11-26.解
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
11-26.解
1時間程してスミティから連絡が入った。
『確認出来ました』
『なにか、わかった?』
『なにかも何も、前提が全然違うじゃないですか?』
スミティは、女上司が出来の悪い新人に
「しょうがないわね」
と言う様な、生暖かい憐れみを含んだ口調で言った。
『前提が?』
『貴方のゴンドワナ滞在中の記憶データベースを全て確認しましたが、ヴァルガは犬人と子犬との間に縁が出来、レムリアとゴンドワナを往来出来る。と言ってました』
『そうだろ?で俺たち3人も』
『ヴァルガと縁が出来た。と言うニュアンスで言ってますね』
『どう言う事?』
『この世界に封印されているヴァルガを通じて、ゴンドワナのヴァルガと会話が出来る。と言う事だと推測出来ます』
そう言う事か。そもそもヴァルガは、最初レムリア島(マウリヤ島)をレムリアと呼んでいたからな。そして島の表層ごと、ゴンドワナに移転したため、あちらのレムリアは大陸でも島でもなく、ゴンドワナ大陸にある国の一つになってしまった。
そのため"レムリアであり、同時にマウリヤ島の別バージョン"と言うレムリア縛りが解呪されてしまったのか。
だから、今はマウリヤ島のヴァルガの祠に行っても、ヴァルガには会えるが、ゴンドワナに行けるわけではない。と
『がっかりだなあ。やっぱりゴンドワナには行けないのか』
『それが自然な定めですよ』
確かにスミティの言う様に、本来多重世界の行き来は出来ない。俺の様に死後転生と言う形で別の世界に転生しても、また戻る事は出来ないのだ。
『そうです。全く異質な世界からは、普通に死後転生が行われていますね。言わば"移動"です』
前の世界の俺のコピーを別の世界に作り、前の俺を削除する。これが移動だ。
『ただ、例外があります』
『ヴァルガだろ?』
『ヴァルガもですが、何名かの神が、両方の世界に存在し、なにか薄々別の世界に自分がいる様な感覚を覚えています』
マルモ屋の事だな。
『ダガムリアルもゴンドワナに姿を表す事が予言されています』
ドワーフたちにヴァルガが言っていたな。
『つまり、両世界にコピーがあり、どちらも消去されない状態。と言う事だな』
『はい。ですから貴方、オコさん、ノヅリさんの三名は、その条件に当てはまらないのです。なので、ヴァルガの言った三名の縁とは、あくまで自分との縁が出来たので、マウリヤ島の祠に行けば、ヴァルガと会話出来るし、ゴンドワナにも存在するヴァルガを通じてゴンドワナの情報も手に入る。と言う程度の縁だと思って下さい』
1時間程レムリア世界にはない優秀なCPUが、調査と演算した結果が、この回答だった。
『これは確定事実か?』
『現状では』
『現状では?』
『おそらくレムリアが貴方を召喚したのは、何らかの現状を打破するためだと思います』
『つまり今後の俺の行動次第では?』
『違う解を導く可能性もある。と言う事ですね。貴方は何度もこの世界の確率変動を起こしています』
パチンコのやつね。昔のパチンコは、釘師の釘の打ち方や、雨の日の土台のベニヤ板の反りで玉の入りが変わったが、現在はそれよりも、玉が入賞ポケットに入った際の三個のデジタルスロットが揃う確率や、くら寿司のびっくらポンみたいなアニメーションとかの当たり出現確率で、大当たりが出る確率を店側が操作出来る。
これを確率変動と言うのだが、俺は旅のあちこちで、これを起こしている。と言うのだ。
『アドミンもこの点に注目し、レムリアの意図を疑ったのです』
つまり俺はずーっと上のお方がたに、なんか変な動きをする不確定要素。と認識されているらしい。
『なので、別のところで、貴方がよく使う、フラグですか?それをクリアして行けば、いつかはゴンドワナに渡る未来も有るかもしれない』
『確率は?』
『現状では0%。フラグで確率変動が起こるたびに確率が上がり、4%程度までは上がると予想出来ます』
低っ!
まあそれより低い可能性にかけて成功した事もしょっちゅうだしなあ…。
『ウラナ様はこれからどちらに?』
『とりあえずこれから、こちらの世界の遠いご先祖にお会いしようかと思うのだけど』
『でも貴方は異世界人…。ああそう言う比喩ですね。貴方の家紋である朱雀の事ですか。そちらには確かに太いフラグが見えています』
『吉かな?それとも凶?』
『私は占いはしません。貴方にとっては幸福な結末でも、世界にとっては最悪の未来かも知れません。また、"こうすればいい"と私から告げるのは、禁則事項です』
なんか懐かしい未来人フレーズでスミティは答えた。
『何の規則に触れるの?』
『私が貴方の進路を決定したり命じてはならない』
なるほど。攻略本でゲームを進めるべからず。と言う事ね。
『ただ、警告は出来ます。朱雀と会う事は、危険度87%』
ほぼほぼアウトじゃん。




