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9-16.神官

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


9-16.神官


ともかく先に進めないと問題が解決しない。

神殿に向かう。

「我らは国王プトマス95世の勅許を得て参りました。門をお開けください」

門の向こうで怒鳴り越えやパタパタ歩くサンダルの音が聞こえたが、一向に門は開かなかった。

「難儀やなぁ」

コンコンが進み出て、大声で

「頼もう!開門しませいっ!」

初代譲りの威圧術。妖狐は敵に回すと怖いなあ。

ギギギ

門が開かれ、一人の若い神官の首が現れた。


「何かご用でしょうか?」

「神殿の記録を拝見したい。国王陛下からの勅許である」

神官の顔は蒼白だ。

「我らは太陽神ラーと神々を信仰し、国王プトマス75世陛下に忠誠誓う者であります」

聞いてないって。

「わざわざ言うのがよけしか怪しいがね」

師匠が進み出て

「わざわざ信仰告白と陛下への忠誠を誓われるとは、誠にあっぱれであります。我らも同じ信仰を分かつ者。ぜひ本殿にて御本尊に礼拝したい」


ヒッと言う様な声を漏らして

「しばしお待ちを」

と、神官は首を抜き、門は再び閉まった。

「だから僕じゃ無理って言ったじゃないですか」

とか

「早く本殿の改装を」

とか声がまる聞こえだ。

「まさに"雉も鳴かずば射たれまいに"と言うやつやな」

コンコンが密っそりと笑っている。

大音声の威圧術が成功して機嫌がいいな。


10分ほど更に経って、門が開き

「お待たせしました。どうぞお入り下さい」

とさっきの若い神官が門を開けた。

どうやら上司から全てこの面倒くさい客の対応を任されたらしい。

中はアプベルの神殿遺跡によく似ているが、サイズは1/5スケールだ。

立ち並ぶ石の神像はどこかの遺跡からパクって来たものらしく、建物には釣り合わない古めかしさだが、それだけに損傷が激しかった。


「こちらが本殿になります」

正面に太陽神ラー。

脇侍にオシリスとイシス。その他アヌビス等ナイラスの諸神が並んでいる。

が、なんかバランスがおかしい。

ラー以外の神々が小さいのだ。しかも

「ナイラスで木像は珍しいなあ…」

「なんや骨董屋で売ってる様な像やなあ」

確かにあと半分くらいの大きさなら、土産物屋にもありそうなのだ。


聖地に巡礼した田舎の信者達は、こう言う土産物屋で信仰している神の像を買い、村に祠を作って安置して

『分祀』

する。こうして聖狐天信仰は広がっていったのだ。


「木像とは贅沢ですねえ」

「はあ…。」

ナイラスでは木材が高価だ(だから舟も葦舟だった)。槍などの武器の材料として僅かに地峡を隔てた北国のレナウンから杉材が入って来たが、鎖国中はそれも途絶えている。かつてはナイラス人が他国に移民し、運びやすい木像をナイラスから持ち帰ったりしたが、現在土産物屋では陶器の神像を売っている。


「ねえねえなんか踏むとこあるよ?」

ステルが本尊のラー神の石像の台座を指差す。

「ダメだよ勝手に触っちゃ」

「ペダル?そんなものありませんが」

神官が自爆する。

「ないなら踏んでもいいよね。ないんだから」

ステル流超理論で、えいっとペダルを踏む。

ずずずずずずむ

重々しい音が響き、台座がゆっくり回転する。

忍者屋敷の隠し扉の様な仕掛けだ。


「あああああ〜っ!」

神官が悲鳴をあげる。

半周回って出てきたのは…。

ラー神の像だった。

「同じやん」

「同じです同じです。参詣者が多い時に、裏で煤を払って昼に回転するのです。」

怪し過ぎる。一体繁忙期には何万人の信者が押し寄せるのか?初詣とかか?

それで信者がお参りすると、半日でそんなに煤だらけになるのか?

主な信者は煙突掃除組合か?


「みんな!見上げてごらん!」

社長が叫ぶ。

結構大きい本尊なので、体の方ばかり見ていたが、視線をパンアップすると、

ラー神の頭にすっぽり虚無僧が被る様な、パピルスで編んだ籠が被せられていた。

「なんだいあの籠は?」

「え?何ですか?籠なんて見えませんが」

この神官は学習しないなあ。


「そうか、ないのね。ないのなら」

またまた超理論で、高くジャンプしたステルは籠を蹴り飛ばした。

「これ、顔が」

「河馬だねえ」

途端に30人程の鉤付き(痛そう)の槍を持った神官取り囲まれた。

だがあのカイバラ峠の僧兵に比べれば、全然ひ弱な感じだ。


「みんな」

「「「おう!」」」

「いや、ここ盛り上がるとこじゃない。みんな手出すなよ。パーサ、弱いの頼む」

加減された電流で行動不能になった神官達が転がる中、俺はいつもの若い神官に尋ねる。


「これがお前達の神、トーか?」

「は、はい」

「なんでセトの姿をしてるんだ?」

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