9-10.マルモ屋を探せ
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
9-10.マルモ屋を探せ
「見つかりましたか?」
「いや居ない。隠密暴露の術も使ってみたのだが」
「確かに入城した痕跡はあるでさいが、どうももーはいおらせんようだに」
「匂いもしないんだよ」
「新しい結界もあらへんで」
「旅立った痕跡も無いとワタリガラス達が言ってる」
全員空振り。と言う事は、ビッグセブンの総力をあげても。と言う事なのだ。俺とオコの探索能力は並だからな。
「聞き込みもしてみたけどが。大きい犬も、大きい犬みたいなでかい男も、誰も見とらせんのだわ」
「それは変だな。あの犬や大男(イメージ:大谷選手)は目立つぞ」
「あのドスルと言う人、嘘ついてない?」
「それかあの変身術は他人にもかけられる。とか」
「匂いまでは無理だと思うんだよ」
「いっぺんドスル呼んで見よまい」
パーサが紐を引っ張ると、近くの大木がドサッと倒れた。
「痛い!痛いですよ。隠れたりしてないです。腰縄付けてるとみんながジロジロ見るので、恥ずかしくて」
木がシュルシュルっと解けてドスルが現れる。
「そんなところにいたのか。ドスルさん。マル…ジョンが姿を消した時の事を詳しく教えてくれないか?」
「詳しくも何も…。街に入ってすぐの所にケバブの屋台があるでしょう?それ二本買って、一本ずつ分けようと思って振り返ったらもう居なかったんです」
「ドスルさんの持ってた魔具ですが」
「ああ、昔ナイラスに来た時に買ったんです」
「見せて貰えます?」
「ジョンにあげちゃいましたよ」
「じゃあ、ジョンはそれ身に付けてたから、何者かに誘拐されたとか?」
「オコ、小説読みすぎ。あ、ドスルさん。ジョンはどんな格好で?」
「でかい犬の方ですね」
「オコごめん。誘拐説もあるかもしれない。ねえ師匠。ナイラス人って、犬食べるんですっけ?」
「いやそう言う食文化はないよ。ナイラス人が好きなのは猫だが、犬もなかなか可愛がられているね。でもナイラスの犬はアヌビスみたいなすらっとした体型で、モフモフした居ない」
マルモ屋のモフモフを思い出してうっとりしていたオコが叫ぶ
「珍しくてモフモフだから、誘拐されたのかも!」
「でも、あのでかい犬をどうやって運ぶ?しかもジョンはなろうと思えば、あの大男になれるんだぜ」
ナイラス人には割と華奢な体型の人が多く、2mを優に超えるジョンと喧嘩して勝てる悪漢は少ないだろう。
「ドスルさん。ナイラスの魔具ってどんなのですか?」
「首輪型の護符ですよ。表面に何か知らない文字が書いてあって」
古代ナイラス語だな。でそれをジョンは持っていたと。
「ジョンはいつも首輪を付けていました」
首輪型のチョーカーって、日本でも流行したな。最初はM方面の方が好んで付けてたけど、普通のファッションになってたから、レムリアでも付けてる人が居てもおかしくない。
「メ、ウラナさ、アシにも一つ買って貰えんかなあ。主人への忠誠の証として」
「アタシもアタシも、あるじ」
「いややめよう。君たちは奴隷じゃないし」
結局この件が解決してから、俺達はダガムリアル工房で、お揃いの指輪を作って貰った。
同じ形の色違いで、それぞれのイニシャルの入ったもので、念話の届く距離を強化する機能を持っている。師匠と社長も形違いのお揃いの指輪を作ったので、世間ではこれがビッグセブンの身分証みたいに思われたらしい。
「しかし首輪に文字って、犬の鑑札みたいだな」
「なんか言った?」
レムリアにはそう言う制度はないのだった。
日本でも犬は室内犬が主流になって届けない人もいるらしいが、犬を飼ったら保健所に届けなければならない。
その時首輪に付ける様渡されるのが鑑札と言うアルミニウム製の板だが、首輪を付けない小型犬も多くて、そのまま引き出しに眠っていたりする。
そもそも日本の登録制度が整備されているのは、狂犬病が怖いからである。かかった犬はほぼ回復不能。その犬に咬まれた人もかなりの確率で発症し、致死率は非常に高い恐ろしい病気だが、昔は日本では保健所が公園などで日時を指定して予防接種をしていた。
つまり昔の日本で犬を飼う餌代以外の必要経費は登録料と毎年の狂犬病の注射代だった。
今は獣医で予防接種も狂犬病と3種混合とか5種混合。さらに夏季にはフィラリア予防薬。これだけかかる。
「という事はさ。ジョンくんは連れ去られたのではなく、ナイラスに入った途端に、魔具の力でどこかに消えたんじゃないかな」
師匠が推理する。
「どこへ?」
「判らない」
ゴンドワナに行ったのかな?だが異世界に飛べる魔具を何で古代ナイラス人は持ってたんだろう。




