9-5.日記
※第9部の主な登場人物
◯旅の仲間
メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目な15歳と結構浮気症な66歳が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表"を押し付けられる。
聖狐天の父となる。
オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。
コンコン…先先代妖狐。子狐と伎芸天女の童女に憑依できる。
ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。
パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスに変身出来る。
ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの恋人。
コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの恋人。
◯神界の住人
イナバ…始まりの酒場の雇われマスター。頭が白兎。
マルモ屋…亡き犬達の記憶を全て持っている。絶滅した犬人を探している。
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
9-5.日記
タコ嵐にも会わず(ステルとコンコンはちょっと残念そうだった)、無事深夜にマルモ屋に戻り野営する。
そのままテントを取り出して野営する。
記録の神殿でマーリンが使ったものよりはずっと小さいが、7人楽に寝られる。
そろそろ買い替えたいが、ステルが承知しないのだ。
師匠と社長は始め居心地悪そうにしていたが、神界とは言え未開地なので、襲われる危険性はある。一緒にいた方がいい。と言う事で、自分達の寝袋だけ持って来た。
でも二人で同じ寝袋入って、モソモソするのはやめて欲しい。子供もいるんだし。
「おはようございます」
イナバがやって来た。
「お世話になります」
彼は大きなリアカーを引っ張って来た。
「あの距離を?これ引っ張って?」
「まあ足には自信がありますので」
遠い神界をリアカーを引っ張って疾走するイナバ君を想像したが、神界は時間とともに距離も色々基準が違うので、どれくらいの大変さかは判らないが。
イナバ君がポケットから鍵を取り出し、マルモ屋のガラス戸を開ける。
懐かしい雑貨屋の風景だ。
前に来たこの店の思い出ももちろんだが、何より昔の日本の村に必ずあった雑貨屋兼駄菓子屋にそっくりだ。
買わないのに触ると怒鳴りつける怖いババアがいたっけ。まあ戦後間もなくで日本も貧しく、万引きする子供も多かったのだろう。
「ねえ、腐るものもあるんじゃない?」
オコが不思議そうに聞く。
「ああ、神界では時間を止める事が簡単に出来ますから、ここの店は食料品が腐らないんですよ」
「何ですって?」
社長の目がキラリと光る。
「ああ神界に倉庫が作れたら…」
なんか変なスイッチが入った様だ。
「パトニカトルさんに相談してみようかしら」
「でもさ、あそこのヤクスチランワインはちゃんと熟成されて行くぜ」
師匠が指摘する。
俺は俺で考え込んでいた。
ダガムリアルから、キャーリー神像の代わりにふんだくったスペシャルマジックポーチって、もしかしたら神界に繋がっているのかも…と。
「えーと日記は」
流石にマルモ屋さんの私室にみんなでズカズカ入っていくのはマズイので(パーサとか絶対エロ本探し始めるだろう)、イナバ君が独りで探して来てくれた。
「わーこれ犬語?」
オコが変な声を上げる。
確かに犬の足跡みたいのが一杯付いてる。
「これは普通のレムリア語だがね。アルファベットが変えたるだけだて」
パーサがすぐに気づく。やはり俺よりCPUが優秀だ。
「読んだるわ。うーんだいたいその日食べたもんばっかだー」
「最後の方はどう?」
『ああ、この辺か。ドスルからの連絡あり』
ドスル?誰?
『やはり犬人は本当にいるらしい』
何だって?
『ドスルのところに古代の魔具があった。ドスルがナイラスにいた時、遺跡で見つけたオーパーツらしい』
ナイラス…。シバヤンがナイラスがどうとか、予言してたなあ。
「イナバさん。このドスルって人は?」
「ああ隠者みたいな人です。そう言えば最近、姿を見ないなあ…。あの人、誰とも話ししないと思ってたけど、ジョンとは仲良しだったんですねえ」
ジョンとドスルは行動をともにしてるのか?
「とりあえずそのドスルさんが住んでた所に連れてって貰えませんか?」
イナバ君が連れて来てくれたのは、綺麗な湖のほとりだった。
「ここにいつもいましたね。三角形のテントに住んでて、釣りしたりギター弾いたりしてましたね」
「つばの広いとんがった帽子被って長いパイプ咥えてませんでした?」
「何で判ったんですか?」
ホームレスて言うか、スナフキンかよ。
焚き火の跡はあったが、かなり古いものだ。
「ああここに」
大木の皮が剥がされており、文字が書かれていた。
『美味しい鰻を食べに行ってきます。探さないでね。異国人が持ち込んだ、カバーとか言う料理らしい。ああ、楽しみ。 ドスル』
「メグル君、カバーって」
師匠がちょっとうっとりした顔で言う。
俺がレムリアに持ち込んだ料理だな。醤油と酒と砂糖のタレで付焼きした串焼きの鰻だ。
「カバー焼き作ったのって、確か鰻が沢山取れる川の近くで野営した時…」
オコが呟く。
「ああ、ナイラス川のな」




