お風呂について。
「――成人君。盛り上がってる所ちょっといいか?」
ゲームは一時中断。視線が親父に集まる。
言いにくそうに口をもごもごさせている。
「その……お風呂とかどうしようか」
この場の全員に電流走る。
そうだ。泊まる以上はそれは避けられない。
「女子陣が先に入っていいぞ? 俺と親父は後でいい」
「え⁉」
男の入った後は嫌だと思い提案したのだが。
新波さんが露骨に狼狽えた。
「み、三上君! 私たちの体液でナニする気ですか⁉」
「やめろ発想の飛躍」
「先輩、体液って言い方止めて」
全くもってこのセクハラおじさんは。
だが、そうか。男の後は嫌かと思ったが、後も嫌なのか。
できればみんなの意見を尊重したいが。
「新波さんがこう言ってるので、二人も後でいいか?」
「あたしは……そもそも意見できる立場じゃないし……」
「ノンノンみそっち。こういう時は言っていいんだよ」
「……そうだな。何か言いたいことがあったら言ってくれていいぞ?」
一応は、お泊り会という体を保っている。
二階堂には責任とか負い目を感じて欲しくない。
だからといって、心美みたいになれとは言わないが。
「そう言われても……」
「いいんだよ『お父さんの入った風呂嫌!』って言えば」
「がはっ」
親父が袈裟切りにあったような悶え方をする。
「伝聞には聞いたが……聞きしに勝る名刀よな……」
「そ、そんなこと言わないって⁉」
どうやら父親的に、今のセリフは切れ味が抜群だったようだ。
良かったな俺が男で。たぶん生涯で聞くことないから。
親父の名演に、慌てふためく二階堂であった。
「そういう心美はどうしたいんだ?」
「健康ランド行きたい」
「前提を覆すな、前提を」
「お、いいじゃないか! この際それで」
「えぇ……今までの会話の意味」
視線で確認を促すと、異を唱える者もいなかった。
頭を掻いて、ため息一つで納得する。
仕方なく、風呂の支度をすることに。
「親父。ついでだが寝る場所どうする?」
「寝る場所か……そうだな、お母さんの部屋に布団を敷こう」
「それでいいか……うん? どうした、新波さん?」
「あ、ううん。何でもない」
じっと、努君の写真を見ていた。
「いい男だろ?」
「……そうですね。三上君とは大違いです」
何となく疑問を言葉にするのは憚られた。
「ようし! みんなで一緒に健康になるぞー!」




