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友達を作っていただけなのに、三千年後には初代大聖女と呼ばれていました!?  作者: Atelier Lotus


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第56話 秘密

 ソフィアは少しだけ微笑んだ。


「実は……」


「私にも、一つ秘密があります」


 リアネは驚いたように目を瞬かせる。


「私だけがリアネさんの秘密を知っているのは、不公平ですから」


 少し照れくさそうに笑う。


「実は私……」


「世間では、大聖女ミュゲ・ジプソフィルの再来」


「歴代最高の大聖女なんて言われていますが」


「本当は違うんです」


 リアネは静かに耳を傾けた。


 ソフィアはゆっくり続ける。


「百年続いた魔王因子を完全に消滅させた偉業」


「あれは、本当は私ではありません」


「ナルシス王国」


「辺境都市フルールで薬舗を営む、一人の少女の功績なんです」


 リアネは目を丸くした。


「その方は」


「『のんびり薬舗をやりながら暮らしたいので』」


「そう言って、すべての栄誉を私へ譲ってくださいました」


 ソフィアは苦笑する。


「私は何度も断ったんです」


「ですが」


「教皇サンセリテ様も」


「ご本人も譲ってくださいませんでした」


「その結果」


「世界では、私が成し遂げたことになっています」


 少しだけ寂しそうに笑う。


「ですから」


「私も、本当のことを知っている人は、ごく僅かしかいないんです」


 話し終えると、


 宝物庫は静かな空気に包まれた。


 リアネはしばらく考えていたが、


 やがて、ふっと笑う。


「なんだ」


「私たち」


「似たもの同士だね」


 ソフィアも笑みを浮かべる。


「ええ」


「そうですね」


 二人は顔を見合わせ、


 自然と笑い合った。


 秘密を知っても、


 見る目は変わらない。


 だからこそ、


 二人は互いを信じることができた。


「ソフィアさん」


「これからも友達でいてね」


 ソフィアは嬉しそうに頷く。


「はい」


「もちろんです」


 この日。


 初代大聖女と現代の大聖女ではなく。


 リアネとソフィアは、


 本当の親友になったのだった。

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