第16話 祭典準備
エリアネ大祭まで、あと数日。
王都リリアは、祭り一色に染まっていた。
街では祭壇の設営が進み。
露店が次々と並ぶ。
巡礼者を迎える宿も、
最後の準備に追われていた。
その中心で慌ただしく動いているのが、
祭典最大の支援者であるベル商会だった。
食料。
飲料。
日用品。
各国から届く特産品。
祭典を滞りなく開催するため、
商会全体が総出で準備を進めている。
リアネも朝から走り回っていた。
「次は市場へ納品お願いしまーす!」
「港へ到着した荷物は第三倉庫です!」
「はい!」
「ただいま!」
店員たちが忙しく動き回る中、
ソフィアは感心したようにその様子を眺めていた。
「祭典というのは」
「本当に多くの方々に支えられているのですね」
リアネは笑顔で頷く。
「はい!」
「表に立つ人だけじゃなくて」
「裏で頑張ってくれている人がたくさんいるんです」
そして、ぱんと両手を合わせた。
「そうだ!」
「ソフィアさん」
「挨拶回りに行きましょう!」
「挨拶回り……ですか?」
「はい!」
「祭典を支えてくださっている皆さんに、お礼を言いに行くんです!」
ソフィアは少し驚いたような表情を浮かべる。
「普通は」
「皆さんの方からご挨拶に来られるものではありませんか?」
リアネは首を横に振った。
「そんなことないですよ」
「支えてくださってるのは、みんなですから」
「だから私たちからも『ありがとうございます』って伝えたいんです」
その言葉を聞き、
ソフィアは優しく微笑んだ。
「……素敵な考え方ですね」
「ぜひ、ご一緒させてください」
「はい!」
リアネは嬉しそうに頷く。
「それじゃあ最初は市場です!」
「祭典は、みんなで作るものですから!」
こうして二人は、
祭典を陰で支える人々へ感謝を伝えるため、
王都リリアの挨拶回りへ出発するのだった。




