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8-25.レティア

※第8部の主な登場人物

◯旅の仲間

メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目な15歳と結構浮気症な66歳が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者(イノベーター)"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表"を押し付けられる。

聖狐天の父となる。

オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。

コンコン…先先代妖狐。子狐と伎芸天女の童女に憑依できる。

ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。

パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスに変身出来る。

ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの恋人。

コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの恋人。

◯その他の登場人物(神)

イグルー…大氷原の村の娘。村長の孫。メープル朝の末裔。

パナ…元八娘のパー子。人間となってアルディンの妻となる。

アルディン…バクロンのイザン朝第五王子。王位を捨ててパナと結ばれる。

◯ペンジク4神

シバヤン…南レムリア最高神の一人。破壊と創造の大神。

パトゥニー…シバヤンの第一夫人。慈悲と再生の母。

サンディ…シバヤンの作った美少女人造最終兵器でシバヤンの第二夫人。

キャーリー…シバヤンとパトゥニーの娘でサンディの妹。人生崖っ淵の最後の希望。漆黒の美少女神。

◯ナンバーズ

一娘…最初に生まれた自動式侍女人形(ナンバーズ)にしてシバヤン家の宮宰。シバヤンも頭が上がらず、ナンバーズ全員に恐れられているスーパー秘書。

五娘…ナンバーズにしてキャーリーの親友。レムリア最速。

二娘…ナンバーズだが、現在は聖狐天の部下になっている。武芸の達人でメル、オコ、御供の師。

◯箱庭世界

ハヤテ…警備隊長。

ノモ…村長のコボルト。

影夫…力試しトーナメントに出て来た謎の存在。

ハピネス…箱庭世界魔物国の女王。

ゾフィア…第一王女。

レティア…第二王女。

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


8-25.レティア


「妹様が?」

「はい。突然姿を消してしまったのです」

俺たちは詳しい話を聞いた。

彼女ゾフィアは18歳。女王が最初に生んだ子だ。妹が他に一人いるが、レティアはゾフィアが12歳の時に突然妹になった。

今でこそ妹と言えるが、現れた時はゾフィアと同年代に見えた。当時のゾフィア程の外見の妹が突然できたのだ。


こう書くと、

「王様が他所の妾に生ませた子か?」

と普通はなるが、思い出して欲しい。これはハーピー王家の話。王はいない。

いやいるだろうが、そいつは今頃場末の酒場で

「俺は女王とヤッたんだぜい」

とか言って仲間から嘘つき扱いされてる酔っ払いだろうかなあ?

ちなみにもう一人いる妹とも父は違う。


レティアがどう言う妹かについては、この箱庭世界の特殊事情があるようだ。

「私の12歳の誕生日に、各方面から届けられたプレゼントの中にレティアはいました」

こう言う印象的な登場をするのが、

「神の子」

の登場の仕方らしい。

「神の子?」

「はい。なんの予知もなく、彼らは突然やってきます。赤子ではなく、育った姿として」

王家にやってきたレティアは、言葉も作法も、極端に言えばトイレの使い方まで教えてやらねばならなかったが、年恰好の似たゾフィアに大変懐き、

「姉様、姉様」

とついて回ったので、ゾフィアは大層可愛がった。


神の子は出現後縁者を探して家族の一員になるのが常だが、同族が一人も居ない場合もあるし、レティアの様に間違いなく家族の元に現れる場合もある。

しかしいずれも性格は温厚で、既存の箱庭人に害をなす事は無かった。

ハーピー王家でもレティアには王位継承権は無く、現女王の後はゾフィアが継承する事になっている。

レティアは12歳の姿のまま成長しなかった。いやゆっくりとした成長だったのだろう。

ゾフィアが18になってもレティアは外見は愛する12歳のままの妹だった。


神の子の寿命は原型(オリジン)種族の数倍あり、現在の諸種族の始祖はいずれも神の子だという。

「そらそやろな」

「うん。箱庭世界は箱庭じゃなくて、生きた世界だから、しb、大神様が置かれた神の子が繁殖し始めたんだね」

オコが気を回してゾフィアの前ではシバヤンの名を伏せた。


「神様方は、大神様の事を良くご存知なのですね」

神様にされちまった。しかしレムリアに於けるシバヤン達神々が今の俺たちの立場なのは間違いではない。大神の代理人なのだから。

「大神様の依頼でまいりました」

「やはり…」

ゾフィアがまた深々と土下座した。

「王女よ。頭と胸をお上げください」

つい本音が出てオコに頭をハリセンで張られる。

まだ少し竹針刺さったままだったので、これじゃ釘バットだよ。


「レティア王女の失踪の状況を教えて下さい」

師匠の探偵モードが発動する。

バクロン魔法省長官時代に、年間5千人以上の悪質魔術師を検挙したノヅリ師なのだ。

「はい。レティアが姿を消したのは、私の18歳の誕生日。箱庭での年齢で6歳のレティアの誕生日でもある日でした」

そう言う事になるのだな。神の子は外見の年齢と現れてからの年齢の二つがある訳か。

「合同誕生会の衣装を着つけしようとしていた時、私の眼の前で、妹は姿を消したのです」

衣装?と思ったが、祝い事の時にはヴェールを被るらしい。影夫の様な黒では無く、透明な紗のかかったやつだろう。


「突然消えたのですか?」

「いえ、見えざる手によって」

何かに包まれた様に拘束され、そのまま天に引き上げられたらしい。

「大神様の見えざる手。と言う事か」

「はい。普通は誰も見ていない所で消えるのですが、私の様に目の前で起こったと言う証言もあります。将来有望な若者、見目麗しい乙女。神の子でない者が消える事はありません」

それはそうだろう。


「取り去られて、戻って来た者はいましたか?」

俺はつい"取り去られ"と言ったが、意味は通じた様だ。

「殆どおりません。レティアの様に健康な者は特に」

「健康な?」

「大怪我や重病の者が取り去られ場合は戻ってくる事が多いです。以前エルフの狩人が大怪我をした時は、3日で完全に治って戻って来ました」

シバヤン工房の接着剤はそれくらいでくっつくからなあ。


「全ては大神の大御心次第か」

「はい、そう納得するしかないのでしょうが、私はレティアの事を諦めきれない。それに」

「?」

「今回の事を人間国の者が誘拐したと吹聴し、戦端を開こうとする者がおり、そうはさせじとより親密に人間国と結ぼうとする者もおり、国内が不穏になっています」

政争の道具にされた。と言う事か。

「我々は貴国事情に立ち入る気はありません。だが、神隠しについては思う所があります」

「神隠し…。古い言葉ですね。久しぶりに聞きました。確かに神隠しですね」


「まずは、ハピネス女王様にお会いしたいのですが」

「母はレティアを失った悲しみの余り、伏せっております。面会はご容赦下さい」

「それはお大事になさって下さいね。あなた、ポーションを」

オコが同情する。

「ありがとうございます。神々のポーションならば、きっと母も元気湧くでしょう。ただ」

「ただ?」

「わが国の高名な薬師の見立てでは、これは病ではない。この高熱は、呪である。と」


それではパナと同じではないか。

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