11-28.愁艶姉妹
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
11-28.愁艶姉妹
「あかんやろ!国際問題なるで」
コンコンが叫ぶ。
朱雀神界は一応天帝に臣従した形だが、現世の方は結構紛争を繰り返している。大東がどんなに大軍を送ろうとしても、険しい山道や、密林はゲリラ戦に有利なので、朱雀国も負けて居ないのだ。
愁艶姉妹といえば、朱雀人にとっては崇拝の対象。殆ど英雄なので、それを乱暴に扱ったとなれば、いかに四獣の白虎といえど、ただでは済まないのではないのだろうか?
「今出してあげるからね」
オコが素早く白虎から風呂敷包みをひったくると、包みを開ける。
「鳥籠だ!」
中には二羽の鳥?いや小さな人が二人。
いや人じゃないな。羽が生えてる。
赤い羽根だ。
「今出してあげるね」
籠の扉を開けると、二羽の鳥人はパタパタと辺りを飛び回り、最後に俺たちの前に着地し
「「白虎さん、運んでくれてありがとう!」」
シンクロ声で言った。
「あれ?さっき助けてって」
「あはは、艶ちゃんが、そう言ったら誘拐みたいで面白いじゃない?って」
「愁ちゃん、貴女だってそれは面白いって言ったじゃない」
「まあこの娘らはなまらめんこいけども、いたずらが困るのさ」
「「ごめんなさい」」
姉妹は白虎に謝り
「「初めまして。愁と艶の姉妹です」」
と挨拶した。
「どっちが愁ちゃんで、どっちが艶ちゃんなの?」
「笑ってる方が私艶で」
「眉をひそめてる私が愁です」
なるほど。いつもその表情ではないのが、基本がその顔なのか。
ちなみに愁には"憂える"と言う様な意味があり、艶はまあ色っぽいだよね。
でもどっちも相当悪戯好きの模様だ。
「じゃね。妾は帰るよ。ステル、婿殿の言う事、良く聞いてな。早くめんこい子供の顔、見せてな。したっけ」
さっさと飛んで行ってしまった。
なにオコ。あれは白虎さんの誤解で。
「なになに?白虎さんの子供の旦那がこの人?」
艶ちゃんが興味津々だ
「やめなよ艶、ほら奥さんが睨んでる」
愁ちゃんはオコの怒りに油を注ぐ役か。
「ステルが、あるじの子供を…」
「ステルちゃん鼻血!」
社長が慌ててハンケチを取り出す。
収拾が付かないので、一旦お茶にする。
「咄嗟の時は、まず茶を一杯」
これは我が家の家訓だ。
なんとか誤解は解けたが、ステルはニコニコ。オコはご機嫌斜めだ。
しかしレムリア最高峰の絶景で飲むお茶は美味い。俺はいそいそとお茶を入れ茶菓子を用意した。
「愁艶ちゃん達は小さいけど、飲めるかな?小さいカップはないんだけど」
と俺が言うと
「「それは大丈夫」」
と二人はにゅうっと背が伸びた。翼も無くなって居る。
「お忍びで現世を歩く時はこの格好なのよ」
「ほら、私達って偶像だから」
アオザイの様な服を着たスレンダー美人だ。
「そんな細っこい体で、よう戦さしはりましたなあ」
コンコンが言うと
「あら生前はムキムキだったわよ」
「見せてあげようか?」
肉体変化大好きな師匠が
「是非」
と言うと、師匠の頭を社長がスリッパでパスーン!と張った
「そんな事したら服破れるでしょうが、ダーリン、もしかしてそれが目当て?」
「師匠、嫌らしいですよ。自重して下さい」
実は師匠と同じ事考えてた俺は、ちゃっかり社長に同調した。
「まあその格好すると、生前の傷跡とか、刺さった矢がそのままなんで」
「全然色っぽく無いけどね」
それは見ないで良かった。
「「ところで」」
「あたし達を呼んだのは」
「なんのため?」
「申し遅れました。私はウラナ・ストロ。人類の代表をやってます」
「「キャ〜!」」
え?
「いつも神界タイムスで読んでる英雄!」
「サインして!そうだこの服に」
艶ちゃんがアオザイ(ご存知だろうがワンピース状だ)を脱ごうとするのをオコが止める。
「色紙ならあるだに。一枚1万ドン」
パーサがちゃっかり朱雀通貨に換算して商売する。ちなみに1万ドンは銅貨一枚くらいなので良心的だ。
他の者達も自己紹介する。
「正妻のオコさんと、愛人のパーサさんと、姑のコンコンさんと、幼な妻で白虎さんの娘のステルちゃん」
「あとはウラナさんの師匠で同性愛人のノヅリさんと、寝取られ妻のクリンさんね。覚えたわ」
一部間違ってるので、訂正した。
「それで俺が朱雀神界に行きたい理由は、俺の本当の姓が朱雀と書いてミナミと読むからです」
「あらウラナって芸名だったの?」
「本名は?」
俺は地面に漢字でもうしばらく使ってない名前を書く。
「朱雀還流です」
「ありゃー、貴方確かに朱雀系だけど」
「名前は西龍さんゆかりだわね」
どうも俺は雑種らしい。




