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友達を作っていただけなのに、三千年後には初代大聖女と呼ばれていました!?  作者: Atelier Lotus


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19/82

第18話 港

 次に二人が訪れたのは、


 王都リリアの港だった。


 エリアネ大祭を目前に控え、


 港はかつてないほどの活気に包まれている。


 各国から到着する大型船。


 食料。


 酒樽。


 祭典で使用する資材。


 港湾労働者たちは汗を流しながら、


 次々と荷物を運び込んでいた。


 リアネは元気よく手を振る。


「皆さん、お疲れ様です!」


「おっ!」


「ベル商会のリアネ嬢だ!」


 港中から笑顔が返ってくる。


 すると、一人の港湾労働者がソフィアを見て目を丸くした。


「おお!」


「もしかして、ソフィア様の案内役をしてるのか?」


「はい」


 リアネが頷くと、


 港の男たちは一斉に笑った。


「ははは!」


「夢が叶ってよかったな!」


「昔っから言ってたもんな!」


「『いつかソフィア様をエリアネ大祭でご案内するんだ!』って!」


 リアネは苦笑いを浮かべる。


「は、ははは……」


(お願いだから)


(その話はもうやめてぇぇぇ!)


(前世を思い出す前の私ぃぃぃ!)


(余計な夢を見るなよぉぉぉ!)


 ソフィアは少し照れくさそうに微笑んだ。


「レオン様も、そのようなお話をされていましたね」


「面と向かって言われると、少し気恥ずかしいですね」


 港の人々は豪快に笑う。


「いやいや!」


「リアネ嬢の夢だったんだからな!」


「今年は最高の思い出になるぞ!」


 リアネは顔を真っ赤にしながら頭をかいた。


「も、もう!」


「皆さんまで!」


 その時だった。


「危ない!!」


 港中へ怒鳴り声が響く。


 高く積み上げられた木箱が、


 大きく傾いた。


 その下には、


 一人の小さな男の子が立ち尽くしている。


 誰もが息を呑んだ。


 しかし。


「危ない!」


 リアネは真っ先に駆け出した。


 近くにいた港湾労働者も同時に飛び出す。


「そっちを支えろ!」


「子どもを!」


「はい!」


 リアネは男の子を抱きかかえ、


 木箱の下から飛び退く。


 同時に港湾労働者たちが木箱を押さえ込み、


 荷崩れを食い止めた。


 数個の木箱は地面へ落ちたものの、


 幸い誰一人怪我はなかった。


 一瞬の静寂。


 そして、


 港中が安堵の息を漏らす。


 リアネは男の子をそっと地面へ降ろした。


「大丈夫?」


 男の子は涙目で何度も頷く。


「うん……」


 リアネはほっと笑顔を浮かべた。


「よかった!」


「無事で本当によかった!」


 それだけだった。


 自分が危険だったことなど、


 まるで気にしていない。


 港湾労働者が深々と頭を下げる。


「リアネ嬢!」


「助かった!」


「ありがとう!」


 リアネは照れくさそうに首を横へ振った。


「いえいえ!」


「皆さんが一緒に支えてくれたからですよ!」


「私一人じゃ助けられませんでした」


 その姿を、


 少し離れた場所からソフィアは静かに見つめていた。


(迷いがありませんね)


(困っている方を見つけた瞬間)


(何も考えずに身体が動いている)


 見返りを求めない。


 感謝されるためでもない。


 助けることが、


 リアネにとっては当たり前なのだ。


 ソフィアは優しく微笑んだ。


(本当に……)


(優しい方ですね)


 その眼差しに、


 リアネはまだ気付いていなかった。

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