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55-27.新帝の尋問

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


55-27.新帝の尋問


「毒だけと思っておったが、そんな物まで盛られておったか?」

西レムリアでは

「若返りの(ユーゲンダー)

とも呼ばれるこの漢方最高の精力剤を盛られ、太公望も老帝も無事女達の目的を果たした訳だ。

恐ろしい…。

「ねえ、それどこで買えるの?」

オコやめなさい。

俺には不要なものだ。


「ほう、毒蛇の血、蓬莱人参、牛黄に地黄か、確かに効きそうだな」

と箱書きを読む師匠を社長はジトっと見つめ

「ねえダーリン、もしかして私に飽きてきた?まさか他に女を」

「違うよハニー、純粋に薬学的興味だ。僕が愛するのはハニーだけさ!」

結構マジで弁解する師匠が可愛い。

だがベタベタイチャイチャは、新帝の前では謹んで欲しいな。


「わかった。神祇官は栄達のために娘を皇帝に差し出したのではないのだな?」

後宮の妃たちは殆どこのパターンで、生まれた時から戦略兵器として、蝶よ花よと育てられ、いかに男の目に止まるかを徹底的に叩き込まれて後宮に送られる。

新帝も即位するとすぐ、大臣や将軍、有力な豪商などから縁談が持ちかけられ、もう少し下の層の貴族などは、新たにできるはずの後宮に娘を侍女として送り込む算段を始めている。


だが大方の本当に知りたい事は

「班田殿がいつまで新帝を生かしておくか?」

で、宮中には前宰相の影響力が暗然と残っているのだ。

だから遂準車騎将軍が、辺境の古代遺跡から、少女像を発掘し、新帝に献上した後、自動式侍女人形として稼働し始めた時は

「人形などとはまやかしで、車騎将軍は愛人を新帝の寵妃として送り込んだのではないか?」

と言う噂がたった。


遂準は超堅物の軍人で、浮いた噂や権力欲など微塵もない事は軍隊ではよく知られていたが、中央ではそんな事は知らなかったので

「新帝の側近第一号は車騎将軍」

と言う情報が乱れ飛び、遂準のところにも山の様な縁談が来たらしい。


「事情はのみ込めた。先帝(ちち)については誤解をしていた面があった事を反省せねばなるまい。だが神祇官」

「はい」

「その方に権力欲がないにしろ、孫可愛さのあまり兄達を次々に弑した事は、万死に値するぞ!」

新帝は強く詰問したが、太公望はなにも答えない。


「反論の余地はないか?今まで通り朕の母方の祖父は正体不明。と言う事にしておくぞ。そのような殺人鬼を血縁に持つなど、恥ずかしい事だ」

と新帝は更に声を荒げる。


「春っ!」

突然強い女性の声が響きわたる。

新帝がビクッとする。

春翠はゆっくりと続ける。

「あなたのお父上は、良き後継者に恵まれない事をお嘆きになり、私は願いを叶えたつもりでおりました。だがどうやら失敗に終わった様です」

「母上!」

新帝の声は捨てられた子犬の様に悲しげだった。


「畏れ多くも陛下に申しあげます」

と俺は改まって奏上する。

「申せ」

先ほどの人代に対する配慮を忘れ、新帝は厳しい表情で言う。

「陛下におかせられましては、国教とも言えるタオ教について、どれほどご学習されましたか?」

「当然勉強したよ。帝王学の一部だからな」

「では仙人についても?」

新帝がちょっとハッとした様な顔をする。


「春、私も小さい時から教えましたよね。天帝様の事。それに仕える仙人様達の事」

「ですが母上、神祇官は仙人ではありません」

「ではどうして太公望殿以外の神祇官がいないのですか?」

俺は静かに問いかける。


太公望はここ千年以上にわたって、王朝の神祇官を務めている。常人ではない。

それはアンゴルモア大王が大東を征服した時も変わらなかった。

大王は征服地民の宗教を変えさせようとはしなかった。


タオ教については

「無為自然?不思議な教えだな。そんな神々をなぜ人民は信仰するのだ?」

と理解できない様だったが、神祇官についてはゴルモア人の信じるゴルモア伝統宗教の呪術師をもう一人同じ役職につけただけで、太公望を罷免したりはしなかった。

だが結界だらけの中京大宮殿には住もうとしなかった。


「太公望殿は長寿の半神半人。それが地上の仙人と言う事です。だから直接はもちろん、間接的にも人殺しはできないのです」

師匠が解説する。


実際に天帝神界を見ると、最上位の星たちは(俺が会ったのは北斗星だが)こっちの心が凍るくらい冷徹だ。しかし超絶的修行を経て仙人になった官僚たちは権力欲も強く、結構内実はドロドロして、隙さえあれば足下を掬おうとしている。

それでも流石に仙人が他者を殺すなどはあり得ない。もしあったら、即座に下界に下等な生物として堕とされる。


「小生は政治には近づかない様にしておりました故、兄王子様方の詳細をいま娘の口から聞くまで知りませんでした。皇太子殿下の落馬事故、次弟王子殿下様方の病死は、運命の神のなせる技です」

太公望は孫にではなく、新帝陛下に語りかける。


「運命の神…、燭陰か?」

「古代大東の人々がその赤い人面龍に喩えた存在と同じ神ですが、レムリア全般ではクロノスと呼ばれ、神々もその上のレムリア神でさえ、運命の神の決定には逆らえないと言われています」

俺は解説した。


「ではなぜその運命の神が兄達を殺す?」

「はるくんをこーていにするためだよ。きまってるでしょ?」

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