11-21.第七階層(1)
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
11-21.第七階層(1)
課題クリアか。
いやしかしこれって困った状態じゃね?
前世の俺は極端に算数がダメで、もう小学校の頃から、九九から分数から全部父親に教わっていた。
父は工学部の教員で、それから起業したのだが、理詰めなカチッとした人だったがクソ真面目ではなく、上手に教えてくれた。例えば
「3-4→12を覚えれば、4-3→12は覚えなくていい。同じだから。99表は半分覚えればいいんだよ」
とかね。
中学になると起業した親父は仕事が忙しくなり、俺は塾に行き数学と英語(こいつも手強かった。特にあの文法というやつは本当に必要なのか?)を習ってなんとか高校に合格したが、それきり塾に行かなくなったので特に数学の凋落は甚だしかった。それでも専攻は国立文系だったんで(私立文系は大半が女子だったんで恥ずかしかった)、数学は数IIIまではやったが、特に2年の数IIBは完全に落ちこぼれて、俺は生まれて初めて0点を取った。次の試験ではなんとか18点を取ったが、教師に
「頑張ったな」
と言われ、大学は絶対に数学のない所に行こうと思った。
何が言いたいかと言うと、階層は7つ。俺たちは7人。丁度いいじゃないかと思ったのだが、
第一階層入り口(社長)
第二階層入り口
第三階層入り口
第四階層入り口
第五階層入り口(師匠)
第六階層入り口
と、みんなの協力で切り抜けて、
第七階層入り口では、俺。と言うか僕?
との対話で階段が開いた。
じゃあその下の本当の第七階層では、誰を使う?
一人足りない?それとも俺と僕で二人分だから、これで丁度いいの?
なんか算数頭のない俺は、判らなくなって来た。
「最後に俺を使い潰して終了。で、いいのかな?」
もう頭痛くなったので、考えるのはやめた。
階段を降りるが足が重い。
いつもより長い階段を降りると、テーブルセットが置いてあった。
シンプルな丸テーブルと、背もたれのある椅子。どちらもミスリルの様な銀色の金属で出来ていた。
椅子は二つある。その一つに座る。
「目玉ちゃん。おいで」
もう一つの椅子に座った人が言うと、俺の肩にしがみついていたパーサの眼は肩を離れ、トコトコとその人の所へテーブルを歩いて言った。
「このクエストを君に依頼した君の友人。シバヤンと言ったか?その男は、彼の満足する映像を見るだろう」
俺にも見せてくれた映像は、俺が苦難の末最終階層まで辿り着き、荒廃した古代遺跡の廃墟の中で、お宝を見つけ、高く掲げる。
「テッテレー♫」
ファンファーレが鳴り響く。
「お宝とは?」
「この文明に合わせた古代超科学。そうだな、純金属インゴットでいいか?」
混じり気が全くない金属元素そのものか。
確かにレムリアの精錬技術ではダガムリアルでさえ作れない。
「しかしこれは…」
「そうだろう?どうやって作ったか判らないが、さりとて作り方が判る訳ではない。そして純金属の使い途が判るほど、レムリアの文明は進んでいない。こう言うのを"嫌げもの"と言うのだよ」
イラストレーターで仏像エッセイストの、みうらじゅんさんの造語に自動翻訳された。
俺がみうらさんのファンじゃなかったら
『マソム』と訳されたかもしれない。
ホビット族の間で儀礼的にグルグル贈られて行く実用にはならない邪魔な贈り物の事。
まあシバヤンは結構嫌じゃないかも知れないな。この嫌げもの。
「きっと何かに使える」
と、喜んで広間に置いたり、親友のダガムリアルに自慢したりしそうだ。
「シバヤンは充分な富を持って居ろうが、有っても困らない物にしよう。超純金だ。10t程君のマジックポーチに入れて置くぞ」
それが一番困りそう。床が抜けるんじゃないか?
ただ将来電子技術が発達した時に、スーパーコンピュータの内部配線に、この超純金は役立ちそうだな。
しかしコンピュータを凌ぐナンバーズの生体CPUがあるのに、スーパーコンピュータ作る意味があるかは不明だ。
「取り敢えず偽装工作は終わった。本題に入る前に、お茶にするか」
テーブルの上に英国式午後茶会の、あの3階建てのスタンドが現れ、ケーキやクッキー。サンドイッチが乗っている。中段は普通スコーンだが、今回はクッキーだ。食べると懐かしいシナモンクッキー。お茶はカルダモンティだった。
「この味…」
「君の好みが良く分からなかったので、記憶を探させて貰った。前世の抹茶とか和菓子とか懐かしいんじゃないかと思ったが、君の推しはオコさんの作った物ばっかりじゃないか?君、オコさん好きすぎないか?」
好きなんだから仕方ない。




