表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もんすたぁ☆すちゅーでんと  作者: 浅野エミイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/10

2-4 Who

 みんなどんな弁当を持ってきたんだろうか。俺はみんなでつつける内容にしたけど。

 俺以外の4人が、弁当を出す。四人は、俺にひとり分の弁当を作って来てくれたようだ。ということは、4人分の弁当を食えってことかーー?

「俺ひとりで4人前は食えないぞ?」

「それならみんなでつまむようにすればいいのでは?」

 白石先生がそう言うと、乾が秋雨の弁当にある卵焼きを箸で掴んだ。

「この卵焼き、形きれいだね」

「あ、ありがとう」


 ……4人の弁当はどんな内容だろう。見てみると、秋雨は言っていたように、卵焼きとたこさんウィンナーだ。卵焼きはただのだし巻き卵ではなく、しらすとわかめが入っている。


「ボクの卵焼きも食べてみてよ」


 乾に言われて、外森が口にする。こちらは甘い卵焼きみたいだ。


「サンドイッチを作ってくれたのは?」

「あっ、私……」


 白石先生が手を上げる。ツナサンドとタマゴサンドは、マヨネーズが効いていておいしい。外森は、揚げ餃子を差し出した。


「これ、ニンニクを使ってない餃子なんだけど」

「へぇ、揚げたんだ? おいしそう!」


 秋雨が、外森の揚げ餃子に箸をやる。口に運ぶと香ばしい風味が広がる。


「……波久礼先生、もっと食べなよ」

「あぁ」


 言われた俺は、全員の弁当を口にする。どれもうまいなと関心していると、乾が言ったた。


「ねぇ、先生。誰のお弁当が一番おいしい?」

「えっ、どれも甲乙つけがたいが?」

「ふふっ、波久礼先生は口が上手いんですね」


 白石先生が口に手を当てて笑う。しかし、本当のことだ。それに誰かひとりひいきしてもよくないしな。生徒たちもお互いの料理に舌鼓を打っている。逆に俺は聞いた。


「そういうお前らは誰の弁当がうまいと思うんだ?」

「えっとねえ……」


 乾が広げられた料理を眺める。外森がその様子を見て言った。


「じゃあ、一斉に誰のお弁当がいいか、指さしてみよう。せーのっ!」


 ドンっと合図をすると、全員秋雨のしらす入り卵焼きを指した。


「えっ、私? そんなに目立った料理じゃないのに」

「味だろ? シンプルだけど、味もうまい」

「あっ、ありがとうございます!」


 秋雨は照れくさそうに笑って、俺の唐揚げを食べる。みんなが弁当を食べ終えると、山頂に並んで記念撮影だ。

 写真を撮ると、下山だ。俺たちはまた、列になって山道を進む。下山するときは下りだから行きよりはだいぶ楽だ。だけど、足を滑らさないように注意だが。


「……んー」

「どうした、外森」


 俺のすぐ後ろを歩いていた外森がうめく。俺は一旦足を止めて、外森の横に立つ。


「まぶしい……あとフラフラする」

「大丈夫か?」


 外森は太陽の光で弱っているみたいだ。それにさっきはニンニク風味の唐揚げも食べさせてしまったし……。俺は外森と伴走……いや、この場合は伴歩か? する。

 生徒を先に進ませると、白石先生に外森の様子を告げた。


「こいつ、日の光に弱いんです。大丈夫かな」

「お日様に弱い? ……まるで吸血鬼みたいですね」

「いやあ、ははっ」


 白石先生に指摘されたが、その通り。外森はヴァンパイアだ。今日は無理やり連れてきたけど、やっぱり日の光には弱かったか……。


 俺は外村の腕を肩にかける。


「大丈夫か? あとは降りるだけだぞ」

「うん……。頑張るよ」


 白石先生も俺たちの後ろからついてくる。俺が足を滑らせないように、注意してくれているみたいだ。下山は慎重に。ゆっくり歩いていくと、ようやくふもとだ。


「……ふう。やっと下山だ」

「センセイ、ありがとう。肩貸してくれて」

「いや、ハイキングに無理やり出席させたのは俺だし」

「まぁ、ケガとかなく終わってよかったよね!」


 乾が器用に耳を動かす。ヴァンパイアである外森を山登りに連れ出せたのはよかったが……ニンニクはダメだし、日の光もきつかったみたいだ。生徒は外森だけじゃないけども、今後の行事についてもどうするか、要相談だな。


「……楽しかったか? 外森」


 俺がたずねると、外森は頬を膨らませた。


「楽しいって……ニンニク食べさせられて、日の光に当てられたんだけど? わたしにとってはかなり危なかったんだけど!?」

「いや……その通りだけどさ」

「でも、令来もある程度自分で大丈夫かわかったでしょ? ボクはハイキング楽しかったけど」

「そりゃあ葉桜は犬だからね」

「ち、ちょっと! ボクは犬じゃない!」


 乾が食ってかかるが、秋雨がそれを止める。


「まぁまぁ、葉桜は犬みたいに人懐っこいから……」

「フォローになってないよ、宇月」


 高尾山のふもとで生徒の人数を確認すると、バスに乗せる。山登りは行って帰るだけなのに、集団行動だし、教師としての責任もあるから緊張していたかもしれない。

 ともかく生徒を数えて乗せると、俺と白石先生はバスの最前列に座る。ーーあとは帰るだけだ。


 バスは静かに発進する。……やけに静かだなと思い、生徒を見てみると。


「……寝てる」


 まぁ、朝も早かったし、運動量も多かったからな。ふと、隣を見てみると。


「あっ、ちょっと。白石先生ーー?」


 隣に座っていた白石先生も、うとうとと船を漕いでいる。まったく、困ったな。俺はそっと白石先生の肩を叩く。


「んっ……」

「白石先生、起きてください。教師が寝てたら責任問題ですよ」

「ふぁ……波久礼先生? ここは……」

「あと20分くらいで学校ですよ」


 白石先生を起こすと、俺もあくびが出る。眠くなる理由はわかるけどな。俺たちも、生徒と一緒に山登りしてるんだから。だけど、責任者だから、生徒たちをしっかり引率していかないといけない。

 俺はマイクで生徒たちも一緒に起こす。


『みんな、あと20分で学校に到着する。バスに忘れ物がないように、チェックしてくれ』


 ごそごそと降りる準備をする生徒たち。乾と秋雨は目を擦っている。


「ふぅ、よく寝た」

「令来、いびきすごかったよ?」


 秋雨に言われた外森が、少し照れた様子で頬をかく。


「色々あったから疲れてたの!」

「でも、みんなでお弁当作って食べたのは、おいしかったでしょ?」

「わたしはニンニク入ってたから、命がけだったけどね?」

 でも外森も乾と一緒で、人間よりだからか大したことがなかったのはほっとする。


 ーーそろそろ市街地にバスが入る。今日のハイキングに点数をつけるなら、46点くらいだろうか? 行きたがらなかった外森が出席してくれたのはよかったけどな。

 俺は立ち上がると、バスを降りる準備を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ