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友達を作っていただけなのに、三千年後には初代大聖女と呼ばれていました!?  作者: Atelier Lotus


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第70話 功績

「ふぅ……」


 リアネは額の汗を拭い、小さく息を吐いた。


「疲れたぁ」


 王都を包んでいた光は静かに消え去り、街には穏やかな静寂が戻る。


 そして。


 全員の視線が、一斉にリアネへ集まった。


「…………」


 リアネはその視線に気付き、固まる。


「あっ」


「違う違う!」


 慌てて両手をぶんぶん振った。


「全部、ソフィア様だから!」


 会場が静まり返る。


 リアネは必死に続ける。


「その……」


「できるかなーって」


「ソフィア様の真似をしてみただけなんです!」


「あはは……」


 乾いた笑いが漏れる。


「やだなぁ」


「恥ずかしいなぁ」


「ただの商人が、光魔法なんて使えるわけないじゃないですか!」


 ソフィアは思わず吹き出しそうになる。


(……半分、自白していますよ)


 リアネは周囲をきょろきょろ見回すと、そっとソフィアへ近付いた。


 そして耳元で、小さな声で囁く。


「お願い」


「え?」


「功績は、あなたにお譲りします!」


 ソフィアは目を丸くする。


「えぇ……」


 リアネは真剣な表情で続けた。


「聖女になったら、お酒飲めなくなっちゃう」


「それは困るの!」


 ソフィアは思わず額へ手を当てた。


(そんな理由ですか……)


 そして、小さく笑う。


(でも)


(この感じ……)


(どこか既視感がありますね)


 五年前。


 魔王因子事件。


 あの時も。


 功績を譲り合うような、似たやり取りがあった。


 ソフィアは優しく微笑む。


「……分かりました」


 一歩前へ出る。


 そして人々へ向き直り、両手を軽く上げた。


「皆様、ご安心ください」


「今のは――」


 一拍置いて、少しだけおどけたように笑う。


「私の光魔法です!」


 一瞬の静寂。


 そして。


 リアネが満面の笑みで拍手した。


「わぁー!」


「流石はソフィア様!」


「ありがとうございます!」


 町の人々も次々と拍手を送る。


「流石、大聖女様!」


「ありがとうございました!」


 歓声が王都へ響き渡る。


 その一方で。


 エルヴィン。


 ボルド。


 ラグナス。


 三人は静かに微笑み合っていた。


(やはり……)


(エリアネ様でしたか)


 三千年前と変わらぬ優しい光。


 誰よりも見慣れた、その奇跡。


 涙を浮かべながらも。


 誰一人、その名を口にすることはなかった。


 それが。


 三千年越しに再会した友人へ贈る、長命種たちの優しさだった。

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