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19-33.敵からの秘匿

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


19-33.敵からの秘匿


「もし今回の事を敵側の上の奴が観察した場合、一番興味を示すのは、おそらくセイコαだろう」

師匠が語る。

流石にセイコβの超常的感応力には気づかないだろうが、あの二回の超弩級白色光線は派手すぎる。


「至上による天罰、と考えてくれると良いのですが」

後始末(という名の調査)に来たシャミラムがため息をつく。

確かに聖狐天の神聖魔法であれば、あれ位の事は容易いだろう。

しかし、聖地とは言えタリフと言う異国の地で、四天王ならともかく、御神体がひょいひょい姿を表すのは変だし、タリフであれだけの力を行使したお詫びは、流石にアンゴルモア神界にせねばならないので

「うちの聖狐天がやらかしました」

では事を大きくするだけだろう。


上警もこの最終兵器には興味を持つだろう。

もしゴンドワナと言う伝説の大陸に渡る事が可能な犬人+犬のコンビ、とか上警上層部が知ったらどんな反応を示すか?

上警がレムリア神に繋がっているなら、おそらくレムリア神はゴンドワナと言う異世界の事は知っているだろう。レムリアがレムリア神の方針で人間以外の知的種族を絶滅に向かわせている事と人間を絶滅に向かわせたゴンドワナの主神(ラプラス)の間に何かの協約があったのかはわからない。

しかしその間を自由に行き来出来るパピーズと言う異物が登場する事は、予想外だったと思う。

やはり絶対に知られてはならない。


「ちょっと話があるんだが…」

そんな時、師匠が俺に言う。珍しく真顔だ。

「何ですか?この仕事終えたら」

「後で良い。ただ他の人に聞かれたくない」

「オコや社長にも?」

「うん」

「わかりました。では夕食後、俺の浮遊神界(かくれが)で」


オコにその事を告げると

「前から怪しいと思ってたけど」

「いやいや俺にそっちの気はないよ」

「冗談よ。余程大切な事なんでしょうね?」

「うん、見た事もない顔だったよ」

「多分アタシたちビッグセブンの残りにも言えない話なのね。言える様になったら教えてね」

「もちろんだよ」


「本当に良い家だね。落ち着くよ」

「家具を幾つかノヅリ・セレクションに変えて、更に落ち着く様になりました」

「照れるね。って言ってる場合じゃないんだけど、なかなか本題に切り出す事が難しくて」

師匠はオコの焼いたクッキーをお茶で流し込む。

「ねえ、ウラナくん。犬とか猫を飼った事ある?」

「犬ならありますよ」

前世では何頭か犬を飼ったが、晩年に飼った犬は老齢になって猛暑で倒れ、病院で息を引き取った。


「僕も子供の頃、王宮で犬を飼っていた。それから成人してからは愛馬もいたよ」

「はい」

「犬も馬もね。人間より寿命が短い。バクロンではね。家畜は歩けなくなると、頸動脈を切るんだよ。それが主人の義務」

遊牧民だったゴルモア人王朝の伝統だろう。

うちの犬も、末期には安楽死と言う選択肢もある事を獣医から告げられた。

これ以上延命治療を続けても、助かる可能性はない。と。

家族は当然安楽死には反対で、その後一か月、入退院を繰り返し息を引き取った。

ペット保険には入っていなかったので、100万近いお金がかかったが、仕方のない事だ。


「それでね。βたちの事なんだけど」

ああやっぱりそれか。

犬人は長命種とは言えないが、人間程度には生きる。

橇犬は大型犬なので、せいぜい12年くらいの寿命。

βたちは先に死んでしまう運命だが、それぞれαたちと能力に関連性はあるものの違う能力を持っており、両者が合わさって本当の力を発揮する。

何より相棒に先立たれた時の、αたちのレス感は大きいだろう。


例えばそうなる前のここ10年くらいに、パピーズが神に列せられたり、神の眷属になれば、永遠の寿命が約束されるだろう。

パピーズは聖狐天の庇護下にある信者なので、眷属になれば条件は満たすのだが、神々の永遠性と言うものは信者の周知が条件なのだ。

「○○神の眷属に△△って言うのがいるよね?」

と言うコンセンサスが、眷属に永遠の命を与える。


名も無き神オブリトゥスは、信者が全て死に絶え名前も忘れられたが、おそらくレムリア神との契約に縛られて、上警の上席をやっている(やらされている)。

彼らも現役の神としてバリバリに活動していた時は強力な眷属に護られていた筈だが、神の名が滅んだ時にオブリトゥス以外に眷属まで残った例はない様で、部下のエージェントの出自は全く違うものだ。


今パピーズの名が知られるのは本当にマズイ。舞台監督の八戒さんに

「いいねえあの子たち、伸びるよ〜」

とか内輪の賞賛を受ける分にはいいけど。

あくまでも伎芸天事務所の構成員自体が

「訳ありな」

存在なので、伎芸天事務所ではそれ以上パピーズの素性を詮索する者はいない。


パピーズの真価を知る神々は、聖狐天とシバヤンだけだ。

聖狐天は庇護下に入る時に真実は明かしたし、シバヤンにはゴンドワナに分身の様なシャルブ(シバヤンの幼名)が居たからだ。


「君、僕に話してくれたよね?この間の騒動の時に時間巻き戻しを使ったって」

拉致されそうになったオコαを先に斉天大聖が確保した時

「ん?犬人?」

と言った事、それで俺が時間を巻き戻し、ステルを急行させた事。

斉天大聖 孫悟空はレムリアの天帝神界でも古い神だ。元は悪神で宮廷を荒らしたため、千年間岩牢に封じられたが、醍醐如来(現世では釈迦如来)が三蔵法師のペンジク仏典探索行を守る任務に就かせた。


当時大東では醍醐教が大流行しており、天帝も醍醐側の要請を断れなかったのだろう。任務終了後解放された孫悟空は斉天大聖と言う神になったが、結局志願して(八戒曰く"兄貴は宮仕えが向いてない")上警のエージェントになった。若い頃ならエルフ、ドワーフ、そして犬人も沢山生きていた時代なのだろう。だから犬人とわかってしまった。


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