時。
「リアネ宛てにお手紙ですよ」
母が一通の封筒を差し出す。
「私に?」
封筒には、美しい白竜の紋章。
リアネは思わず目を丸くした。
「これって……」
差出人の名前を見て、固まる。
白竜皇オルド
「えぇぇっ!?」
慌てて封を開く。
中には、短い手紙が一枚。
『久しいな』
『五大竜王会議へ招待する』
「…………」
リアネは手紙とにらめっこした。
「え?」
「どういうこと?」
「まさか……」
嫌な予感が胸をよぎる。
「バレちゃった?」
思わず頭を抱える。
そんな娘の様子を見て、父と母は顔を見合わせる。
そして――
満面の笑みになった。
「きっと、エリアネ大祭での功績が認められたのよ!」
母は嬉しそうに両手を合わせる。
「そうに違いありません!」
父も大きく頷いた。
「さすが私の娘だ!」
「白竜皇陛下から直接ご招待とは!」
「アルカ=ヴェル竜皇国へ招待されるなど、滅多にあることではないぞ!」
母も誇らしげに続ける。
「リアネは本当に頑張りましたからね」
「四種族の皆様を笑顔にして、祭典も大成功でしたもの」
父はリアネの肩をぽんと叩いた。
「行ってきなさい!」
「それと――」
にやりと笑う。
「ベル商会の宣伝も忘れるな!」
「白竜皇国にも常連さんを増やしてくるんだ!」
母もくすりと笑う。
「お土産話も楽しみにしていますからね」
リアネは苦笑した。
「そんな簡単にいかないよぉ……」
それでも。
久しぶりに皆へ会えると思うと、自然と笑みが浮かぶ。
「久しぶりに皆に会える!」
その日の午後。
ベル商会の前へ、一人の大きな白竜が舞い降りた。
眩い光に包まれると、白竜は一人の青年の姿へ変わる。
その姿を見たリアネは、ぱっと表情を明るくした。
「あっ!」
「お祭りの時にいた白竜さん!」
青年は少し驚いたように目を瞬かせ、それから穏やかに微笑む。
「よく覚えていてくださいましたね」
リアネはえへへと笑う。
「もちろん!」
「商人の娘ですから!」
青年は恭しく一礼した。
「リアネ様」
「白竜皇陛下がお待ちです」
リアネも笑顔で頷く。
「よろしくお願いします!」
青年は再び白竜の姿へ戻る。
リアネは慣れた様子で、その大きな背中へ飛び乗った。
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい!」
父と母へ大きく手を振る。
白竜は力強く翼を広げ、青空へ舞い上がった。
目指すは――
白竜皇国アルカ=ヴェル。
三千年前の友人たちが待つ、懐かしい場所へ。




