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19-32.ファイナルコンサート顛末

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


19-32.ファイナルコンサート顛末


観客達が目覚めた時には

「みんなぁ〜またね〜」

「一年後?にSee You Again!」

「お芝居も観てね〜」

手を振る3メタルに大歓声で答える。

参加者の感想に

「日頃の疲れが取れた」

「仕事のストレスで悩んでいたが、どうでも良くなった。次に彼女達に会える日のために、上司(ハゲ)にペコペコしてお金貯める」

「あれ程苦しんでいた肩凝りが、嘘のように」

とかお喜びの言葉が多かった。


これはコンサートで心からリフレッシュしたのもあるが、三娘のパラゴン演奏による(鍵盤は無いが、三娘が感応して直接パラゴンの菅を共振させている)

「質の良い睡眠」

によるところが大きい。

三娘は環境音楽の大家。言わば

「レムリアのクレイダーマン(古いか?)」

と言える。


「三娘ちゃん、お店出す気ない?」

と社長が早速山っ気を出していたが

「お掃除がありますので」

と早見沙織さんのような美しい声で断られていた。

このナンバーズ一のお上品なお掃除メイドさんが、レムリア一の大量殺戮兵器。と言うのはちょっと信じられない。


観客達は興奮しながら宿舎に戻り、翌日元気に旅立って行った。

(水がギリギリなので、長居は禁止)

原宿の様に賑やかな(行った事なかったけど)タリフは、またいつものオアシス町の日常を取り戻して行った。


ドームが一旦別の場所に移された事は、誰にも気づかれなかった。

沙悟浄さんの話によると、たった一人だけ

「あれ?土台の土、新しくしました?」

と聞いた人がいたそうだ。名刺をくれたそうだが、レムリアでも最大手の建設会社(ゼネコン)

「株式会社金剛力士組」

の社員だった。さすがプロの目はごまかせないな。

「ドーム畳む時に崩れないように、早朝に補強したんですよ」

とか、とっさに誤魔化した沙悟浄さんも流石だ。


1時間の誤差も、気づく客は居なかった。

大体コンサートの体感時間など、物凄く主観的なものだし、多くの人が終わった後も

「超良かったねえ」

「あそこの神バンドのリフがさ」

「シロネちゃん神!」

「同意しかねますぞ、アカネさんこそ」

「いやいや争いめさるな。拙者のクガネ様に免じて」

とか興奮してサイゼリヤで語り合う(※比喩)のだから、時間のズレなど気にしない。


人間が持ち歩く道具として、文明を変えた大発明と言えば、最近ではスマホだろうが、その一つ前は腕時計・懐中時計だろう。

明治になって、英国グリニッジより135度の経度差のある兵庫県明石市が日本標準時(グリニッジから+9時間の時差)に定められる時まで、大阪とお江戸に時差がある事など、江戸時代の人々は知らなかった。

どこの地方でも、太陽が一番高くなる時間を正午とし、夜明けから日没までと日没から夜明けまでをそれぞれ6当分して時刻を決めていた。


なので時代小説の

「半刻ほど」

と言うのは今の大体2時間で、しかも季節によって長さが違う。ちなみに今も良く使う

「四六時中(4×6=24時間なので一日中の事)」

は当然当時は

「二六時中」

と言っていた。


レムリアもこの状況なので(もっと言えば神界的には天動説が主流)、本来寝るべき夜間のコンサート時間など、全然分かる訳もない。

俺やウラナαが持っているクロノメーターなど、持っている人は居ないのだ。


ドームはテキパキと畳まれ、韋駄天サービスの系列引っ越し会社が大型の荷馬車で慎重にマルブへ運ぶ。

ここで全天候型バザール用の天蓋(日よけ、及び砂嵐対策)として第二の人生を送るのだ。

メンテをしていけば10年は使えるはずだが、その頃にはそれ以降のコンサートで使うドームテントも余るだろう。

(マルブの成功でこの中古テントビジネスは、その後結構賑やかになったらしい)


電池兵の皆さんだが、37人があの義賊村の男達。

残りは各地でやはり義賊や、地元権力者へのレジスタンスとして活躍した。言わば

()いもんのアウトロー」

だった。

スミティが検査して

「人間だから悪事への誘惑に負ける時もあろうが、概ね正義の心を持つ男達」

と認定された。


みな隠れ里やアジトで暮らしていて、妻子もあったが、義賊村の者以外は家族を大御所の狩人に殺されていたので、国に帰るつもりはないようだった。

この

「清濁併せ呑む」

男達を上警が放っておくはずがなく(善人では使いにくい)、猛烈なスカウト活動により7割以上が最終的に上警のエージェントになった。


レジスタンスで戦った戦士達に上警は

「仇敵の調査をし、その悪事を上警エージェントとして罰する事が可能」

と勧誘したらしい。

もちろん目下の上警の最大の捜査対象が、妻子の仇、大御所グループである事も。


エールとレイラの父(村長)始め義賊村の人々は家族の待つ故郷に帰る事を望んだが、義賊の仕事は禁じられたので、結局狩りをしながら上警の在宅エージェントの仕事をする事になった。

残りの十数人は

「組織は性に合わない」

「妻子をなくし人生が空くなった」

「再会した善人化した父(最初の老人筋肉兵)の世話(放っておくとすぐ全財産を寄付したり、人の借金の保証人になったりする)をしなければならない」

等の理由で、旅に出た。かなりの数が僧籍(聖狐天教が最も多い)に入り、その多くと俺たちは友好関係を持つ事が出来た。


今回、虚無の女神は色々策謀を巡らせる存在ではなく、基本的には飽くなき飢えを満たしたい存在と判ったのは収穫だった。破滅の魔女が舞台を去った以上、実際に糸を引く黒幕はやはりカペラに代表される、未知の宇宙生命体。という事になろう。

直近の目標は大御所討伐だが、一度はサンダル大王に拘束された事のある、カペラ(多分スミティクラスのエージェント)まで追撃の手が伸ばせるか?


その上は無理だろう。余り刺激してその勢力とアドミンの勢力の戦いになるのも困る。

彼らに人間の正義や悪の概念はない。

二勢力の戦いで、レムリア星自体が粉砕されても、両者ともメンタルになんの影響もないだろう(そもそもメンタルとかあるのか?)。


撤収と、ギョウザ歌劇団次回公演

「真・3メタル物語」

の準備で、俺たちは忙殺された。

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