表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
729/2136

19-23.大漁善人化

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


19-23.大漁善人化


大公とウメダの涙の再会後(ドリアはもうアマランタインに夢中の様子)、ステルがエルフ女王夫妻をお送りして行った。


「パーサ、頑張ったな。ありがとう」

「シン・エルフの隠れ里は準神界だで、途中でパリトネカビルに上手く反応したんだわ」

大街道の西側は一応チャガマン国の領土だが、正直余り権力は及んでいない。元々ゴルモア人はかつてのウメダの様な地方行政官しかいないので、それほどしっかりしたゴルモア神界が形成されていない。

ゴルモア人は父祖アンゴルモア大王と先祖の御霊を祀る事以外は他宗教に寛容で、本家のゴルモア高原などは、かなりのゴルモア人がジョウザ派醍醐教に帰依しているくらいなので、パーサがパリトネカビルを用いて神界を渡る事が出来たという。


もちろんウメダとアマランタインを神界に連れて行く事は出来ないので、帰りは社長に連絡を取り、ワタリガラス特急便をチャーターしたのだった。

「息子よ、また会おうぞ」

「はい父上」

チャガムIV世のこの言葉を、どれだけウメダは待っていた事だろう。

家臣からは謀反を疑われていたウメダだが、もとより母ハナテンを悲しませる事など、出来はしないのだ。


「さて、後は肉壁だが…」

5000人の筋肉兵は徐々に呪縛が解け、複雑に組み上げられた肉壁は崩れ始めている。

面白いのは体が壁から離れた者から必ず足や胴体を

「パンパン」

とはたき始める事。

「俺は本当は、むくつけき男共と肌を密着させられる事は嫌だったのだ」

とでも言わんばかりの所作である。

精神は筋肉兵として完全に支配され、意志は持たない筈なのに、男としての本能的なものであろう。


俺は中学の体育の時間を思い出した。

梅雨時などは特に雨で運動場が使えず、なんクラスもが共同で体育館を使用する合同授業が行われる。

バスケやバレーの様な少人数でコートを占有する競技は出来ないので(俺の中学は13組まであるマンモス校だった)、結局体育教師が思いつくのは

「フォークダンス」

だった。


昭和40年代である。

中坊達は、もちろん彼女は欲しいが、同時に

「女とちゃらちゃらするなど恥」

と言う時代だったのだ。

だから当時の中学生は男女で手を繋ぐ事など、まずあり得ない事。

よくアニメ化される、手が触れるだけで真っ赤になる超ピュアなラブコメ漫画などは、まさに未だにそんな感じだが、あれは製作委員会のおっさん達が、そう言う青春を送って来たからだろう。


それでフォークダンスの授業は、当然男女で手をつないで

「オクラホマ・ミキサー」

などを踊るのだが、あの曲は延々と同じフレーズが繰り返され、レコード(まだカセットじゃないよ)が終わる時に

「チャーチャンチャカチャンのチャンチャン!」

て感じのエンディングで曲が終わるのですよ。

そこの最後のチャンチャンで男女共大きな音で

「パンパン!」

と手をはたく。さも

「あー女(男)と手を繋ぐなんて、嫌だった」

みたいな顔で。


嫌なわけないのである。

もう手が汗ばんじゃって、しょっちゅう短パンのケツで拭くのである。

「一番最後のところで当たれば、笹山さんの手を長くつないでいられるのになあ」

と願っても、結局最後は、人数合わせで女側に入れられ、男ばっかりと踊って機嫌の悪い永沢くんに当たって

「藤木くん、残念だったね。僕で」

とか言われるのである。


なんかそう言う事を思い出す風景だったのだが、

「パーサ、全員の呪縛が解ける前に電撃を」

と言う師匠の言葉に

「アイアイサー」

とパーサが答える。

電撃を受けて倒れ込む筋肉兵に、師匠とパーサが組になって詠唱する。パーサが一緒なのは

「施術中に電撃の効果が弱まると危険だで」

と言う事だが、これはスミティの助言だった。


師匠が何やら呪文を詠唱しパーサが筋肉兵一人一人をチェックする。約100人毎にパーサは走って行って

「術の効きを確認して」

戻ってくる。

これは部外者対策。特に食い入る様に見つめているマーリンの目を欺くためだ。

「あの様な異国の呪文詠唱だけで…。ノヅリの魔術は既にワシの及ぶところではないのう」

と感心しているが、実はパーサが99体のナノ姫で、どんどん善人化しているのである。

ちなみに師匠はスミティ発掘の俺の昔CM記憶ライブラリから、アラン・ドロンの

「ダーバン セレレガンス デラ モデァム」

(ダーバン、それはモダンなエレガンス)

を意味もわからず詠唱していただけだ。


オコとコンコン、社長が(ステルはウメダとアマランタインを返送中)我に返った筋肉兵に飲み物を与えて介護している。

ドリアが気づいてフィフを夫に預け、手伝い始めた。本当に出来た奥方だ。

50数回繰り返して、5000人の筋肉兵を全て善人化した。

早速聞き取りしたが、残念ながらあの義賊村の住人は居なかった。

余程精鋭扱いされているのか?


今回も故郷に帰りたい者は少なく、ほとんどが行き先がない者たちだった。

「剣や弓は使えるか?」

大公が問うと、全員が手を挙げる。

「その武器で人を殺す事は?」

全員が首を横に振る。

「ではなんのために武器を使う?」

「「「「「愛する人々を守るために!」」」」」

「それで良い。諸君は余が引き受けよう」

こうして約5000人の人々はチャガムIV世に従い、

「絶対に悪事を行わず、殺戮を行わない善人部隊(イイチェリ)

として治安維持や首都防衛に当たった。


大御所筋肉兵残存数:1100人(11%)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ