表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
320/2116

9-4.酒場

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


9-4.酒場


「いらっしゃい。お久しぶりですね」

やはり兎に迎えられた。

きちっと蝶ネクタイをしたバーテンだが、この人がマスターなのだろうか?

しかし一度だけ訪れた客を良く覚えているものだ。

「まあそれが商売ですので…。それにこの店のお客様は常連ばっかりなので、新しいお客様は少ないんですよ。まあ20年に一度位とか」

神界は時間の流れが違うので、すごく長いとも言えない。


「実は人を探しておりまして」

「エノキドさんですか?」

本当に良く覚えている。確かに前回はエノキドを探していた。

「いえ、エノキドさんには会えました。今度はマルモ屋さんを探しに」

「ああ、ジョン君ですか」

この酒場ではジョンと名乗っていたらしい。

犬神であるマルモ屋は、全ての亡き犬達の魂を宿している。俺にとってはシロと言う名の犬だった。


「失礼ですが貴方がこの店のオーナーですか?」

オコが聞くが、オーナーってどこからきたんだ?

「いえいえ、私は単なる雇われマスターです」

やっぱりこの人がマスターなのか。

しかしどこから見ても白兎だなあ。ただ体型は人間だ。


前はまだレムリアの獣人についてそれ程詳しく無かったので、この人を兎人と思ったが、今ならこの人は絶滅したレムリアの獣人ではない事は分かる。ゴンドワナで初めて出会った犬人は、外見は人間に近く犬の耳と尾がある。

コボルトのノモは頭が犬だったが、あれは

「犬の頭を持った魔物」

であって犬人とは違う。ナイラスのアヌビスはじめ、神々の中には動物や鳥の頭をした者がいるが、それも獣人とは別系統だ。

この兎も、本物の兎とは出自の違う神界の生き物だろう。


「ローランド川のミニヨンさんが、マルモ屋さんの行方は酒場のマスターがご存知かも知れないと」

「やっぱり(ジョン)はまだ戻って来てないですよね?」

「はい、扉が閉まっていて、探さないでほしいと張り紙が」

「ジョン君はお酒を飲まないので、常連と言う程ではないのですが、何年かに一度やってきて、色々私と話して帰るのです。昔私が敵に酷い目にあわされて、ボロボロになった時に彼が助けてくれて以来、友人となったので、今彼がどこで何をしているのか心配なのです」

まあこの兎も最初からバーテンとして生まれた訳じゃなさそうだ。レムリア神界だとナンバーズの様に特定の目的で生み出された者もいるのだ。


「最後にお店に来たのはいつ頃ですか?」

「1年程前かなぁ。ふらりとやってきて。その日は誰もお客様の来ない嵐の夜だったのですが、旅に出るのでお得意さんへの食料品の配達を頼めないかと」

この辺の神々眷属にはマルモ屋で生活必需品を買って暮らしている者が多く、兎は月一くらい日中代わりに配達をしているらしい。

しかし1年か。さっきも言ったが、神界の時間の流れは、現世(うつしよ)とは違う。1年前が同じなら俺達は前回マルモ屋には会えていない事になる。


「マルモ屋さんは、その時何か言ってませんでしたか?」

「凄く喜んでました。絶滅したはずの犬人が見つかった。と」

ゴンドワナだ!

俺達がゴンドワナに渡った結果、犬人の情報をマルモ屋が知る事になったのだろう。何らかの精神感応が繋がったのか?だとしたらゴンドワナに渡っているのかも。

「結論は早いで。新聞見はったんかも知れへん」

コンコンが言う。例の神界タイムスか。


どこから調べたのかは知らないが、俺達のゴンドワナでの冒険が、かなり虚々実々交えて記事になっており、俺達はビッグセブンの名で神界有名人になってしまった。おそらくパーサの報告からシバヤンがリークしたものと思われるが、シバヤンの過去の秘密などはぼかされてる癖に、レムリア(島)やゴンドワナの事が詳しく記事になっていたので、犬人の事も確かにあったはずだ。

『絶滅危惧種、犬人発見か』

とか何とか。


「新聞見てだと、マルモ屋は当ても無く彷徨ってる事になるけど」

「多分違いますよ。ジョン君はお告げを受けた。と言ってましたので」

やはりゴンドワナの犬人と精神感応が繋がったのか。

ゴンドワナで獣の姿になっていた神々の中には犬神は居なかった。ドワーフの神ダガムリアルは居なかったが、ヴァルガはゴンドワナで再会出来る。と約束していた。

つまりレムリアとゴンドワナが同じ神を共有する場合がある。と言うことだ。


「他には何か?」

「多分、半年位で戻ってくると言ってました。こちらの犬達も心配だからと」

それで1年か。ゴンドワナで何かあったのだろうか?

「お店に何か手がかりがないでしょうか?」

「そうですねえ。あ、そう言えばちょうど日記が終わったから、新しい日記を持って旅に行くと言ってました」

と言う事は直前までの日記が店にある?


「マスターさん。近々配達の予定はないですか?お店の中で日記を読ませていただきたいのです」

「個人のプライバシーなので、日記なんか見ちゃダメだと思いますが、ジョン君が行方不明なら、ビッグセブン様方に捜査をお願いするしかなさそうですね」

新聞読んでたんかーい!


「ちょうど明日が配達日ですので、マルモ屋に行きます」

「ではお店近くで野営していますので」

「わかりました。あ、これ」

名刺を渡された。名刺には

『イナバ』

と書いてあった。


「あと宜しければ、色紙にサインを」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ