19-20.タンランの事
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
19-20.タンランの事
最悪王タンラン。
レムリア史上最も悪名を轟かす悪役だ。
アンゴルモア大王の将であったクルトが始祖となるクルタン(クルト=アン)国の王なのだが、陰では誰もその名で呼ばず
「タンラン(貪欲なる者)」
と呼んだ。
王を直接この名で呼ぶ事などあり得ないが、本人もそう呼ばれている事は承知しており、むしろ喜んでいた節がある。
歴史家は最悪王の称号を献上している。
一般に悪い権力者には、生い立ちが不幸、とか、大きな目的のためにあえてワルを演じる、とか、悪逆だが家庭は大事にした。とか、何か情状酌量する面があるのだが、この男には全く弁護出来る所がない。
清々しいほどのクズなのだ。
金に汚い。
約束を守らない。
有能な部下は裏切りを恐れ粛清する。
家臣・兵士を使い捨てにする。
異民族は奴隷だと思っている。
綺麗な女は人妻でもモノにし、飽きたら殺す。
金貨や財宝を求める事、伝説の竜を凌駕する。
周辺諸国を隙あらば侵略し、簡単に滅ぼす。
隣国の姫を妻とし、舅王が死んだらさっさと併合して妻も殺す。そして病死と発表。
子供は何人もいたが、王の座を奪われるのでは?と優秀な順に殺し、気質だけタンランそっくりの長男と、控えめで絶対に主張しない次男だけが残った。
隣接する他国を侵略し尽くして、後は大国ペンジク、ナイラス、バクロン、そして同胞のゴルモア人が統治するチャガマン国が残った。
チャガマンに対しては、同胞でしかも格上のチャガム大公には一応の敬意を持って接していたが、チャガムIV世の妃、麗しの星ハナテンに懸想してこれを誘拐、ハナテンがタンランを拒絶して自ら命を絶つや、悪鬼の様になったチャガムIV世と義子のウメダの突撃に会い、自国に命からがら撤退した。
ペンジクとはカイバラ峠と言う天然の要害で隔てられている為、一度も交戦は無かったが、シバヤンのナンバーズの一人、五娘が古代兵器の罠にはまって行動不能になった時、偶然クルタンが身柄を確保して兵器としての圧倒的な性能にタンランは驚嘆し、分解して調べさせようとしていた所で五娘が脱走し、それを追って、
「有能過ぎるので、そろそろ始末したかった」
将軍ダリウスをカイバラ峠に派遣した。
結局これを怒ったシバヤンが
「勤めて穏便に、余り威圧しない様に、タンランの面前に現れて、注意」
しようとしたのだが、タンランは余りの恐ろしさにショック死。愚かな長子はシバヤンに斬りかかって瞬殺。次子は出家したのでクルタン国は滅亡し、非ゴルモア系のダリウス将軍がクルティア王国を建国した。
タンランにとってハーフエルフなど女奴隷に等しいので、ハナテンもチャガムの妾なのだろうと、隣の牧場の牛を盗む程度の感覚の愚挙だったが、元来勇猛で知られるチャガムIV世が、亡くなった無二の親友の妻にして最愛の妃。と言うハナテンを失った怒りを舐めていた。としか言いようがない。
しかしタンラン軍は当時10万の大軍を擁しており、僅かな手勢を率いて(単身突撃するチャガムIV世をウメダと近衛兵が必死に追った形で、せいぜい千騎位だったと言われる)突入したチャガマン軍は大きな損害を受け、チャガムIV世は重症。刀傷から体調が戻らず自暴自棄な生活を送り、かつて名君、英雄大公の面影はどこにも無かった。聖狐天に出会うまでは。
ウメダは片足を失い、地方の守備を任せられるが、チャガムIVが政略結婚で再婚し義弟・義妹が生まれると身を引き、義父と会おうとはしなかったので、かえって謀反の疑いを掛けられる事になり、義父子の関係はギクシャクした。
比較的タンランの被害を受けなかったのは、ゴルモア系征服王朝の名門、アンゴルモア大王の三男イズの末裔たるバクロンのイザン朝だが、ここでもお家芸と言っていい様々な派閥争いに、タンランが常に裏で糸を引いていた。と言われる。
遠方である為、国境付近の小競り合い程度はあったと思うが、今回バクロン兵士は除外していいだろう。
ナイラスとは何度も激しく戦い、ナイラスは騎兵・歩兵の大半を失い、多くの領土を失ったが、魔法兵の力で首都ラースには入らせなかった。
ナイラスは鎖国政策を取り、カライ大佐の軍事革命が起こってタンランの再来に備えた。
その他中小の周辺国にはタンランに酷い目にあわされた者が多く
「タンランを恨む動機のある者」
など山ほど、と言うより砂漠の砂ほどいるのだ。
兵で無くても、圧政に耐えかねて一揆を起こして無残に鎮圧された農民兵。とかもいそうだ。
「とにかくあの亡霊兵が何者か?が分からねば、説得のしようがないな」
「マーリン先生、亡霊兵と言うのは自縛されているものですか?」
師匠は魔術師としてのマーリンは尊敬しているので、一応敬語だ。
「とは限らんが、方向と言うものがあってな」
「方向ですか?」
「今あやつらは肉壁の前からタンランのいたクルタン国廃都の方を向いておる。どうやら使い捨てにされた部下達の霊ではない様じゃ」
「と言う事は北方のチャガマン国の兵?」
「おそらくああ言う霊の性質から言って、チャンスは一回じゃろう。慎重にやる事じゃ」
誰かと間違えられる事は誰でも気分が悪い。
俺はカラオケではよく
「声がジュリーに似てる」
と言われた事がある。こう言うのは悪くはないので、カラオケでは勤めて沢田研二のレパートリーを歌う事にしていた。
また晩年ある人に
「立川談志師匠に似てる」
と言われた事もあった。これも光栄な事ではあるが、俺ってそんなに不機嫌そうに見えたのだろうか?
「とにかく間違えん様にせんと。兵はみんなプライドが高いからな」
「パーサ、あれから亡霊兵の声は聞こえないの?」
「メグルさ達が近づいて、霊がざわめきたったんで聞こえたんだけんど、あれからは、じっと立っとらっせるだけだわ」
「もっとはっきり聞こえれば…」
「そや、目のいい人は耳もいいんちゃう?」
コンコン、何の事?
「そやからあの子。四娘はんとこの」
見鬼か…。
「そらやって見る価値はあるがね。連絡取ってみるで」
「パーサ、レイラと連絡取れるの?」
「んにゃ、パトロール中によく会うで、才蔵と交線交換しとるでよ」
意外と交友関係の広いパーサであった。
※第19部の主な登場人物
◯旅の仲間(ビッグセブン+α)
メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目なまもなく18歳(僕)と結構浮気症な66歳(俺)が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表(略して人代)"を押し付けられる。
聖狐天の父となる。朱雀国ガルーダ元帥となる。
オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。
コンコン…先先代妖狐。子狐と伎芸天女の童女に憑依できる。
ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。
パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスと美しい牝馬に変身出来る。
今後は小説家になるらしい。
ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの夫。
コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの妻。
八咫…師匠と社長の息子。瑞西学院在学中。
"僕"…"俺"の中に共存する肉体の本来の持ち主。スミティと共にウラナに様々な助言をする。
○聖狐天神界
聖狐天…オコを崇める人々の信仰が造り出した神をオコの分魂とメグルの造った依代で具現化した新しい神。ウラナ夫妻の娘。
シャミラム…聖狐天四天王の一人。元北風の巫女。
サンコン…聖狐天四天王の一人。オコの先々先代の鼎尾妖狐。
二娘…聖狐天四天王の一人。ナンバーズ一の武人。
メルファ…聖狐天四天王の一人。元暴風の魔女メル=ハバ。
○ナンバーズ(参考資料)
一娘…ナンバーズの統括。シバヤンの宮宰。
五〜七娘の母。
二娘…武人。聖狐天に仕える。八娘の母。
三娘…シバヤン宮廷の家事一般を取り仕切る。完全なお掃除をする侍女人形。
四娘…隠密活動に特化。上警で働く侍女人形。
五娘…キャーリーの親友。足が速い。
六娘…唯一人間と同じ消化器官を持つ。記録の神殿で修行中。
七娘…背が高い。宇宙での活動に特化。
八娘…パーサ。クローン分裂したもう一人の八娘のパー子は、人間のパナとなりバクロン元第5王子にして元国王アルディンの妻。
○その他の神・人
アドミン…管理者。スミティを派遣する。
スミティ…アドミンに派遣されたエージェント。メグルの脳内で、メグルの宿主意識の少年と暮らし、メグルに助言する。
マーリン…古代の魔術師。元人類の代表。因業爺。超古代の英雄神イーオンの転生。
ゴンドワナでは白いフクロウを依代とする。
レナルド・ダンチビ…妖狐の里の天才工房長。
アルディン…元バクロンの第5王子で国王。パナの夫。今は種屋の修行中。
ジャルディンII世…旧名サート。ペンジク王。
シュニア…サートの妻。ペンジク王妃にして宰相。元ウル・オートマタ。
初代妖狐…九尾妖狐。初代ボンに仕える。
戦狐…妖狐の一人。ジョウザを守った英雄。
羽鳥才蔵…異賀忍者。現在は上警勤務。
蠟堂…筋肉兵にされていた蓬莱の忍者。
オルフェ…コリナンクリン社長の部下で実質副社長。元ヤクスチラン王子。
○コンサートツアー関係者
伎芸天…伎芸天事務所代表。今回のコンサートツアーを仕切る。
チャガムIV世…チャガマン国太守。聖狐天教徒。
ボーノ…チャガムIV世の長男。音楽家。
フォカッチャ…チャガムIV世の次男。後に冒険家。
シオ・ラメン…ナイラスの財務大臣。旧名シオ・タンメーン。
アポル…バクロンの元第二王子。バクロンでのコンサートツアー責任者。
ジェライス…アポルの妻。アポルを覚醒させる凄い女性。スメル人の末裔。本名はランジェラ・珠。
団長…ギョウザ歌劇団主宰。
ベンガニー…元ジョウザの侍女。大ベストセラー作家。今回はコンサートツアーギョウザ公演のプロデュースと新しい"3メタル物語"の脚本を担当。
アンジェロ・三毛…ギョウザ歌劇団お抱え絵師。ジェライスの父。
猪悟能…西遊記の猪八戒。現在は伎芸天事務所に就職し、舞台監督として活躍している。
沙悟浄…天竺から戻った後精神を病み、引きこもっていたが、現在は伎芸天事務所で警備主任。
○神々
ダガムリアル…古代神の一人。滅亡したドワーフの祖先神で工芸の神。キャーリーと結婚。
シバヤン…ペンジクの有力神。破壊と創生神。
パトゥニー…シバヤンの妻。慈母の女神。
キャーリー…シバヤンとパトゥニーの娘。ダガムリアルの妻。漆黒の女神。
アヌビス…ナイラスのミイラ作りの神。パーサの義兄。馬鹿助。
マァト…ナイラス冥界の正義の神。強い浄化能力を持つ。
韋駄天…S・神田、ヘルメス、マーキュリーと習合した醍醐教の神。韋駄天サービスを経営。
○敵
大御所…蓬莱を脱出した元東国国司。
合理キー(仮)…パーサの首を捻じ切った謎の怪力マン。
カペラ…アドミンと同等の宇宙生命体。
メハシェファ…滅びの魔女。
虚無の女神…メハシェファが仕える絶対的な
虚無。
◯大氷原
イグルー…村長の娘。
パピーズ…レムリアとゴンドワナを行き来出来る4人の犬人の子(ウラナ、オコ、ノヅリ、セイコのαと4匹の橇犬の仔犬(同β)。
3メタル…初代妖狐の娘白銀丸、初代妖狐の義妹の黄金丸、赤銅丸。
○妖狐の里
リュナ…オコの上の妹。商才に長ける。
愛…オコの末妹。美少女でアイドルマナマナとして活動中。
御供…オコの弟。二娘とメルファに師事し修行中。
ヒデノリ…マナマナ親衛隊長のオタク。リュナを補佐してコンサートツアー責任者になる。
○ルディン村
レイラ…救出された山賊の村の娘。四娘を視認出来る。見鬼。
エール…レイラの姉。凄腕の結界師。




