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19-29.対決

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


19-29.対決


耳をすませてみると

「ゲー、ウゲー。これまず〜い」

と言う声のあと

「すすっぽ〜ん!」

と言う感じで、蓋が天空高く跳び出した。

ステルがさっと飛び上がり、地面に激突する前に受け取って

「な〜いすキャッチ!ねえ、もう一回もう一回」

とフリスビー咥えて来た犬みたいにワクワクしている。


「いやステル、また今度ね。それよりあーあ、ちょっと表面溶けてるよ、治癒魔法で治せる?」

「取り敢えず生きてるみたいだから、治癒魔法、浄化魔法。そっち系統の奴どんどんぶっかけて。あと綺麗に治すのは、ナイラスのアヌビス神か聖狐神様に頼もう」

師匠がテキパキ指示する。

全員が強酸で火傷したみたいになっていたが、痛みを感じない処置は出来た。


「なんで吐き出したんだろう?」

と不思議がっていたら、沙悟浄さんが、

「アリジゴクだったら習性ですね」

と。甲虫の殻とか、食べられないものは穴の外に放り出すそうだ。

案外綺麗好きなのね。

「そういえば、まずいとか言ってましたが、お口に合わなかったのかな?」


「善人だからでしょ」

と社長がいきなり正解を出す。

「なるほど、虚無の女神は心の中に黒い物を飼っている者しか食わない。と」

ラー神も長年のストレスが黒いサソリの形で体内に溜まり、だからこそ虚無の海に引き込まれそうになった。それをマァトと言う形で産み出したので、元に戻ったのだ。

もちろんマァトは悪神ではなく、正義の神に生まれたのだが、アヌビスの様な馬鹿助と付き合っているのも、黒い物が溜まらないための彼女なりのストレス解消なのだろう。


「つまりウラナ君が"なんと無く"先に善人化したのは」

「大正解だった訳やな。いやあ、お手柄やで」

なんか褒められちった。

とにかく1000人全員救出でき、四天王と御供は虚無の女神に食われかけた50人を、聖狐天に治療して貰うため連れ戻った。

残りの950人は、眠らせたまま沙悟浄が見張ってくれる。


「あとは電池兵の100人だが…」

と言っているうちに、地面が揺れた。

まだ大地震と言う訳ではないので、アンコールの熱狂にある観客達は気づかないだろうが、これ以上亀裂が広がると当然気づかれるだろうし、最後はドームごと奈落に落ちて虚無の女神のご馳走にされてしまう。

「マーリンはどうしてる?」

『おお、丁度良いところじゃ。ウラナ、お主余ってる浮遊神界はあるか?』

マーリンの切羽詰まった声。

『有りますよ。様々なのが千ほど』

『大きくて何も邪魔物のない神界に、ドームごと放り込めるか?』

『やった事ないですが』


『僕がやります。土台ごと切り離して、浮遊神界に軟着陸させれば良いんですね』

師匠が割り込んできた。

『ならば、あと一時間程、ドーム全体を安全に保全して欲しい。その間に魔女はなんとかする』

マーリンは俺に、あるものを投げてよこした(伏線)。


俺達は楽屋(バックヤード)に急ぎ、舞台監督の八戒さんに事情を話す。

「今一回目のアンコールが始まったばかりです。一時間なら引き伸ばしましょう」

これで憂いが無くなったので、俺が浮遊神界(大)への入り口を空に開け、師匠が見た事の無い規模の大魔法でドームを土台ごと切り取って、浮遊神界の入り口に放り込んだ。


「2分か。まあまあだな」

といいながら師匠は社長の腕に倒れ込む。オコが治癒魔法をかけるが、HP、MPともすっからかんの様だ。

『上首尾じゃ。ではそろそろワシも本気出すかのう』

ドームが無くなった分、20個の穴はあっと言う間に繋がり、巨大な穴が黒々と空いている。

ここにドームが落ち込む筈だったのか?

天空には白きマントを広げたマーリン。

あの靴を履いている。

なんかめちゃくちゃ正義の味方に見えるぞ!


そして大穴の縁には黒衣を着た背の高い女性。

おなじみのつばの広い黒い帽子。

破滅の魔女だ。

「マーリンよ、一万年ぶりの一騎打ちじゃのう」

魔女も箒に乗って飛び上がり、バチバチと目まぐるしく衝突しあう。

ほぼ互角だが、徐々に魔女は劣勢となる。

俺達は呆然と見上げるだけだった。

傍目には花火大会見てる様な火花だった。


魔女が俺達の方に急降下する。

「防御体制!」

俺が叫ぶ。四天王と上警が去った今、師匠もエンプティ状態なら、俺が魔法を展開するしかない。

しかし魔女の方が早かった。

急降下して来た魔女は手近の人質をかっさらった。

「オコαが!」

ウラナαが叫ぶ。

ノヅリαは妹を守ろうとして深手を負った様で、倒れている。


「はっはっは、形勢逆転じゃな。マーリンよ。この娘の命が惜しくば…」

「殺しても構わんよ。臨時に雇った下女じゃ」

「アホぬかせ、下女にお前の弟子の証である杖を付与せんじゃろ。こやつ牽引魔法で引き寄せおった。若いが、力ある魔女じゃな。虚無の女神様はさぞかし美味しく頂かれるだろうて」

「くっ!」


「マーリン、武器を捨てよ。愛弟子の命が惜しくばな」

オコが弓を放ったが、ことごとく魔女に達する前に燃え尽きる。


突然天空に新しい穴が開き、坊主頭が覗く。

「魔女殿、そろそろ大穴が閉じる時間ですぞ。撤収なされよ」

あれが大御所か。

「馬鹿者!筍もあと一本と言うに、それを使い果たすとは」

やっぱりトンボくんが撮って来たタケノコの山は金羊毛の回数メーターだったか!


「仕方ない、この小娘を人質に、お前達を苦しめるとしよう。民の苦しみは、ワシのエネルギーじゃからな。大御所、引き上げじゃ」

魔女に拘束されたオコαがキャトられる様に天空の穴に吸い込まれて行く。

「確保!」

と筋斗雲に乗った斉天大聖が、東方から凄い速度で飛んで来たが、間に合いそうにない。


万事休すか?オコαが魔女側の手に落ちれば、パピーズの謎も解明されてしまう。

俺の恩寵(まきもどし)を使うしかない。

と身構えた刹那


「お姉ちゃんを返せ〜っ、」

一条の眩い光が走った。

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