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私が着られなかったロリータ服を、異世界で広めます。  ―転生令嬢のドレス革命―  作者: 烏斗
第6章:憧れのかたち

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第47話 日常に混ざる憧れ

ミレーユの装いが披露されてから、数日。


王都では、その呼び方が自然と決まり始めていた。


「最近、よく聞きますわね」


「ええ。“姫ドレス”」


特別な説明はいらない。

その一言で通じる。


「確かに、あの雰囲気……そう呼びたくなります」


笑いが混じる。


だが、少し首を傾げる者もいた。


「でも、あれほど華やかですと……日常には少し難しくありません?」


すぐに返る。


「形をそのまま真似しなくても良いのでは?」


「え?」


「スカートの広がりを少し抑えたり、フリルを減らしたり」


「なるほど……」


会話の方向が変わる。


“着るかどうか”ではなく、

**“どう取り入れるか”**へ。


そのとき。


「ミレーユ様がいらっしゃいます」


視線が集まる。


現れたミレーユは、あのドレスをまとっていた。


広がるスカート。

重なる装飾。


だが——


前回ほどの圧はない。


視線を奪うのに、どこかやわらかい。


「……あら」


一人が小さく声を漏らす。


「思っていたより、落ち着いて見えますわね」


別の令嬢も頷く。


「ええ。もっと派手な印象でしたけれど」


見方が変わり始めている。


令嬢たちが近づいた。


「ミレーユ様」


「“姫ドレス”と呼ばれているそうです」


「そうなのですか」


ミレーユは軽く笑う。


「悪くない名前ですね」


それだけで、呼び名が定着する。


一人が遠慮がちに尋ねた。


「このようなドレスは……やはり特別な場で?」


ミレーユは首を振る。


「いいえ」


即答だった。


「日常でも問題ありません」


一瞬、沈黙。


「ただし——」


言葉が続く。


「そのまま着る必要はありません」


空気が緩む。


「少し軽くするだけで、十分に馴染みます」


スカートに軽く触れる。


「広がりを抑える」

「装飾を減らす」


短く示す。


「それでも、雰囲気は残りますから」


納得の気配が広がる。


一人が言う。


「……取り入れられそうです」


「ええ」


「全部でなくてもいいのですね」


ミレーユは頷く。


「好きな部分だけで構いません」


やわらかい答え。


押しつけはない。


だが、広がる余地はある。


別の令嬢が少し楽しそうに言う。


「リボンだけでも、それらしくなりそうですわ」


「スカートも、もう少しだけ広げてみようかしら」


会話が具体的になる。


流行の入り口が開く。


ミレーユはそれを見て、満足げに微笑んだ。


「ドレスは、選べるものです」


静かな声。


「気分でも、場面でも」


一歩、歩く。


スカートがやわらかく揺れる。


「その中に、少しだけ“憧れ”を混ぜる」


それだけでいい、と言うように。


令嬢たちは頷く。


もう迷いは少ない。


こうして王都では、新しい装いが言葉とともに広がっていく。


可愛い装い。

美しい装い。

そして——


憧れを取り入れる装い。


“姫ドレス”。


それは特別なものではなく、

日常の中に選べる一つとして、静かに根づき始めていた。

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