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18-21.天才コンサルタント

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


18-21.天才コンサルタント


オコには3人の弟妹がいる。

オコが妖狐としてジョウザに行ったのは両親としては全く本意では無かったけれど、現実としては

「支度金」

の名目で渡された慰謝料に手を付けなくて済む程、家族は豊かでは無かったし、村全体にも

「祝い金」

の名目で多額の援助があり、妖狐の里のインフラは一気に近代化した。


「娘を返して欲しい」

と言う想いで始めた返還運動も

「支度金貰って泣き寝入りしたんでしょ?今までの妖狐様と同じじゃない」

とか

「名誉な事じゃないか。貧乏人の嫁になるより、一生安泰だ。諦めろ」

とか

「また支度金をぶん取ろうと言うのか?」

とか、心情的には同情するが、嫉妬の気持ちも村人にはあり、返還運動が大東の息のかかった反ジョウザ派に利用され、最後は両親が拉致されたりして、両親には平安な時が無かった。


俺がかなり早い時期に妖狐の非公式里帰り制度を制定したのも、少しでも両親を慰撫出来れば、と言う想いだったのだが、事情が良く分からず実の両親なのも知らないオコにとっては

「自分が至らないので、里に下げさせられた」

と誤解して、これも結構修羅場だった。

だが結果的に支度金を受け取り、オコ里帰りの居留(ホームステイ)先として多めの経費を得たため、両親は、

リュナ

御供(ごくう)

(マナ)

の3人の弟妹を健康に育てる事が出来、その事は結果的に大きな影響をレムリア史に与える事になったのだ。


御供については、この時期まだ里で二娘やメルファについて武術の訓練を受けていたので、里を出てからの彼の活躍は今後語られる事になろうし、愛は里でローカルアイドル活動(これは大成した後、インタビューで『えっ!どうしてそんな事まで知ってるんですか?あれ私の黒歴史なのに』と言うだけの為にやっているそうだ)の時期だ。


リュナはと言うと、登場初回からいきなり資本家としての資質全開で、現在既に南ペンジク産カルダモンの流通や、妖狐茶店(フォクシーズ)と言う喫茶フランチャイズの展開。師匠の指導を受けた化粧品の開発(のちに"マダムマナ"ブランドで大儲け)。更に今回の3メタル妖狐の里ドームコンサートの総指揮と八面六臂の大活躍だが、有名になるに連れて事業の経営相談をされる事も多く、貴族や豪商が真剣にこの小娘の意見を拝聴するのは、ちょっと滑稽に見えるが、業界では

「妖狐の百発百中少女コンサルタント」

との評価が固まりつつある。


義兄としてはリュナの未来の伴侶は

「もう、ヒデノリでいいんじゃね?」

くらいの気持ちなのだが、本人ベンガニーロマンスのガチオタなので、なかなかハードルが高い。

ヒデノリの方は言わずと知れた"マナマナ"の親衛隊長なので

「女神様の姉君に手を出すなど畏れ多い」

と言うスタンスだが、お互いビジネスパートナーとして信頼し、好意を持っている様には見える。ヒデノリの方が年長だが

「二人で飲みに行き、愚痴を聞いてくれる女上司」

みたいに思っている感じだ。


今回俺はリュナの所に縁談ではなく、クライアントとしてのコンサル相談に行った。

「義兄さんが相談とは珍しいですね。儲かる話ですか?」

コリナンクリン社長が

「金儲けの申し子」

と認めるリュナは早速ジャブを繰り出してくる。

少なくともマスオさんとワカメちゃんの関係ではない。

「うーん、儲かるかと言うと微妙だけど…。リュナ、神々のコンサルって、やった事ある?」

「流石にまだないですよ。義兄さんとお姉ちゃんの(けっかい)に行ける様になったのも去年からだし。でも神殿のコンサルには乗った事あるよ」


「へー、どんな?」

「若い子に受ける可愛いおみくじとか、神様を可愛いキャラにしてグッズ販売とか」

「あ!"三元タソ"ってやっぱりお前か?」

最近、じわじわ人気が出て、寒村だったルディン村にも、ちょくちょく聖地巡礼者(オタク)が訪れる様になり、戸惑う村人にグッズ販売を提案した所だった。

「うん。三元道士は元々人気あるから、こっちから仕掛けた」

「うん、そう言うレベルでいいんだよ」


俺はペンジクでのキャーリー派と聖狐天派の対立を利用され、地方内乱が起きている事を説明した。

「なるほど、だからビッグセブンと強い繋がりのあるペンジクなのに、3メタルコンサートが出来なかったのね」

「それで、手打ち。みたいな感じで、ギョウザ歌劇団の3メタルの芝居を『キャーリープレゼンツ』でやろうと思うんだけど」

「それはいいアイディアね。キャーリー様と聖狐天様の習合が出来ないなら、いい納め方だわ」


「ありがとう。それでさ、そこから一気に全国区になりたいキャーリー側の意向もあって、他地方での公演も全部キャーリープレゼンツで行きたい。と団長に説明したら、反対された」

「そりゃそうでしょう。ペンジク以外ではキャーリー様は賭け事の神様でしかないし、地元神も縄張り荒されたら怒るでしょうし」

正確に言うと賭け事で勝つ祈願より、すっちゃった人の心の拠り所だけどな。


「それでさ、団長がギョウザ歌劇団の地方巡業でも、地方の有力者や地元企業の冠公演をする事があるって聞いて」

「なるほど、キャーリー様を企業にしちゃえ。って言う訳ね」

やっぱりこの子は聡い。リュナじゃなく、聡美って呼びたいくらいだ。

「そんな美味しい話、乗らせて頂戴よ」


リュナは懐から小さな密閉容器を取り出す。

蓋には手書きで

「パトゥニー膏」

と書いてある。

キャーリーじゃなくてパトゥニー?

パトゥニーはシバヤンの妻。キャーリーには母にあたる。


ダメ夫の典型として何千年も語り継がれるシバヤンの

「お前、色黒いなあ」

の失言(シバヤン本人は『黒いお前が大好き』と言う意味だったと弁解しているが)に衝撃を受けたパトゥニーが、今でいうピーリングの様な皮膚剥がしの荒行を行い、その老廃物から生まれたのが、漆黒の女神キャーリーなのだ(閲覧注意案件)。

ちなみにパトゥニーは大山脈山麓の山神の娘で、幼い頃から紫外線の強い高地を遊び場にしていたので健康的に日焼けしており、シバヤンもそこを褒めるつもりが言葉が足らなかった。と思われる。

荒療治により純白の肌を持つに至ったパトゥニーはペンジク女性憧れの美白女神になった。


「で、パトゥニーマークの化粧品がキャーリーと何の関係が?」

「オーショー団長にオープニングコントを作って貰いましょう」

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