表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したおじさん、いきなり放り込まれた戦場で生き延びたい  作者: なごやかたろう
共闘の果てに見えた“仮面”

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/131

第3話 仮面の集団との遭遇・セシリアとの早すぎる再会

森に潜んで数日。

ラースは木々の影に身を潜め、馬車道を見下ろせる位置で息を潜めていた。


「……来るはずだ」


セシリアが語った“522年の襲撃”。

その場所は、まさにこの森の中。

風が木々を揺らし、鳥の声が遠くで響く。

だが、ラースの胸はざわついていた。


――黒騎士がいなくても死んだ。

――敵の気配すら感じられなかった。


その恐怖が、ラースの背筋を冷たく撫で続けていた。



その時だった。

コトン……コトン……

馬車の車輪が土を踏む音が、遠くから近づいてくる。

護衛の騎馬隊。

豪華な馬車。


「……来た」


ラースは剣の柄に手をかけた。


だが

――その直後。

木々の影から、“仮面の集団”が飛び出した。

黒いローブ。

無表情の白い仮面。

無言のまま馬車へ殺到する。


「……っ!」


ラースは木陰から飛び出し、馬を走らせた。


「助太刀する!!」



ラースは弓を引き絞り、仮面の兵へ矢を放つ。

シュッ――矢が仮面の兵の肩に突き刺さる。

だが――倒れない。


「……っ!?」


続けざまに火球を放つ。


「ファイアボルト!」


火球が仮面の兵の胸元で炸裂し、黒煙が上がる。


だが――それでも倒れない。


「……なんだ……こいつら……」


黒騎士と同じ“異常性”。

だが、黒騎士ほどの圧倒的な存在感はない。

それでも、倒れないという一点だけで十分に異常だった。

護衛の騎士たちが叫ぶ。


「なんだこいつらは!?刺しても倒れんぞ!!」

「怯む気配がない……!」


ラースは歯を食いしばった。


「……なら、押し返すしかない!」


剣を抜き、仮面の兵の懐へ飛び込む。

斬撃。蹴り。魔法。

ラースの攻撃が次々と命中し、仮面の兵たちは後退を始めた。

やがて――仮面の集団は撤退していった。



戦闘が終わると、護衛隊長がラースへ駆け寄ってきた。


「助太刀、感謝する!あなたがいなければ、我々は……!」


ラースは軽く頷いた。


「気にするな。通りがかっただけだ」


だが、胸の奥では違和感が渦巻いていた。


――倒れない。

――黒騎士と同じ。

――だが、黒騎士ではない。


「……何なんだ……あいつら……」



その時、馬車の扉が開いた。

侍女が慌てて止める。


「姫様、危のうございます!」


だが、女性――セシリアは一歩前に出た。


陽光を受けて輝く金の髪。凛とした気品を湛えた青い瞳。


「助かりましたわ。ありがとう」


ラースは胸が熱くなるのを感じた。


――やっと会えた。


ラースは片膝をつき、右手に魔力の珠を浮かべた。


「貴女のために参上いたしました」


セシリアの瞳が大きく見開かれた。

一瞬、息を呑むような表情。

そして――ラースの魔力珠をそっと受け取った。

その指先が震えているのが分かった。

しばらく動きが止まり、やがて静かに言った。


「……貴方はラースね。付いてきてちょうだい」


護衛たちが驚き、止めに入る。


「姫様!? その者を馬車に乗せるなど――」

「わたくしが決めたことですわ。異論は許しません」


気品と威厳を帯びた声だった。



馬車に乗ると、セシリアはすぐに問いかけた。


「魔力珠……誰に教わったの?」


ラースは迷わず答えた。


「未来のセシリア様です」


セシリアは息を呑んだ。

ラースは前回ループでの出来事を語った。

死に戻り。

黒騎士の異常性。

不可解な死。

未来の侵攻。

セシリアは静かに聞いていた。


「……普通なら信じられませんわ。

 ですが……不思議と、あなたの言葉を疑う気になれませんの」

「なぜですか?」


セシリアは微笑んだ。


「ひみつ、ですわ」


その微笑みは、気品の中にどこか柔らかさを含んでいた。


――こうして、ラースとセシリアの“共闘”が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ