11-24.帰還
※第11部の主な登場人物
◯旅の仲間
メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目な15歳と結構浮気症な66歳が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表"を押し付けられる。
聖狐天の父となる。
オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。
コンコン…先先代妖狐。子狐と伎芸天女の童女に憑依できる。
ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。
パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスに変身出来る。
ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの恋人。
コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの恋人。
○ナンバーズ
三娘…シバヤン宮廷の家事一般を取り仕切る。謎の侍女人形
四娘…隠密活動に特化。謎の侍女人形
◯ナイラス神界
アヌビス…ミイラ製造者の神。父はセトだが、実の父はオシリス。オシリスの体を繋ぎ合せて再生する。母はネフティス。パーサを妹とし、マァトに思いを寄せている。
ラー…太陽神。
マァト…ラーの娘。アヌビスに思いを寄せている。
○狼の群れ
ウプウアウト…狼神。
サラ…ウプウアウトの母。
○謎の神
アドミン…管理者。スミティを派遣する。
スミティ…アドミンに派遣されたエージェント。メグルの脳内で、メグルの宿主意識の少年と暮らし、メグルに助言する。
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
11-24.帰還
「ほら、一応心の準備と言うものがあるでしょう?」
「それは失礼致しました。だが、この件は選択の余地が無かった。レムリアが愚かにも何事かを画策しているなら、監視者を付けるしかありませんので」
俺がその何事か。なのか?
「分かりました。で、さっき自己紹介頂いたスミティ嬢ですが、うちの若い者とイチャイチャする以外に、仕事ってないんですか?」
「なる程、嫉妬しておられるのですね?」
してません!と言い切れない気がする。俺は今オコひとすじだが、50年前の彼女(外見だけだが)に再会したのは少なからず動揺があった。
「もちろん彼女の本来の目的は、貴方が規則を踏み外さないよう監督する事ですが、それとは別に貴方にもメリットがあるんですよ」
「ほう、詳しく」
「失礼な言い方になりますが、貴方がた人間の情報処理能力は、大変貧困ですよね」
いきなり失礼な事を言った。まあ確かに俺の脳のCPUは、パーサに比べても全然劣っている。
「それに比べ貴方のシバヤン製の自動人形は、この世界としては優秀です。一応彼の最終製作の様ですから、それなりに完成度が高いです。だがやはり限界がある」
「それは?」
「情報量ですよ。彼女たちナンバーズの経験した事象は、シバヤンの持つ知識の一部と共に、一娘の管理するデータベースに集積されている様ですが、それが薄すぎる。優秀なCPUがあっても、処理するデータが弱ければ、正解にたどり着く確率が一桁も二桁も下がります」
なんかレムリア神界の事情に、異常に詳しいな。やはり最上位神なのか?
「そこでスミティです。彼女は貴方の演算を助け、豊富なデータベースを生かして、森羅万象に亘り適解を導き出します」
「おお!adminのデータベースにアクセス可能になるのですね?」
「そうは言っていません。残念ながら、レムリアの人間や神レベルが扱うのに、このデータベースは危険過ぎるのです」
「ではどの様に?」
「困った時はスミティに相談してください。だいたい一億通り位まで絞って、最適解を案内する事でしょう」
あれか?よく異世界アニメである
『解:』
ってやつか?便利だけど、一億通りって…。
「まあなにもヒントを与えず、漠然と『これからどうしたらいい?』と聞いた時の解が一億通り。と言う事です」
なる程、じゃあ早速試してみるか。
「ヘイ、スミティ?」
「お呼びですか?」
「俺と仲間達が、全員無事にこの迷宮から帰還する方法は?」
「解:アドミンに別れを告げて下さい」
おお!本当に"解"って言った!
「まあそんな感じで、便利にお使い下さい。ただ彼女は貴方の主人ではありませんので命令はしません。幾つかの案を出して、貴方が選択する。と言うケースが多いと思います」
まあゲームでも解説サイトの言う通り進めば楽チンだけど、達成感がないからな。
「ではアドミン、ご機嫌よう」
「はい。ご武運を」
あっと言う間に俺は入口広間に居た。
「ああ窮屈だった」
社長が文字どおり羽根を伸ばしている。
「やれやれ。おいど噛まれんで良かったわ。おおきに」
コンコンが毛づくろいしている」
「あれ?スイッチがどっかいっちゃった。あるじただいま」
ステルが、鳥ジャガーになれるのを確かめている。
「目だま返してちょ」
パーサが手を出す。肩の目玉が、ぴょんと飛び降りて、手の平に乗る。パーサは目玉を眼窩に戻し
「ふーん。なにもないとこだったか。ちょっと予想外だがね」
と腑に落ちない様子だったが、俺がマジックポーチの超純金塊を見せると
「ああ、これはシバヤンさ喜ぶに」
と喜んでいた。どうやら、アドミンには取るに足らない"嫌げもの"であっても、レムリアでは別の価値があるものなのかも知れない。
「なんか面白い事あった?話聞かせてくれよ」
師匠は興味深々だ。まだ体に残っている大蜘蛛の糸を注意深く巻き取って、ポーチにしまっている。
「ああ疲れた。流石にあいつ、満腹みたい」
とオコも調理器具と弓矢をしまっていた。
「メグルに借りたスペシャルマジックポーチの食材、全部使い切ったわよ。どこかで補充しなきゃ」
しかしあの暴食鬼は何者だったのだろう?
「さて一旦家に戻ろうか。いやその前に」
「ヘイ スミティ?」
『お呼びですか?』
「メグル、天井見上げて何言ってるの?」
「あるじがおかしくなったぁ!」
「いやこれは、最下層で手に入れた新しい能力なんだ」
詳細は後で。と断って、俺はスミティに尋ねる。
「このエントランスから、新たに下層への階段が開く確率は?」
『0%。ダンジョンはアドミンが除去しました』
スミティの声は俺にしか聞こえない。
「では、このエントランスを、狼達が使用して構わないだろうか?」
『肯定的。元来狼達の縄張ですから』
「あるじあるじ」
「なんだいステル」
「あるじが心の中の新しいおともだちとお話するのはいいんだけどね」
「うん」
「おともだちの声はステルたちには聞こえないのよ」
「そうだね」
「じゃあなんで、あるじだけ声出さなきゃいけないの?」
そうか!これは恥ずかしい。
これからは「」じゃなくて『』にしよう(メタ表現)。




