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19-11.ナイラスの顛末

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


19-11.ナイラスの顛末


師匠がナノ姫に早速接触する。

「権太夫が粛清される(第18部27話で前述)。直前に逃れ、一旦機能を停止し乗り移れる対象を探す。対象が出てくる。乗り移る」

「それで?」

「それだけだ」

「なんですと?」

『潜入作戦は失敗ですね。敵の中に大御所やメハシェファと言った惑星内(ドメスティック)な存在ではなく、宇宙生命体がいる様です』

「カペラか?」

『判りませんが、ナノ姫007の様なオーバースペックのテクノロジーを用いた兵器を警戒している様です』


「ナノ姫007は、干渉を受けたのか?」

『それはないと思います。彼女の行動は予定通りですので。ナノ姫シリーズは宿主なしでは50m位しか移動出来ません。なので今回は帰還する津藝権太夫に乗って空間の穴を超えてから、一旦身を隠し、次のターゲットを待った訳です』

「なぜそのまま権太夫から、すぐに大御所に乗り換えれなかったんだ?」

『大御所が人間ではないか、何らかの結界で守られていたのでしょう。津藝権太夫は失敗したのです。大御所は当然なぜ作戦が看破され、13箇所全てで未然に防がれたか?を不思議に思います。権太夫は処刑され、身体は隅々まで検査される事でしょう。大御所は無理でも脳外科に詳しい者が居れば、容易に潜入しているナノ姫007は発見されるでしょう。実に危ない脱出でした』


「なるほど。それで権太夫の粛清直前に離れ、次の宿主が通りかかるまで、気配を消して(機能を停止して)いたんだね」

『1%の赤外線センサーのみを残して、生物の通過を待った訳ですが』

体温を感知する装置だな。迎撃ミサイルが、敵飛翔体のジェット排気の熱を感知して、どこまでも追跡して仕留めるのも同じ仕組みだ。

『そのまま大御所らは去り、次に通りかかったのが前回ナイラス砂漠に現れた魔術師狩りの筋肉兵だった訳です』


「筋肉兵はナイラスの魔術兵の死体を持って帰還したんだから、そのまま筋肉兵に乗って奥に行けばいいんじゃない?」

『筋肉兵一万を保持するには、それなりにコストがかかります。私なら仮死状態にして、使わない時のランニングコストを最小にします』

なるほど冬眠状態にしておくのか。爬虫類など変温動物は、冬になって気温が下がると、血液の温度が下がって動けなくなって冬眠する。恒温動物の哺乳類でも熊などは餌を捕食するのが困難な冬には冬眠して出来るだけエネルギーの損失を防ぐ。


「上手く滅びの魔女に乗り移れれば良かったんだけどね」

『大御所もダメだったので、メハシェファも生きた生物であるか判りません。生きた生物の脳でないと、ナノ姫は動けないのです』

確かにメハシェファは、殭屍化したバルバル人の提督に憑依していたらしいからな。


「くそっ!トンボくんも打ち込んでおくのだった」

『多分前回の風景以外、撮影は難しいでしょう』

つまり

1.敵は南半球のどこかにいる。

2.敵は神喰い虫やナノ姫の様な侵入者のいる可能性を知っており、警戒して普段は生命体がいない場所から空間の穴を開けてくる。

「そう言えばトンボくんの映像にも、最初トンネルみたいな所が写ってたな」


俺と師匠はスミティとの精神感応を解き、仲間に報告した。

「空振りやったか」

「しのびのにんむは、100回やって一回成功すればいい方」

忍者小説に詳しいステルが達観した事を言う。

「結局、直接敵のアジトを発見して叩くしか無さそうだな」


スミティの予想通り、ナイラスではこれ以上の攻撃はなかった。

ナイラス公演は成功に終わり、初めてのアリーナ席での偶発的に何度も起こる渦巻(モッシュ)も体がデカいBNが上手く捌いてくれたので、怪我人は少なかった(擦り傷、打ち身などはあったが、救護所の治癒魔法で治るレベルだった)。

伎芸天事務所の警備主任の沙悟浄はBNを大変気に入って、このまま働かないか?と勧誘したらしいが、BNはニャメと共に故郷の村に帰って行った(結婚したいからね)。


前夜祭とコンサートにはトトメス95世もご来賓頂き、要人警備に神経を使ったが、何事もなく終わった。

若き王の治世は安定しており、暗殺事件とかも起こらなかった(これは大御所に感謝すべきか?)。

心配していた反聖狐天の地元宗教関係者も、ドーム立ち上げでアヌビスを文字通り『持ち上げた』ので、表立っての反感は現さなかった。

前王とカライ元大佐はコンサートには関心がないとかで、外洋で大物を釣るのに熱中していたそうだ。


グッズの売り上げも、海賊版の交換も、ニューアルバム予約も順調で、特にグッズは次回のバクロン公演ではこれまでの倍くらい用意しないと間に合いそうもない感じだ。

グッズは予約制であったにも関わらず、一刻も早く入手したい客の長い列が出来ていた。


今回の2000人の筋肉兵の中にも、エールとレイラの父親は居なかった。

飛び抜けた体力を持つ、あの山賊村のメンバーは、切り札的に使われるのかも知れない。殭屍と違って筋肉兵は、元々の資質が反映する。

最も体力のない老人を小手調べに送り込み、ナイラスの戦いに投入されたのは、都会育ちのギャング。既得権益で守られて見ヶ〆料とかが入って来るので、運動不足の緩みきった体型をしていた。


「これからはいよいよ傭兵崩れとか、山賊・海賊とかが投入されるんじゃないかな?」

と師匠は分析していた。

「待てますよ。生きて戻って来るのが、ほぼ約束されているんですもの」

姉妹二人とも、父や村人との再会を楽しみにしていたが、エールは結界師として、レイラは見鬼として四娘(カマイタチ)と上警のために修行を積む生活が楽しくなったらしく、早く里に戻りたい。とは言わない様だ。


今回善人化された筋肉兵たちの大半は故郷に戻って行ったが、身寄りがないとかで、そのまま働く事を希望する者もいた。

師匠お墨付きの善人なので、シオ・ラメンも快く汚職を絶対しない下級役人として採用したが、慢性人出不足の上警で使えそうな戦力は居なかった。


ただ一人、蠟堂と言う蓬莱忍者が混じっていて、この男はある暗殺組織に潜入捜査中に消息が絶えた上警の間者(エージェント)だった。その暗殺組織が丸ごと大御所に攫われた時に混ざっていて、筋肉兵にされたらしい。

才蔵とは違って紅賀忍者で、楓の事も知っていた。現役時代は才蔵達も一目置く程の凄腕忍者だったらしいが、善人化した忍者がどれほど使えるのか?(任務の為なら殺人も出来るのか?)と言うと、上警も苦慮している様だ。

エールやレイラの様な特殊な任務に就く者なら問題ないが、本来は敵を欺く為に結構悪どい事も敢えてやらねばならないのが、上警のエージェントと言う物だからだ。


「蠟堂さんは国に帰って、観光忍者村で忍術演武(アトラクション)とかやった方がいいかもな」

と才蔵も言っていた。

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