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19-31.魔女の末路

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


19-31.魔女の末路


「痛い痛い痛い。なぜ私を齧るのです?」

魔女は悲痛な叫びを上げる。

「ああさっきの光のせいだな」

師匠が解説する。

「セイコαの?」

「うんあれは浄化魔法と言うか、もう神聖魔法の域に達している。まともに浴びれば流石の破滅の魔女も形も無く消えただろうが、おそらくかすっただけだったんだろう。半分だけ浄化されたのを気づかずにいたのだろうね」

白い部分と黒い部分が上手くミックスされて、霜降り状態になっていたのだろうか?


「虚無の女神は自分の分身とは気づかずに噛み付いたのだろうな」

恨みで真っ黒な存在は女神の眷属。これはさすがに食わないはず。真っ白な善人は食えないので吐き出す。

両方混ざって初めて美味しいご飯。と言う事か。人間にもほら、天使と悪魔が頭の中にいるしね。


「嫌、やめてこれ以上食べないで下さい。私は貴女の分身ですよ。共食いですよ。食べても美味しくないです!」

どうもやめてくれない様だ。やがて声がしなくなった。

「破滅の魔女の最後か?」

「いや虚無の女神は、餌を運んでくる手下を必要とする。すぐに新しい魔女が生まれるだろうな」

それは明日かも知れないが、とりあえず女神は美味しいご飯を食べて、ご機嫌の様だ。何百年か眠ってくれるといいのだが。


徐々に縮んでいく大穴を除き込んで、ステルが呟く。

「おじいちゃん…」

ステルはマーリンに結構なついていたなあ。

因業爺とか言いながら、みんな結構好きだったのかもな。

「月命日にはぼた餅を備える約束しちゃったわね、私。嫌だけど作ってやるわ」

オコが憎まれ口を叩く。

が、目には涙が溜まっている。

「私達の先生だから、私達も手伝いますね」

パピーズも神妙な顔をしている。

「マーリンならしんぴゃあにゃあて。またいつかなんもにゃあ顔して、ひょっこり出てくる。に、しるこサンド10みゃあ」

パーサが機械人形(オートマタ)には珍しくエモい事を言う。


穴はどんどんすぼまって行き、遂に閉じた。

「金羊毛の呪いは終わった訳だな」

タケノコがあと一本だと言っていた。

恐らく今回の大穴を開ける為に、20個の穴分のタケノコを使ったのだろう。

迎えに来た大御所の分で最後だと考えていいのではないか?


「一件落着…、あっ電池兵!」

そう言えば魔女は亀裂を拡げる為に100人の電池兵の体力を絞りとったはずだ。

それは奴のアジトでも虚無の大穴の中でもない。

それでは遠すぎるので、魔女がタリフ近郊でアジトにしていたところに置いていたのだろう。

「何か力の流れを感じないか?」

才蔵がレイラに聞く。

それも見えるのか?

「とても弱々しい、空中に漂う蜘蛛の糸の様なものが、街はずれから飛んで来ます」

さすが見鬼だ。彼女の言う"糸"は誰にも見えなかったが、言われる通りに行くと、街はずれに捨てられた枯れ井戸があった。


「この中か?」

俺が覗き込むと長い腕が伸びて来て、あっと言う間に井戸に引き込まれる。

ドサッ!

と底に叩きつけられ、苦しかったが死んではいない。

しかし、巨大な蜘蛛が俺を糸でグルグル巻きにし始めた。

「ふふふお前がマーリンに変わる人代か。お前を食えば、ワシはまた現世に復活出来る。ありがたくワシの糧になってくりゃれ」


バンジー急須(※ゴム紐に括りつけた急須を崖の上から落とすレムリアの遊び)

なんか案外短い人生だったな。

俺はまたどこかに転生するのだろうか?

それとも虚無の底に沈むのかな…。

などと思っていた刹那

『しっかりして下さい。みっともないですね』

とスミティに頭の中でど突かれた。

『私の宿主は簡単には死なせませんよ。彼氏もいるんですから』

今彼氏と言ったな?

あの"僕"とか言うチャラい奴か?

お父さんは絶対に許しませんよ!

「まあそれは23%程の冗談ですが、何とか助かって下さいな。がんばれー!」

77%は本気かよ。しかも応援だけ?


なんかこのピンチを抜け出す手はないものか?

と思案していると、突如頭上から

「大丈夫ですか?今助けます!」

と言う声が聞こえた。

ああ…セイコαか。

「いっくよ〜!」

先程の太い光線の棒が惜しげもなく何本も降り注ぐ。

「ぎゃああああああああああああああっ!」

もの凄い断末魔の悲鳴と共に蜘蛛は消滅した。

魔女が残した分身の分身である蜘蛛が姿を消し、破滅の魔女はこれで本当に当分出てこれないだろう。


皆がドサドサ降りてくる。

師匠が注意深く蜘蛛の糸を解き(何かに使う気だな?)、俺に治癒魔法をかけようとしたが、止める。

「この後、魔力が沢山必要になるからな」

井戸の底には横穴があり、ダンジョンとも言えない短い洞窟を通って行くと、底に100体のミイラが横たわっていた。

いや失礼、まだ息がある。

すぐにオコとオコα、その他治癒・回復系が使える者達が、土砂降りの様な魔法のシャワーで、彼らを癒して行く。


「助かった。魔女はどうなった?」

早くも回復に向かった男が起き上がり、尋ねる。

「パーサ、善人化を」

ここにはナノ姫の事を知らない者はいない。

だがパーサが首を振る。

「この御仁らは呪いを受けてござらんわ。善人化も必要にゃあでよ」

滅びの魔女が死んだので、筋肉兵化の呪いは解けたのだろう。と言う事は善人化も必要ないと言う事だ。

善人化は呪いを解くためのやむ終えない副作用で、必要無いのにあえてやるのは精神的虐待罪にあたる。


「「お父さん!」」

やっぱりこのひときわ精力に溢れた男がレイラとエールの父か。

ようやく約束が果たせたな。

と言うところで、俺の意識は途切れた。


「メグル、メグル!」

オコの声で目を覚ます。

一昼夜眠り続けたらしい。

「ドームは?」

「浮遊神界への宝玉(カギ)勝手に使わせて貰ったよ。何とかアンコール2時間で復旧した」

師匠が報告する。やれやれ、大幅オーバーだが、ドーム内の3万人の観客は3娘の奏でる催眠音楽で途中から眠りに落ち、体感は1時間くらいだろう。との事だった。

お掃除だけじゃ無い、さすがナンバーズの三女だ。

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