11-22.第七階層(2)
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
11-22.第七階層(2)
もちろんこの手記を書いている時、私はすでにクエストを終えているのだが、
この時の事は記憶が曖昧なのだ。
まず俺の対面に座っていた人物が思い出せない。
男なのか?
女なのか?
人間なのか?
非人類(ノン−ヒューマン)なのか?
神なのか?
魔神なのか?
宇宙人なのか?
判っているのは、もう一人の"僕"が聞いた
『自動音声』
ではないという事。
ちゃんと形を持って俺の前に座っていた。
そして今まで会った誰とも似ていなかった。
「シバヤンと部下の、えーと四娘でしたか。その者達は、貴方の部下の目玉が撮った映像と嫌げもので納得するでしょう。当然ですが、貴方の身内にも他言無用です」
「俺の中のもう一人の人格は全て見聞きしていますが」
「それは承知しています。あと貴方はこれらの出来事を、いつか回顧録として出版するでしょう」
「シバヤンの知る記録に従えば良いのですね?」
「いえ、そのまま書いて構いません」
「それでは守秘義務が」
「いえ、貴方がその本を出すのは500年後になります。それまでに貴方は数多くの旅行記を出版し、ベストセラーになります」
「ベンガニーより?」
「それは無理です。ジャンルが違います」
そりゃそうだ。
「貴方の書かれた本は、総じて"ホラ吹き男爵の日記"と分類されます」
「全部嘘だと?」
「そうではありません。小さな事を大きく、面白おかしく書く人。という程の意味です」
はぁ。それにしても男爵って、公侯伯子男の貴族階級の一番下じゃねえか。まあ例の翻訳機能による
『神に最も近い人間の位』
と言う様な訳語らしい。
「それで、今回の手記が絶対に神界の掟に触れない魔法の言葉を教えますので、巻頭に記載して下さい」
「承りました。なんと書けば?」
「この物語はフィクションであり、実在する人物、神界、組織、いかなるものとも無関係です」
「了解しました」
「ではこれで」
「ちょっと待ってください。俺たちはなんのためにここへ招かれたのですか?」
「四娘からの依頼でしょう?」
「いやいや、四娘やシバヤンにそう仕向けたのは、貴方でしょう?だいたい、貴方誰ですか?」
「あはは失礼しました。こちらの用事が済んでしまったので、うっかりしていました。人間はその様に、物事の原因を尋ねるのでしたね」
「余りに不思議な話なので、理解に時間がかかってしまいます。順序立てて教えてください」
「じゃあまず何から?」
「貴方は何者ですか?」
「最初から難しい質問ですね。具体的に聞いて頂けませんか?」
「貴方はレムリア様ですか?」
「否」
「レムリア様の仲間ですか?」
「否」
「レムリア様を知っていますか?」
「是」
「レムリアとどう言う関係ですか?」
「説明が難しい」
「レムリア様の上級神ですか?」
「…。否。かな?」
「是に近い否?」
「難しい」
もしかして、こう言う事かと思って聞いてみた。
「レムリアを貴方が作った?」
「まあ…そうなるかな?だが否」
なんなんだよ。
「レムリア様の様な存在は沢山いますか?」
「各世界ごとに」
「つまり貴方は、それらの世界神達を管理する立場の方?」
「厳密に言うと違うが、まあ近いかな?」
「お名前を教えて頂きますか?」
「沢山あり過ぎて返答に困る」
「では、俺が貴方を呼ぶお名前を付けさせて頂いてよろしいですか?」
「構わないよ。民は神名を名付けるものだ」
これは真理である。人は神を造り、名前をつける。アスラ軍団を率いた大魔王ヴァルガを倒したスーパー美少女サイボーグ戦士サンディは、
「ヴァルガを倒した者」
と言う意味のヴァルガーの名で広く知られ、とても嫌がっていた。
「して、なんと名付ける?」
相手の表情も覚えていないが、なんだが楽しそうだった。
「管理者と」
「耳馴れぬ名だが、しっくりくる様な名前だな。それで良いよ」




