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18-22.会社設立

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


18-22.会社設立


「オープニングコント?」

「そう。人形劇が良いわね。美白のパトちゃんに色黒のキャーちゃんが『どうやったら貴女みたいに色白になれるの?』って聞くの」

「それはあの閲覧注意の…」

「そんな事やったら人間は死んじゃうわよ。そこでこのキャーリー製薬の"パトゥニー膏"でございます。って言う訳」

「効能は保証があるんだろうね?」

「失礼ね。ノヅリ先生のレシピよ。えーと、め…、メラネシア、じゃなくて」

「メラニン色素?」

「そうそう、それを薄くする作用があるって」


その辺の薬品関係はペンジク神界女性陣の依頼で師匠が開発し、他の神界でもクリン社長が結構販売した実績がある。一般的に神々用の薬は人間には強すぎて悪影響があるのだが、人間用を開発できたのか。

「それでさ、パトちゃんとキャーちゃんのやり取りを、コミカルな漫才形式の台本にしてさ。人形劇にすれば受けると思うのよ」

それって…。

『ロゼット洗顔パスタの白子さん黒子さんですよね。この子、どうして知ってるでしょう?』

俺の子供の頃のCMだぞ。天才の発想と言うものは時空も異世界も突き抜けるのか?


「でもさ。キャーリー製薬って実在しないだろ?」

「なければ、作ればいい。私の化粧品部門は妖狐製薬って言うんだけど、この新しいブランド化粧品売り出すのに、子会社を一つ作ろうと思ってたんですよ。キャーリー様さえ承知ならば、1%のネーミングライツでどうかしら?」

普通ネーミングライツは名前を持つ方がお金を払うが、この場合はリュナの方がキャーリーの名前を使わせて貰う事にお金を払う。

同様にパトゥニーにも10%の商標権を支払うと言う。


「この軟膏、お高いんでしょ?」

「初回限定小銀貨5枚。次からは大銀貨1枚」

一万円か…。それでキャーリーには一個につき銅貨1枚。パトゥニーには小銀貨1枚。?何で10倍の差が?

「キャーリー様には弊社の10%の株主になって頂くわけ」

なるほどそれでキャーリーとの繋がりを強調するわけか。上手い戦略だな。

「パトゥニーさんは勝ち組だけど、黒子さんは嘲笑の的だから、了承してくれるかなあ?」

「ヒデノリ調べでは、ダガムリアル様との結婚後、人気が底を打ってるとか。ここいらで、幸せな奥様アピールでテコ入れが必要な時期だと思うの」

まあオタク的には美少女は未婚じゃないとな。


太古神アグニの元妻ソワカと習合して以来、密教行者からの呪文により定期的に収入(いのり)があるため、キャーリー自身は生活が安定しているのだが、ペンジクを始めとするキャーリーの祠を守る神官たちの生活も保証せねばならない。


「そう言えばこの間ダガムリアルが『うちの嫁は白い女神にもなれる様になった。習合って便利だぞ。まだ別人みたいで慣れないが』とか言ってた」

「何ですって?それ頂き!黒いキャーリー様と、白いソワカ様、ビフォア→アフターみたいな肖像画を企業のシンボルにしましょう!」

「それって誇大広告じゃね?別にパトゥニー膏のせいで白くなったんじゃないし」

「まあそれは薬の広告じゃなくて、企業のシンボルって言うかさ。ギリギリセーフを狙うわよ」


サンタクロースの衣装は元は黒い外套だったが、コカコーラが赤い瓶ラベルだったため、サンタクロースがコカコーラを飲むポスターを描くにあたり、赤い服を着せたのが始まりと言う。いわゆる

「サンタが金で魂売った」

案件ではあるが、決して誰もサンタクロースをコカコーラの回し者とは見ていない。もしそうならケンタッキーフライドチキン(日本限定)とイエス様の関係の方が怪しいw。


※結局黒いキャーリー様と白いソワカ様(宣伝のせいで多くの人がパトゥニー様と誤解している)が背中合わせに立っているキャーリー製薬のシンボルマークは広く認知された。


少し前世の昔話をするが、女性の美白への憧憬は世界共通の様だ。アフリカ系の方は70年代

「ブラックイズビューティフル」

が合言葉になったが、それまでは縮れた髪を真っ直ぐにしたり、色素を薄くする危険な薬品を使ったりした。そう言う古いタイプのアフリカ系アメリカ人の典型がマイケル・ジャクソンだ。


インドではさらにはっきりしていて、先住民族のドラヴィダ人などを南に追いやって、北方(レムリアで言うカイバラ峠)からアーリア人が侵入し、カースト上位についた。

アーリア人とはつまりヨーロッパ系民族(コーカソイド)と同源の民族で、肌は白い。なので富貴なインド人は生まれた時は白い赤子で、強い紫外線で日焼けするのだ。

青年時代、英国に留学し南アフリカのケープタウンで弁護士をやっていた時のガンジーなど、テニスやり過ぎでちょっと日焼けした英国紳士にしか見えない。


ちなみに世界最大の観客数を誇るインド映画の大スターは例外なく、男性はあざ黒く体付きもがっしりして、インド映画を支えている無名の大衆に親しみを感じさせる様になっている(或いはそう作っている)。それに反して女優スターは

「ハリウッドか!」

と言いたくなるほどの美白グラマー揃いだ。これは男たちの憧れがそこにあるからだ。


日本でも白子さん黒子さんの時代はとにかく

「色が白いは七難隠す」

の風潮で、健康的な小麦色の肌が注目されたのは、資生堂サンオイルの前田美波里さん以降だろう。

しかし結局その後も美白こそ美人の条件と言う風潮が続き、そう言う男のエゴに抵抗したのが

「ヤマンバ・黒ギャル」

であった。


キャーリーは

「自分は黒い肌に誇りを持っています」

と言いつつも、このままペンジクでも聖狐天とキャラが被って衰退したり、争いの種になったりする事は信者の為にならない。と言う事で、会社設立に了承した。

繰り返すがキャーリーはヤマンバ姿で親に反抗していた時期から、白い肌になりたかった訳ではない。


こうしてギョウザ歌劇団特別公演巡業

「3メタル物語 序」

はレムリア各地で公演出来る様になり、当然満員御礼の連続で、CMコントも大評判となり日本円一万円と言うキャーリー製薬のパトゥニー膏も生産が間に合わないほどの大ヒット。各地のキャーリー信者が社員を兼ねていたので、キャーリー信者にギャンブルに負けて人生崖っぷちの人などいなくなり、キャーリーは富をもたらす女神として信仰を集める様になった。


リュナはアポルとジェライスのコミューンに発注して、Tシャツを始めとする3メタルグッズやキャーリー製薬シンボルマーク(ジェライス作)のグッズを大量に売りさばき、莫大な利益を得たのである。

パトゥニーはパトゥニー膏で得られた利益を全て、夫を失ったり夫の暴力に耐えかねて離別した女性の為の施設運営に費やし、さらにペンジク民の尊敬を集めた。


※ジャルディンII世以前のペンジクでの未亡人に対しての扱いは酷く、再婚は許されず殉死の風習さえあった。シバヤンはこの残酷な風習に亡くなった最初の妻の名が使われている事に憤り、夫を失った妻を火で殉死させようとした親族一同全員を天雷で焼き殺そうとしたが、ジャルディンII世が間に入り、殉死を禁ずる法律を制定した。しかし今もペンジク人はこの禁を破るとシバヤンの天罰が下る。と信じている。

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