第51話 答え
ソフィアは静かに目を閉じた。
今日まで抱いていた違和感。
その一つ一つが、
散らばっていた欠片のように、
ゆっくりと一つの線へ繋がっていく。
酒の好み。
聖者制度。
人喰い竜。
教皇サンセリテ。
白竜皇オルド。
そして、
四種族友好のロザリオ。
別に、
誘導したつもりはなかった。
問い詰めるつもりもなかった。
リアネは、
いつものように雑談をしていただけ。
ただ、
思い出話をするように、
自然と言葉を紡いでいただけだった。
けれど。
考えられる可能性は、
もう一つしか残されていない。
ロザリオの素材。
その製法。
それを知る者は、
三千年前、
あの場に居合わせた当事者だけ。
そして、
リアネが何気なく口にしてきた数々の話。
そのすべてを知り得る人物は――
(……お一人しかいらっしゃいません)
ソフィアは静かにリアネを見つめた。
その穏やかな視線を受け、
リアネは冷や汗を流しながら、
必死に笑顔を作る。
「い、いや、その……」
「私、エリアネ様じゃないですよ?」
「リアネです!」
精一杯の弁解。
けれど、
言った本人が一番、
その言い訳に説得力がないことを理解していた。
宝物庫に、
静かな沈黙が流れる。
リアネは乾いた笑みを浮かべた。
「……ですよねぇ」
「苦しいですよね、ははは……」
力なく笑いながら、
肩を落とす。
(もう駄目だぁぁぁ……)
そんなリアネの姿を見つめ、
ソフィアはふっと口元を緩めた。
その笑みには、
驚きも疑いもなかった。
ただ、
長年抱き続けた疑問の答えへ辿り着いた者だけが浮かべる、
穏やかな微笑みだった。




