機械に対するアンチテーゼ 1
二章:機械に対するアンチテーゼ
ミュータントとなって力をコントロールできなくなった俺は両親を毒殺していた。手から神経を蝕むガスを出していた。
両親が倒れ自分自身も毒で死にそうになっていた…………いや、親殺しの事実に絶望し自分の毒で自身を殺そうとしたんだ。
毒は俺の身体を蝕んで蝕んで蝕んで、視界が真っ黒になって、指先が冷たくなってきた時だった。ティアはボロボロと涙を流しながら俺を抱きしめてくれた。彼女だって死ぬ危険は大いにあった。それでもティアは近づいてくれた。
『生きてれば、いいことが絶対あるの!! 死のうとしないで!!』
どれだけ長い時が経とうと、たとえティアがいなくなろうとも、その時覚えた生きている感覚は忘れない。忘れたくない。
毒ガスが放つ刺激的な死の臭いとは違い、ティアの髪は柔らかな甘い香りがして、言葉にはいままで感じたことがない温もりがあった。
ティアに出会えて、救われて……俺の人生に光が差したはずだったんだ。
…………でもティアはもういない。なんで彼女なんだ?
許せない。
こうなったのは神の所為か? 否、神なんていない。いたとしても傍観者だ。
考えれば考えるほど泥闇に引きずり込まれていく。赤黒い血で固まった雲、涙が溜まった空。
悲しくなって、過去に縋るほど、殺人衝動が湧き上がる。
許したくない。俺は絶対に、
――――許さない。
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