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19-26.救出作戦

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


19-26.救出作戦


とりあえず魔女の事はマーリンに任せて、俺は師匠と穴に向かった。

「ほう、あれが肉蓋」

肉壁がそのまま穴に被さったものを想像していたが、間違っていた。見た目マンホールだった。

表面に人間の形が見えるので、50人の人間を組み合わせているのだろうな。と言う事はわかるのだが、なんか繋ぎが有るのだ。

一番よく似ているのが、羽根付きの鉄鍋餃子だ。

丸い鍋に放射線状に餃子が並べられている。

しかも溶き小麦粉の繋ぎで固められている。

餃子だと、このパリパリに焼けた羽根が美味いんだよな。


「あれはなんで固めているのだろう?」

「松やにだろうな」

まだレムリアには、プラスティックを製造する技術がないのだ。

「溶かして流し込んだ?熱くない?」

オコが当然の疑問を述べる。

酒精(アルコール)で溶かした後、人間と一緒に型に流し込み、硬化魔法をかけたのだろう」

「へーなんでそんな手の込んだ事を。蓋なんか木か金属で作ればいいじゃない」

「肉の壁と同じ事さ」

俺たちは彼らがいかに悪党であったとしても、善人化出来る事が判っているのにこれを傷つけて排除する事は出来ない。

上警も取り調べのために容疑者は生かして確保したい。


「硬化魔法に対抗術(アンチマジック)をかけるとか?」

「硬化が解ければ松やにが流れ落ちて、筋肉兵が奈落の底に落ちる」

「そっかー」

「ふた持ち上げたら?」

ステルが鳥ジャガー化して言う。

「出来る?」

飛び上がったステルは穴の真上にホバリングして、蓋をかぎ爪で掴もうとする。

「ダメ、つるつるでつかめない」

「多分似たような事は才蔵も試みただろう」

どうしよか?だが検討する場合ではない。


『頼って済まないが』

『了解です。ビッグ7が7人。パピーズは4人一組。才蔵、四娘。あと使える上警は?』

『エール、レイラは近くにいるだろう。それぞれ才蔵と四娘の所で修行しているはずだ』

『ではそれで12人(組)ですね。あと使えそうな者はおりますか?』

『ジェライスと三毛はタリフで初代様の絵を描いています』

『では1組追加。あと7組ですが、心あたりがありますか?』

『持ち上げるのだろう?トトムは指示すれば出来るぞ』

師匠が割り込んで来た。

持ち上げる?

ああそうか!


『あと6組。歌劇団から人は割けないですか?』

『コンサート中なので無理だろう』

『自警団が居るにはいますが…。そうだ!四天王に力を借りるとか?』

『すぐに来れますか?』

『聖狐天教タリフ教会があり、タリフは信者も多いので、パリトネカビルでタリフに顕現する事は可能でしょう』

ここはチャガマン国の領土であり、本来アンゴルモア大王の神界だが、前述の様にゴルモア人は父祖アンゴルモア大王と先祖の霊さえ祀っていれば、個人の信教にさほどこだわりがない。


『あと2組ですね』

『そうだ!メルファの所で御供が修行しています!』

『聖狐天の下でですか…。人間がパリトネカビルを使って他の神界領域(なわばり)に降りるのは、後で問題になりませんか?』

『御供がメルファあたりの準眷属たる事を了承すれば大丈夫でしょう。それは事後でも問題ありません』

神界法に詳しい師匠が答える。

御供は人間なので、本来許可する神の神界でしか通行出来ない。


オコはちょっと複雑そうな顔をしていた。

人間が神の眷属になる。と言う事は

「弟が町に丁稚奉公に上がる」

と言うのとは訳が違うのだ。


あと一組…。

『沙悟浄さんにお願いしよう』

コンサート中伎芸天事務所のスタッフは忙しく働いているが、沙悟浄の仕事は警備主任である為、まさにこの仕事を手伝って貰うには打ってつけだ。


俺は20人(組)を急ぎ集めた。

概要を説明すると、ジェライスが手を挙げる。

「今アポルも来てるんだけど」

最終公演でグッズが品切れになったので、急遽バクロン近郊のコミューンから飛竜(タクシー)をチャーターして運んで来たとの事。アポル儲かってるなあ…。


概要はこうだ。

全員(組)に投網を渡す。

いや俺と師匠、パピーズは不要だ。

嘉門があるからね。

あと当然ステルとトトムも。

投網は、上警が大捕物用のを提供してくれた。

これ本当の漁労用の網では無く 捕縛用魔具で、筒の先から魔法の緊縛網を放出する。


人間達はそれぞれ穴からかなり離れた地に(ペグ)を打ち、自分の体に縛り付けたロープを繋ぐ。

「魔女の呪文により、穴の周辺の地盤はどんどん緩み、ヒビ割れが入って穴が大きくなって蓋は奈落の底に落ちる」

「おちたらどうなるの?」

「虚無の女神の餌になる」

「おーアリジゴク!」

「落ちる寸前で捕まえる」

かぎ爪や嘉門や投網で。


この三種では投網の成功率が一番低い。

トトムの配下の野良飛竜(のらワイバーン)にやらせるには時間が足りない。トトムは入念に条件付を師匠が施しているので問題ないが、目の前に美味しそうな50人の人間が無防備にいれば、普通のワイバーンは食ってしまう。


『その前にパーサと師匠は、筋肉兵を全て善人化して、眠らせといてくれ』

極秘事項なので念話で伝える。

『後でもえんでにゃあ?投網組に稽古付けたりたいでよ』

『いや、なんと無くだけど、善人化しといた方がいい気がする』

『暴れられると蓋が動いて投網が外れるかも知れないよね』

師匠がフォローしてくれた。

まあこれも師匠の催眠魔法かけちゃえば、悪人でも善人でもいいのだが、パーサも納得して二人は蓋化している筋肉兵1000人を全て善人化して眠らせた。


この"なんと無く"が本当に良かったのだ。

転生の時、地味な世界へ送る事に気が引けたのか、受け付け職員が二つの恩寵(チート)以外に"幸運"を付与してくれた事を、俺は感謝する事になる。


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