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11-17.第三階層

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


11-17.第三階層


パーサの言う様にステルは神なので、死ぬ事はない。しかしステルを鳥ジャガーに変身させずに無人島に拘束出来る。と言う事は、

『永遠に』

と言う事も出来るかもしれないと言う事なのだ。


「先程は配慮に欠けた事を言って、申し訳なかった」

師匠が頭を下げる。

「それはお互い様ですよ。身内の事になると、冷静ではいられなくなりますからね」

その上で俺は話を続けた。

「今回の使命(クエスト)は、全員が必要な使命を果たし、無事全員生還する事が達成目標です。空を飛べると言うステルの特性を使うしかない局面であれば正解と言えるのですが、例えばゲル状のこの海を船で渡れなかったか?と言うと、ここをステルに任せるのは早急だったかな?とは思いますね」

「船の材料がマジックポーチにあったとして、それで水ではないものの上をどうやって進むのか?実際にやって見なければ分からなかったけど、ステルの偵察無しで島は見つけられなかったし、島まで漕いで行くのにどれだけ時間がかかった分からない。やはりここはステルで正解なのだと思うよ」

と師匠が答える。


「そうそう。島におりたとたんに子猫にされたの。だから戻れなかったし。クリンさんやコンコンおばあちゃんとちがって、ステルはスイッチの上でおひるねしてるだけだから、しんぱいしないで」

ステルが念話で告げて来た。

「反省会は後でしましょう。先に進むわよ!」

オコが力強く言う。しかし目には涙が一杯だ。


階段を降りると、そこは草原だった。

「何もないなあ」

「いや向こうに一本、木がある」

俺たちは駆け出した。

割と近いと思ったのだが、一向に近づかない。

「アシがちょっと様子見てくるで」

ステルの事があったので、単独行動は危険だ。と思ったのだが、自立行動を許しているパーサを止める事は出来ない。


20分くらい歩いていると、アヌビス型のパーサが戻って来た。

「存外遠いわ。あれ、近くに見えるけど木ができゃあんだわ」

つまり、我々が知ってる木のイメージからして、いわゆるパースが狂うという奴だ。

「一人づつアシが乗せてこか?」

アヌビス型のパーサは、人一人ならなんとか運べる。


「それよりパーサ、お馬さんにはなれないの?」

「そうだった!アシとした事が、しばらくやっとらんもんだで」

美しい牝馬の姿になる。

オコが跨り、両手を広げる。

俺と師匠がその手を掴む。

「手を持って一緒に走るの?」

不思議そうにオコが聞くが、俺たちが呪文を唱えると、体がペラペラの2次元になった。

「なんか変〜ん」

とオコが笑うと、牝馬も歯をむき出して笑った。

これはタオ教系魔術で式神(しきがみ)の応用だ。道士が紙を切って式神を作るのだが、これを回収する時の術を応用して、自らを紙の様に薄くし、風に乗って飛べるのだ。


パーサが全力で1時間ほど走ると、やがて巨大な木が近ずいてきた。

近寄ると頂上は全然見えない。

『来たのなら仕方ない。葉は一人10枚までじゃぞ』

木が語りかけて来た。

「葉?」

「ウラナ君、この木、世界樹だよ」

太古の世界に生えていたとされる伝説の木。その葉を煎じて飲ますと、死者を蘇らせる事が出来たと言う。

『残念ながら我は株分けじゃ。死人を蘇らす力はないぞよ。じゃが人間はポーションとやらの材料に使うらしい』

世界樹の子樹の葉なら、凄いポーションが出来るだろう。


有難く10×4枚の葉をマジックポーチに収める。

「私どもは下層に至る階段を探しております」

『我が中に在る。我の5つの実を掴め』

よく見ると下の方に2つ。遥か後方に2つの金色の実が見える。りんごの様な形だ。多分もう一個は頂上だろう。

「誰か一人が実を2つ掴まないと」

実は5つ。我々は5人だ。

「もぎ取れないで、これ固てゃあでかんわ」

ジャンプしたパーサが諦めて降りて来た。


『駄目じゃ駄目じゃ。木になっているままで、一人が同時に5つの実を掴まねばならん』

滅茶苦茶を言う。二郎神君でもこの巨木では無理だろう。

「つまりアシの出番いうことだがね」

パーサはためらいなく、スポンと左手を抜く。

「そんな事して痛くないの?」

オコが心配するが

「アシを誰だ思っとりゃあすの。おい木のじいさん。アシこそが、自動式侍女人形(ナンバーズ)の八娘にして、ウラナ・ストロの第二夫人。パーサだがね。覚悟しやーよ!」

さらっと第二夫人は聞き流す。


パーサの左手中指の先に目玉が生まれた!

パーサは右手で思い切り左手を投げあげる!

「一個つかんだでよ」

『なんと!一番困難な頂上の実を』

後はジャンプして右手で中段の実を一つ掴む。

右手を外して着地。

靴を脱ぐ。足の指が猿の様に伸びる。

何でもありだな。


ジャンプしてキックの形でもう一つの中段の実を右足で掴む。そのまま右足を外して、左足一本で着地。

「オコさ。悪いけど下の方の実のとこまで足を持ち上げてちょ」

「俺がやろうか?」

「メグルさはパンツ見るであかんて」

さいですか。

オコが手の届く位置にある下段の実に体を運ぶ。パーサが傘おばけの様に片足でぴょんとジャンプして左足で掴む。足が胴体から外れる。

落ちてくる胴体をオコが受け止めた。


「あと一個だがや」

『恐ろしい事をする娘じゃ。じゃがあと一個はいかがする?』

「オコさ」

「分かったわ」

オコがパーサの胴体をもう一つの下段の実の下に運んで、ひょいと投げあげる。

パーサの口がパクッと実を咥える。

『やられたわ。我の負けじゃ』

木の幹に大きな洞が開いて、階段が現れた。


「メグルさ、メグルさ、ちょと来てちょ」

パーサが念話で呼ぶ。

俺が下に行くと

「上見たらいかんで。パンツ見えるで」

と言って、何かがポトリと俺の肩に落ちた。

それはパーサの片眼だった。

眼から蜘蛛みたいな足が生え、俺の肩をぎゅっと掴む。

「痛っ!血が出たよ」


「記録カメラだで我慢しやあて。さ、ちゃっと行って来やあ。これ、存外顎が疲れるでよ」


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