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9-6.ナイラスにて

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


9-6.ナイラスにて


イナバ君に別れを告げて、もう一度ローランド川の辺りまで進み、そこからアスビ海に出た。

出発は目立たない夜がいい。

神界と現世時間は比例しないが、街の人に聞くと、戻って来たのは神界に行ってから2日後の夕刻だった。

俺含む全員の熱心なリクエストで、またあの一流レストランで食事をして鋭気を養う。


「さて後はナイラスまで一晩か」

ステルとトトムが夜空を爆走する。流石に日中は目立つので速度を上げられない。

トトムは神界には行かずアスビ海上空に放空させていたので、魚を一杯漁ってご満悦だった。

キャバの漁場は襲わない様に師匠が命じていたが、トトムは元々キャバが余り好きでは無い様だった。


「間も無くナイラスの領土に入るので着陸しよう」

師匠から念話が来たので、その辺の草地に着陸した。

「ここって鎖国の時の門があったところだなあ」

細い地峡にはもう城門はなく、高速道路の料金所の様な棒が妨げている所に一応国境警備員が立っていた。

「ようこそナイラスへ。どちらから?」

「人類の代表ウラナとその一行です。人探しに来ました」

ナイラス正式の身分証を見せる。

「ええっ!しばらくお待ちください」

警備員は文字通り、すっ飛んで行った。


仕方ないのでテントを出して待つ。

日は既に登って来たので、結界を張らないと暑い。

しばらくして警備員がまた走って来た。

「お待たせしました。先ずは事務所の方においで下さい」

「どれ位かかりそう?」

「今首都の方に連絡を取っておりますので、2、3日内には連絡が来るかと」

「申し訳ないがその時間は惜しい。国王にはウラナ達が来ていると伝えておいて欲しい。事が済んだら王宮に挨拶に行くと」

「え?皆様はどうする?」

「こうする」

ステルがパリトネカビルを使った。


目の前にアヌビスが立っていた。

「相変わらず無茶しますねえ」

「いや、急がないと仔犬達の訓練が終わってしまうのでね」

「お兄ちゃん、久しぶり」

前回記録の神殿で休暇を過ごして以来だ。

「はっはっはっ。パーサ元気にしてたか」

「なんか怪しい人みてゃあだかや」

なんか犬みたいにパーサの周りをグルグル回っている。


「アヌビスさん?アヌビスさーん?」

「あ、失礼しました。あんまり嬉しくて」

「実は人を探しています」

「はい、それがゴンドワナへの橋渡しの重要人物(キーパーソン)ですね」

アヌビスは何度も大氷原に来ているので、おおよその事は分かっている。

「そうです。ゴンドワナの犬人の子供達と、大氷原の橇犬の子供達を繋ぐ鍵になるお方です。レムリアとゴンドワナは平行世界なので、頻繁に誰でも行き来をする訳にはいかないらしいですが、あの子達の絆はヴァルガにより約束されているので、なんとか早く合わせてやりたいのです」


「成る程、同じイヌ族として協力したい話ですね」

「ありがとう」

独特のイントネーションでパーサが答える。懐かしいな。名古屋でも殆ど使わない抑揚。昔ローカル局でやっていた子供番組で、賞品を貰うときだけ使うイントネーションだった。

やはりパーサには犬達も懐いていたので、パーサも是非合わせてやりたいと思っているようだ。

さらに何よりオコが一番熱心だった。

一二年で自立する犬の世界で、まだ幼い仔犬達を押し出した母犬の気持ちがオコの琴線に触れた様だ。自分の境遇にも重なるものがあったのだろう。

それはステルも同じで、父や母から離れて暮らす以上

「最高のともだちに出会って欲しい」

と願っている。

まあ家でこの3人の意見は絶対なのだった。


「で、どう言う方ですか?」

「神界に住む犬人の神でマルモ屋と言われる奴です」

「はて…。レムリアで獣人が絶えてから随分になります。獣神がオリビア山に来ていた頃は、まだ私はレムリアにはいませんでしたし」

複雑な出自を持つアヌビスは、神と認められるまでは伯母のイシスに匿われていたのだった。

「ダガムリアルさんも両世界に住める様なのですが、あの方を見つけても犬の事は」

「そうですね。犬の事は犬の神」


「あと、ドスルと言う人、ご存知ですか?」

「ドスルですって?あのトリックスターがレムリアに戻っているのですか?」


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