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11-27.したく

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


11-27.したく


バブル全盛の頃、タクシーの事を

「松本」

と言うのが流行ったそうな。

なんでも逆さまにする業界言葉で、

タクシー→シータク→支度(したく)→用意→イーヨ→伊代→松本

と言う訳で、年寄りの昔話じゃ。

「伊代はまだ16だから」

と言う作詞界掟破りの衝撃曲でのデヴューは鮮烈だった。

紅白歌合戦に出演する時、

「この歌の場合、歌手松本伊代を商品として歌っている」

と言う理由でNHKから歌詞の訂正を求められ

「私まだ16だから」

と歌ったのも面白かった。その後のNHK番組出演では、"伊代は"と歌っていたが。


と言う余談はともかく、俺たちは旅の準備を始めた。

そうそう、パピーズは無事ゴンドワナの犬人の村に送り届けたよ。犬人側の両親は感涙にむせんでいた。4匹の仔犬の可愛さに、もう村人達はメロメロだったね。俺とオコは結界の膜を通して見てるだけで、そちらに行く事が出来ないので、ちょっと悔しかったね。

急に確変が起こらないかと結界に突入してみたが、もちろんボヨヨンと跳ね返された。

約ひと月で迎えに来ると話して、パピーズとは別れた。


村人の長には手紙を持たせた。

『今後しばらくは3-6カ月毎にレムリアとゴンドワナを行き来する事。レムリアには護衛と家庭教師役として、力ある妖狐を3人用意した事。ゴンドワナはレムリアと違い、パピーズの力を欲する勢力は居ないと思われるが、念のため力ある神を一柱、護衛につけて貰うようヴァルガ様に依頼して貰えないか?』

と言う事を書き記しておいた。

「あの子達の将来は、聖子ちゃんと良く話しあっておかないとね」

オコがちょっと涙ぐみながら浮遊結界を通過した。


「さていきなリ朱雀の勢力範囲に入ったら、危険度87%だろうなあ」

「なに甘みゃあ事言っとりゃあすの。100%だてそんなもん」

ナンバーズも、誰も朱雀の国には入った事がないそうだ。あ、もちろん四娘には聞いてないし、聞いても答えないだろうが。


「天帝様にお願いすれば、朱雀国見学の許可は出るやろけどな」

天帝(ジジバカ)には借りを作りたくない。朱雀国は東南レムリアにあり(入り口に例の赤白縞男の売店があるわけだ)、かつてはペンジクが支配していた時代もあったそうだが、今は大東の勢力下にある。ただ現世の方では大東から朱雀は余りにも遠く、険しい山脈と密林で遮られているので大東軍は南下が難しかったし、交易も細々だった。朱雀では大東人が珍重する香木が採れるので、それを求めて越山隊商がやって来る程度だ。


「そうやなあ…。天帝様を頼らないとなると」

「お母さまにたのんでみたら?」

目をキラキラさせてステルが言う。

「そうか。一応同僚だもんなあ」

四神。四獣とも言うが、天帝の神界を守護する四頭の神獣だ。

北に玄武(亀)。

東に青龍(竜)。

西に白虎(虎)。

そして南の朱雀(鳥)。

ステルの母は四獣の一人なので、当然朱雀とは知己がある。


「朱雀ってお母さんと仲がいいの?」

「うーん」

「悪いの?」

「うーん。亀のおじいちゃんとは仲良しなんだけどね」

「青龍は?」

オコは青龍が気になるようだった。

「りゅうさんはね。良くわかんない」

前に聞いた話だと、青龍は不思議な海洋生物の集合体だと言う。なので意志も一つではないのかもしれない。


「朱雀はんはなあ。最近は一度も天帝様に謁見した事がないのや」

「それって本当に家来なの?」

オコが聞く。

遠隔臣従(リモートサーバント)言うてな。大東がアンゴルモアから解放された時に、天帝と朱雀は契約を結び直したんや。南方守護の見返りに、朱雀国の自治を天帝が認める事。朱雀は配下の愁・艶の二姉妹を特使として、天帝神界に置く事。それで朱雀本神は出仕しないのや」


「愁艶姉妹って、あのアンゴルモア軍を一度も朱雀に入れさせなかったと言う英雄だよね」

師匠が言う。

「そうやね。結局二人とも戦死したんやけど、速攻国民達に神に祀られたと言う姉妹や。戦死から神界に上がるのに5日と言う新記録の」

「その二人はちょっとだけお友だちだよ」

ステルが言う。

姉妹は特使なので、余りステルが暮らしていた天帝の庭には来なかったそうだが、それでも極く小さい仔猫(虎だけど)の時、遊んで貰った記憶があるとの事。


「お母さんに聞いて見ようか?」

「うん、頼むよ」

と言ったのが昨日なのだが、今朝もう白虎から手紙が届いた。

「ステルってあんまりお母さんに連絡とってないの?」

「そんな事ないよー、このあいだねんが状出したし」

それ、中学の同級生並…。


白虎さん、なんか凄く張り切ってる。

その日の午後には渋い結城紬をキリッと着こなした白虎母さんがやって来た。

ここは大山脈最高峰の頂上。

ペンジク神界でも大東神界(びゃっこのなわばり)でもないので、ここが選ばれたのだ。

「かあさま〜っ!」

流石に会えば嬉しいんだな、ステル。

てか、単なる筆不精かい。


「ウラナさんいつも娘がありがとねえ。頼まれたの持って来たよ。なまら変なの、欲しいんだねえ」

白虎さんの手に大きな風呂敷包み。中から

「「助けてー!」」

シンクロした声。


これって、最悪の出会いじゃね?

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