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18-24.四娘との会議

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


18-24.四娘との会議


コンサート前夜に俺は四娘と打ち合わせした。

もちろん今回はオコに事前報告済みだ。

「さあてと、おでんおでんっと」

約束通り手の込んだ料理の支度を始める。

夫が、良く話を聞くのに顔は見たことのない女と二人っきりで密会だと?

心穏やかでないのは良く分かる。

でも信じてくれ。

俺は"BARレモン・ハート※"のマスターに徹するからな。


※古谷三敏作の世界の名酒を出すバーを舞台に繰り広げられる薀蓄人情漫画


「遅かったな」

「申し訳ない。警備関係の打ち合わせで手間取りました」

「ああ、ウラナ殿の計画は傾聴に値する。と言う事で、上席会議(オブリトゥス)からも上警はサポートと敵要人確保に回る様に言われている。万一網を逃れる小者がいれば、捕らえてパーサに差し出せばいいのだな?」

「それで結構です。マーリンの処理能力は毎秒99人ですので、推定最大の1万人が一度にやって来ると対応に時間がかかるため、無力化して、しばらく確保をしておいて頂くと助かります」


ナノ姫様については、上警にも知られてはならないトップシークレットなので、筋肉兵たちの善人化はマーリンの精神操作魔法でやる事にしてある。

これでマーリンに対する上警の警戒度が2段階ほど上がったそうだが、現在のマーリンにはセイコαβと言う安全装置がついている事は、四娘も知っている。

「上警で試算したのだが、空間の穴が開く事をセイコβが感知してαに伝え、セイコαが他部署に伝えて捕獲網が動き出すまでに、仮に上警がやっても1分はかかる。その間におそらく千人程度の筋肉兵が進入するだろう。勝算はあるのか?」


俺の第二のチートについても上警には秘密なのだ。

なのでどうしても1分程度のタイムラグが生じ、それを四娘は心配しているのだ。

「問題ない。今回奴らが投入するのは、おそらく最大500人くらいではないか?と思います」

「なぜそう言い切れる?」

「大御所が元々蓬莱の東国武士だからです。彼らの戦はいきなり大軍を動かして相手を叩く。と言う様なアンゴルモア風には出来ていない」

前世の源氏を始めとする東国の武士は、常に少数単位を有機的に動かして、平氏や北条の大軍を倒す。といったゲリラ戦を好んだ。

本当の大軍同士が激突する様になったのは戦国時代以降で、そう言う場合でもまず偵察隊を送って様子を見るものだ。


「大御所達は今回の侵略を、五大ドームツアーの約半年間と言う長いスパンで考えているだろうが、とりあえず初回の妖狐の里には必ず来るでしょう。慈班宮を失った大御所は功を焦っている」

「功?」

「聖狐天を害する事」

「まさか!ウラナ殿は聖狐天様を会場に誘われるのか?」

「大御所ごときにどうこうされる聖狐天ではない。だが例え一太刀でも打ち込む事が出来れば、それは大御所の手柄になる。この時のこちらの出方を見て、おそらく今後の戦略を立てるでしょう。だから小手調べの初戦は運動能力がとりわけ優れた筋肉兵を少数送り込んで来るはずです」


「成る程、道理は判った。となると、奴らの手駒の中で、最も優れた者達が来る。と」

「心当たりが?」

上警はレムリア全土で拉致された悪党どものリストを持っている。

「拉致事件が5つのコンサート会場近隣に集中している事を考えると、烏合の衆ではなく土地柄にあった武装をしている組織的な兵の方が使い易い。と見ているだろう」

「つまり?」

「先日のルディン近郊の山賊どもとかな」

そうかレイラとの約束を、早々に果たせるのかもな?


「あの里の者達は、直接私が対応した故、早くレイラやエールの元に帰してやりたい。と思う。他の地域で拉致された者達は、いずれも札付きの悪党ばかりだが、あの里の者どもは、私は制圧に行った時点で既に山賊と言うより義賊だったからな」

カマイタチこと四娘が村に向かう以前から、彼らはカイバラ峠からルディンを通って更に大東に抜ける密輸ルートを利用して、ご禁制の奴隷を運ぶ奴隷商人を襲い、奴隷をタリフの役人に引き渡す。と言う事をしていた。もちろん奴隷商人を殺して財を奪うのだから強盗殺人罪で、上警の取り締まり対象ではあるが、その志を四娘は評価し、警告に留めていた。


「そう言えばレイラ達は元気ですか?」

「エールはコンコン殿やサンコン殿に上級の結界術を学び、山に篭って修行中だ。レイラも我が指揮の下で哨戒活動を行っている」

早いな!レイラには

「大きくなったらカマイタチに会わせてやる」

みたいな事を言ったが、既に会っているばかりか手下にしたのか?

「いや、会ってはいない。あの姉妹には、全て暗文での指令だ。特にレイラは危険だからな」

矢文とか、そう言うのかな?対面せずに指示を送る方法は、スパイ界隈では幾らでもある。


「危険とはやはり?」

「うむ。あれは見鬼だからな」

見鬼は"見る鬼"ではない。漢文式で言えば

「見ル レ 鬼ヲ」

伝奇小説などに出てくる、妖怪を見る事が出来る目を持つ者の事。"鬼"と言う文字は日本では角の生えた巨人の事だが、中国では幽霊の事を指す。つまり

「アタシって霊感?強くってぇ」

と言う事だが、俺はレイラのはそう言うスピリチュアルな物ではなくて、異常に動体視力が優れた者だと思っていた。

しかし更に物理迷彩や不可視結界などの忍術、魔術的なカモフラージュでさえ見抜くのだと言う。


指示を送って一日中ワザとレイラの前に現れてみたが(もちろん常人には一度も見る事が出来ない)、なんと20回のうち、17回も

「見られた」

と言う。これは四娘にとって

「身の毛のよだつ…。」

事であり、見知らぬ者であればとっくに始末しただろうと言っていた。

なので四娘としては、レイラがカマイタチに憧れてくれているうちに、味方に取り込もうと思ったらしい。


蓬莱の異我忍者羽鳥才蔵を部下にしたのは、その即戦力を買っての事だが、今回戦力的には全く0に近いレイラを引き入れたのは

「敵方に付かれてはまずい」

と言う、自らの心の安寧のためだと言う。

「いっその事、素顔を見せてしまえばいいでしょうに」

「それだと、ウラナ殿の特別感が薄れるからな」

なんか良く分からない事を口走って、四娘は慌てて話題を変えた。

後で意味をオコに聞いて見よう(墓穴)。


「今回の五大ドームツアー全てに、レイラを帯同して欲しい」

「それは?」

「軍事作戦にしろテロにしろ、大御所の軍が突入するならば、必ず手引きをする間者を派遣するだろう」

ステルを始めパーサやパピーズのβ達も、嗅覚は大変鋭いのだが、筋肉兵などではなく大御所配下の熟練の魔術師や忍者であれば、気配を消すのは容易い。


「だが見鬼の目を逃れるのは簡単ではないからな」

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